お盆に行けないまま、また1年が過ぎました。墓参り代行という言葉を調べたのは、その年の秋です。
先に結論を書きます。墓参り代行の費用に、相場という1つの数字はありません。依頼先によって3,000円から27,500円まで開きます。
同じ「代行」でも、やる作業と値段の考え方が違うからです。安いほうが得とは限りません。
私は実家の近くの石材店で、1回15,000円の見積もりを取りました。そして申し込まずに終わりました。
この記事では、依頼先ごとの費用の開き方、料金に入っている作業、見積もりの前に伝えること、そして頼んでいい人と待ったほうがいい人を書きます。
金額だけ知りたい人は最初の表で足ります。迷っている人は、最後まで読んでもらえると判断の材料になります。
墓参り代行の費用は依頼先で9倍ちがう

まず金額から出します。今日、公表されている料金表を並べ直して確かめました。
安い順に4つ並べます。値段の差は、作業の量よりも「誰がやるか」で決まっています。
シルバー人材センター
いちばん安いのが、市区町村ごとにあるシルバー人材センターです。
探すときは「墓のある市町村名」と「シルバー人材センター」で検索すれば出てきます。法人格や料金はセンターごとに違います。
岬町シルバー人材センターの公表料金は、墓石1基1回3,000円(税込)。墓石の雑巾がけと水鉢・花立の掃除、作業前後の写真がつきます。
供花をお供えしてもらう場合は、この基本料金に花代が実費で乗ります。線香代は含まれる案内でした。
大津市シルバー人材センターだと、掃除とお参りで1回7,700円(税込)からです。掃除だけなら5,300円から。
同じシルバー人材センターでも倍以上ちがいます。全国一律の料金ではないので、墓のある市町村のセンターを直接見てください。
注意点もあります。墓地の清掃を受けていないセンターもあるし、作業日の指定ができないことが多いです。
命日に合わせたい人には向きません。お盆や彼岸の時期のなかで、先方の都合で入ってもらう形になります。
個人事業者に頼む
次が、くらしのマーケットのようなマッチングサイトに出ている個人の事業者です。
運営側の案内では、費用はお墓1基あたり8,000円から1.2万円ほどとされています。
作業に入るのは、合掌礼拝、墓石の拭き掃除、敷地の草取りとごみ拾い、線香と花と水のお供え、写真つきの完了報告です。
高圧洗浄やコーティングを足すと、そこに5,000円から1万円ほど乗ります。ここは普通の代行とは別のメニューです。
この帯のいいところは、口コミと作業写真を先に見られることです。顔と過去の仕事が見えない相手に、墓の場所は教えないほうがいいです。
石材店に頼む
墓のある霊園に出入りしている石材店にも頼めます。私が見積もりを取ったのはここです。
心当たりがなければ、霊園の管理事務所に区画番号を伝えて聞くのが早いです。私もそうやって1社教えてもらいました。
清掃と供花と線香、それに写真の報告までついて1回15,000円でした。年2回だと30,000円になります。
これは私の墓の条件で出た金額です。地方の民営霊園の一区画で、区画も墓石も大きくありません。
けんじ同じ石材店でも、区画が広ければ倍近くになると言われました
石材店の強みは、墓石そのものを知っていることです。目地の傷みやぐらつきを見つけて教えてくれます。
その裏返しで、修繕や建て替えの提案が来ることはあります。頼むなら、掃除の話と工事の話は分けて聞いてください。
大手清掃会社と専門業者
いちばん高いのが、全国展開の清掃会社と、墓参り代行を専門にしている会社です。
ダスキンのお墓おそうじ代行は、1坪まで・墓石と墓誌各1基までで1回22,000円(税込)です。
年2回の定期にすると年間39,600円(税込)。1回ずつ頼むより1回分の単価が下がります。
代行専門の「きたよ。」だと、1回27,500円(税込)、年2回の定期で年51,700円(税込)でした。
この帯は作業内容が書面で決まっていて、どこまでやるかがはっきりしています。事故や破損のときの窓口もあります。
ここまでを1枚にまとめます。金額はいずれも公表されている基本料金で、交通費や花代が別になる場合があります。
| 依頼先 | 1回 | 年2回 |
|---|---|---|
| シルバー人材センター | 3,000円〜7,700円 | 6,000円〜15,400円 |
| 個人事業者 | 8,000円〜12,000円 | 16,000円〜24,000円 |
| 石材店(私の見積もり) | 15,000円 | 30,000円 |
| ダスキン | 22,000円 | 39,600円(定期) |
| きたよ。 | 27,500円 | 51,700円(定期) |
下と上で9倍です。手を抜いているから安いのではなく、やることの範囲と保証の厚みが違います。
だから「相場より高い」で断るのは、判断になりません。自分の墓で何をしてほしいかを先に決めるほうが早いです。
料金に何が入り、何が追加になるか


見積もりが上振れするのは、たいてい追加のところです。先に構造を知っておくと防げます。
基本料金に入る作業
各社の料金表を見ると、基本に入っている作業はだいたい共通していました。
- 墓石の水洗いと拭き上げ
- 区画の草取りとごみ拾い
- 花立と水鉢の掃除
- 供花と線香のお供え
- 合掌礼拝
- 写真つきの完了報告
ダスキンは基本料金での作業時間を約1時間とし、脚立や足場を使わず手の届く範囲までと書いています。
ここは大事なところです。墓石の上のほうや、彫刻の奥の汚れは基本の範囲から外れることがあります。
追加になりやすい項目
金額が動くのは、墓石の数と区画の広さです。ここは実際に公表されている数字があります。
ダスキンは1坪増えるごとに3,300円(税込)、墓誌や灯篭が1基増えるごとに1,650円(税込)です。
きたよ。も2基目以降が1基5,500円(税込)、1坪を超える分が5,500円(税込)と出しています。
岬町シルバー人材センターも、墓石が1基増えるごとに2,000円(税込)と花代の実費が乗る形でした。
つまり先祖の墓と両親の墓が並んでいる家は、最初の見積もりより確実に高くなります。
もうひとつ見落としやすいのが、急ぎの料金です。きたよ。は14日以内の作業に11,000円(税込)の特急料金を設けています。
お盆や彼岸の直前に思い立つと、この分が乗ります。日程に余裕があるほど安く済む仕組みです。
出張費は起点で変わる
交通費や出張費は実費請求になることが多く、ここが業者ごとにいちばんばらつきます。
きたよ。の基本料金には、出張1時間以内ぶんが入っています。1時間を超えると15分ごとに4,400円(税込)です。
問題は、その1時間をどこから測るかです。事業所からなのか、最寄り駅からなのかで金額が変わります。
山あいの霊園や、車でしか入れない場所にある墓は、ここで見積もりが跳ねます。先に聞いておいてください。
見積もりの前に確かめる6つのこと


私が石材店に見積もりを頼んだとき、先に聞かれたのがこのあたりでした。逆に言えば、先に用意しておけば話が早いです。
霊園の規則を確認
業者を選ぶ前に、霊園が外部の業者を入れていいかを確かめてください。ここで止まると、申し込んでも当日入れません。
墓地や霊園にはそれぞれ使用規則があります。民営霊園や寺院墓地には、出入りできる石材店を決めている指定石材店の制度を持つところもあります。
公営霊園は、基本的に業者を自由に選べます。寺の境内にある墓は、住職に一声かけてからのほうが確実です。
聞き方は簡単です。管理事務所に区画番号を言って、掃除の代行を頼みたいが外部の業者でいいか、と確かめるだけで済みます。
区画の広さと基数
ここがずれると、あとの金額が全部ずれます。管理料の請求書か使用許可証に区画の面積が書いてあります。
墓石だけでなく、墓誌、灯篭、地蔵、植木も数えて伝えてください。追加料金はこの数で決まります。
分からなければ、霊園の管理事務所に区画番号を言えば教えてもらえます。私はそれで確認しました。
供花と線香の扱い
花代が基本料金に入るか、実費で別かは業者によって割れます。シルバー人材センターは実費が多いです。
生花か造花かでも変わります。きたよ。は生花1束1,650円、造花1束2,750円(いずれも税込)と分けています。
夏の暑い時期に生花を供えても、すぐ傷みます。次の人が片付けることを考えて、造花を選ぶ家もあります。
線香の火を最後まで見届けてもらえるかも、霊園の決まりによります。火気の扱いは管理事務所の指示が優先です。
写真の撮り方を指定
頼んで安心できるかどうかは、ほとんどここで決まります。私が石材店でいちばん確かめたのもこれでした。
作業前と作業後を同じ角度で撮ってもらう。これだけで、報告が本物かどうか分かります。
もう1枚、墓石の正面に自分の家の名前が写った写真を頼んでおくと、区画の取り違えも防げます。
ここを渋る相手には頼まないほうがいいです。まっとうな業者ほど、写真の枚数を増やすことを嫌がりません。
頼む時期と回数
年に何回頼むかで、1回あたりの単価が下がります。定期プランを持っている業者は特にそうです。
ダスキンの年2回は39,600円で、1回ずつ2回頼むより4,400円安い計算でした。きたよ。も同じ構造です。
ただ、回数を増やすほど年額は当然上がります。単価の安さにつられて回数を増やすと、総額は膨らみます。
草が伸びるのを止めたいだけなら、夏の1回で足ります。命日に合わせたいなら、その1回を命日に寄せます。
途中でやめられるか
定期プランは、途中解約の扱いを先に聞いてください。年払いだと、残りが返らない契約もあります。
墓じまいを決めた年に、代行の契約だけ残るのはもったいないです。私が気にしたのもここでした。
迷っているうちは、単発で1回だけ頼むほうが身軽です。報告の質を見てから定期に移せば十分間に合います。
1回15,000円の見積もりをやめた理由


ここからは私の話です。結論を先に言うと、金額が高かったからではありません。
実家までは片道4時間です。実家の建物を売ったあとも墓だけが残って、2年続けてお盆に行けませんでした。
2年目の秋、霊園の管理事務所から電話が来ました。区画の草が伸びています、という連絡です。
その足で調べて、地元の石材店に見積もりを頼みました。出てきたのが1回15,000円、年2回で30,000円です。
うちの墓は民営霊園の一区画で、年間管理料が8,000円でした。足すと年38,000円になります。
払える金額でした。むしろ、これで草の電話が来なくなるなら安いとさえ思いました。
手が止まったのは、その先を数えたときです。年3万円を10年払うと30万円。払い終わっても、墓はそのまま残っています。
10年後の自分が、今より身軽に決められるとは思えませんでした。歳を取るぶん、動きにくくなるだけです。
代行を頼むこと自体は悪くありません。ただ、私の場合は決める日を10年先へ動かすための30万円になるところでした。
弟とは相続で1年絶縁したあとでした。墓の話をまた持ち出すのが怖かったのも、正直なところあります。



お金で先送りできるうちは、人は考えないと分かりました
結局、私は申し込みませんでした。かといって、その場で墓じまいを決められたわけでもありません。
行けないと自覚してから畳むと決めるまで、足かけ3年かかっています。その間の遠回りは、お墓が遠くて行けないときに選べる4つの道のほうに、維持と墓じまいの金額の比べ方まで書いています。
ひとつ断っておくと、これは私の条件での話です。民営霊園で菩提寺がなく、墓を継ぐ人が私しかいませんでした。
寺の境内に墓があって檀家になっている家は、畳む側の話が丸ごと重くなります。同じ計算にはなりません。
代行が向く人と、待ったほうがいい人


私は使いませんでしたが、代行が効く家はあります。分かれ目は金額ではなく、終わりを決めているかどうかです。
終わりの年を決めた人
いちばん向くのがこの人です。「あと5年は代行で維持して、60歳になったら決める」と言える状態です。
この形なら、代行は先送りではありません。決めるまでの期間を、草を伸ばさずに渡すための費用になります。
年額と年数をかけた総額も先に出ます。年2万円で5年なら10万円。ここまで書ければ、それは計画です。
承継したばかりの人
親を見送った直後は、墓のことまで手が回りません。四十九日や相続の手続きが先に来ます。
そういう時期に、単発で1回だけ頼むのは合理的です。草だけ止めて、考えるのは落ち着いてからにできます。
この場合は定期にしないでください。単発の1回は時間を買う費用ですが、定期は判断を止める費用になりやすいです。
親が行けなくなった家
親が高齢で墓参りに行けなくなり、本人が気にしている。この場合は代行がはっきり効きます。
写真の報告があるからです。手を合わせに行けない事実は変わらなくても、見せられる形が残ります。
親が元気なうちに、墓をどうするかを本人の口から聞いておけます。代行の報告書は、その話の入口になります。
元気なうちにしか聞けない話です。私は母の判断能力の線引きで間に合わなかったことがあるので、ここは強めに書いておきます。
決めていない人は待つ
終わりの年が書けないなら、契約は待ってください。見積もりだけ握っていたころの私がここにいました。
罪悪感がいちばん強い時期に契約すると、その罪悪感だけが先に軽くなります。決断は残ったままです。
きょうだいがいる家は、先に一度話してください。代行の請求書は毎年届きます。1人で払い続ける形になりがちです。
畳む方向に傾いているなら、墓じまいを親戚に反対されたときに承諾が要る人・要らない人を先に読んでおくと、話す順番を間違えずに済みます。
代行を頼んでも減らないもの


売る側が書かないので、ここは正直に書きます。代行で消えるものと、残るものがあります。
消えるのは3つです。区画の草、管理事務所からの連絡、そして親戚から「誰も行っていない」と言われる状況。
残るのはこちらです。年間管理料、墓の名義人の問題、そして次に誰が継ぐのかという話。
管理料は代行とは別に毎年かかります。代行費用だけで年額を計算すると、実際の負担を低く見積もります。
名義のほうはもっと大きいです。親が亡くなったあと名義を変えていないと、いずれ動かせなくなります。
墓は預貯金や不動産と同じようには分けません。民法897条で、祭祀を主宰する人が慣習に従って承継すると定められています。
ただ、その後の管理料や代行費を誰がいくら出すかまでは、法律が決めているわけではありません。
だから先に話しておく必要があります。1人で契約して、あとから折半を言い出すのがいちばん揉めます。
私は母の死後に霊園へ届け出て、自分に変えました。手数料は数千円で、戸籍と印鑑だけで済んでいます。
これをやっていなかったら、そのあとの墓じまいはできませんでした。代行を頼む頼まないとは別に、先に確かめてください。
継ぐ人がいない家は、代行を続けても最後は同じ場所に戻ってきます。永代供養へ移す方法は、永代供養の費用相場と種類の違いのほうにまとめてあります。
墓参り代行の費用と依頼のよくある質問


- 墓参り代行の費用はいくらが普通ですか?
-
公表されている料金で見ると、シルバー人材センターの3,000円台から、代行専門業者の27,500円まで開きます。
個人事業者が8,000円から1.2万円ほど、私が石材店で取った見積もりは1回15,000円でした。ひとつの相場に丸められる金額ではないです。
- いちばん安く頼むならどこですか?
-
墓のある市町村のシルバー人材センターです。ただし墓地清掃を受けていないセンターもあり、作業日の指定もできないことが多いです。命日に合わせたい人や、細かい要望がある人には向きません。
- 本当に行ってくれたか確認できますか?
-
作業前と作業後を同じ角度で撮った写真を頼んでください。それに加えて、墓石の正面で家名が読める1枚をもらうと、区画の取り違えも防げます。写真の指定を嫌がる相手には頼まないほうがいいです。
- 見積もりより請求が高くなるのはなぜですか?
-
区画の広さ、墓石や墓誌の数、出張費、花代が追加になるからです。ダスキンは1坪増えるごとに3,300円、きたよ。は2基目以降が1基5,500円と公表しています。最初に区画の面積と、数えた基数を伝えておけばずれません。
- 年に何回頼むのが普通ですか?
-
お盆と彼岸の年2回で定期プランを作っている業者が多いです。草を伸ばさないことが目的なら、夏の1回でも足ります。回数を増やすと1回の単価は下がりますが、年額は上がります。
- 代行を頼むのは薄情ですか?
-
距離や仕事で行けないことと、気持ちの問題は別です。私が心配なのはそこではなく、終わりの年を決めないまま代行を始めてしまうことのほうです。決断が止まったまま、費用だけ毎年出ていきます。
- 親戚に知られたら角が立ちませんか?
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隠すほうが後で問題になります。写真の報告が来る仕組みなので、その写真を先に共有してしまうほうが早いです。手を入れている事実が見えれば、話は収まりやすくなります。
- 代行の費用と墓じまいはどちらが安いですか?
-
代行は毎年かかり、墓じまいは一度きりです。何年払い続けるかで逆転します。私の墓は管理料と代行で年38,000円、墓じまいの総額が約68万円でした。年数での比べ方は、お墓が遠くて行けないときの記事にまとめています。
- 墓の名義は変えておくべきですか?
-
代行を頼む頼まないに関わらず、変えておいてください。私は母の死後に霊園へ届け出て、手数料数千円と戸籍・印鑑だけで変更できました。名義がそのままだと、あとで墓を動かす判断ができなくなります。
まとめ:年いくらを何年払うかを書く


墓参り代行の費用を調べていると、1回の金額ばかりが目に入ります。決め手はそこではありません。
あらためて、この記事の要点を並べます。
- 1回3,000〜27,500円
- 相場という1つの数字はない
- 区画と基数で追加が乗る
- 写真は前後を同じ角度で
- 管理料は代行とは別にかかる
- 終わりの年を決めてから頼む
今日やることは1つだけです。紙に「年いくら」と「何年」を書いて、かけ算をしてください。
そのうしろに「そのあと決めること」まで書けたなら、代行は頼んでいいと思います。
書けないなら、その代行はまだ早いです。私はそれを書けないまま見積もりを握って、1年を無駄にしました。
母のことを思い出すのに、草の電話に怯えている必要はなかったな、と今は思います。










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