兄弟との相続の話が止まったまま、何ヶ月も過ぎている。自分から連絡すると角が立つし、放っておくと何も進まない。
そこで頭に浮かぶのが、叔父や叔母、いとこといった親戚に間に入ってもらう案だと思います。私もそうでした。
先に結論を書きます。親戚に頼んで変わるのは「話す場」であって「分け方の中身」ではありません。ここを取り違えると、頼んだ側も頼まれた側も傷つきます。
私は母を看取ったあと、弟と遺産分割で揉めて1年、口をきかなくなりました。動き出したきっかけは親戚が間に入ってくれたことです。
ただ、数字が決まったのはその場ではありません。最後に金額が決まったのは、相続手続きを頼んだ窓口の担当者の応接室でした。
この記事では、頼んで効く場面とこじれる場面、親戚の中でも向く人と向かない人、頼む前に決めておく3つ、それから親戚では無理だったときの次の一手までを書きます。
そもそも自分から切り出す段階で止まっている人は、遺産分割の話し合いの切り出し方を先に読んでください。人を挟むかどうかは、その次の判断です。
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親戚に間に入ってもらって変わるのは、場であって中身ではありません

頼むかどうかを考える前に、頼んだら何が起きるのかを押さえておいてください。ここがずれていると、期待した方向に進みません。
1年止まった話が動いた日
私と弟が口をきかなくなったのは、母の四十九日の翌々月です。実家の居間で、介護3年ぶんとして200万円を上乗せしてほしいと言い、その根拠を出せなかった。
弟は「そんな話は聞いていない」と言って席を立ちました。その夜にかけた電話が途中で切れて、そこから1年です。
その1年で私がやったことを正直に書くと、和解の努力ではありませんでした。自分の持分だけ売れないかと、共有持分の買取業者に電話で相談しています。
関係を直すより、関係を切るほうを先に調べたわけです。あのときの自分に会えるなら、その電話をする前に親戚に連絡しろと言いたい。
結局、話が再開したのは親戚が間に入ってくれたからでした。1年たってからです。
ただ、そこで分け方が決まったわけではありません。動いたのは「もう一度会う」というところまででした。
親戚にできる3つのこと
間に入ってもらって実際に動くのは、次の3つだと思ってください。
- 会う日と場所を決める
- 途中で話を止める
- 後日の言い分をそろえる
1つめが一番大きいです。当人同士だと、連絡すること自体が「折れた」という意味を持ってしまいます。間に人がいると、それがただの日程調整になります。
2つめは、声が大きくなったときに「今日はここまでにしよう」と言える人がいるかどうかです。2人だけだと、どちらが言っても負けを認めた形になります。
3つめは意外と効きます。あとから「言った」「言わない」になったとき、その場にいた第三者の記憶が共通の土台になるんです。
決めるのは相続人だけです
逆に、親戚に頼んでも動かないことがあります。分け方そのものです。
民法907条1項は、共同相続人はいつでも協議で遺産を分割できると定めています。ここに書かれているのは共同相続人であって、親族一般ではありません。
つまり相続人でない親戚は、どれだけ立派な人でも決定権を持ちません。最後に名前を書いて実印を押すのは相続人だけです。
ここを曖昧にしたまま呼ぶと、親戚のほうが「自分が裁く役だ」と受け取ることがあります。そうなると、今度は親戚と兄弟の関係が壊れます。
頼むときに伝える一言は、判断してほしいではなく、同じ場にいてほしい。これだけで役割の線が引けます。
頼んで効く場面と、かえってこじれる場面

同じ「間に入ってもらう」でも、うまくいく家といかない家があります。違いは性格ではなく、止まり方の種類です。
効きやすい3つの条件
次のどれかに当てはまるなら、親戚に入ってもらう価値があります。
- 分け方では揉めていない
- 言い方で気まずくなった
- 連絡の口実がなくなった
要するに、中身ではなく感情で止まっている場合です。実家を売ることも折半することも合意できていて、ただ会えない。ここは人を挟むと一気に進みます。
私の家も、あとから振り返ればこの型でした。売ること、費用を先に引くこと、残りを折半することまでは、最初の話し合いで弟も頷いていたんです。
止まったのは4つめの上乗せだけ。それなのに全部が止まりました。
相手からの反応がないまま止まっている人は、その沈黙が感情なのか事情なのかで対応が変わります。兄弟が何も言ってこないときの確かめ方を先に通してから、人を挟むか決めてください。
やめたほうがいい4つ
逆に、次に当てはまるときは親戚を呼ばないほうがいいです。
- 取り分の主張が食い違う
- 使い込みを疑っている
- 相手に代理人がついた
- 相手の配偶者が出てきた
取り分そのものが争点になっているなら、親戚が何を言っても「身内のえこひいき」に見えます。そのとき必要なのは中立ではなく、根拠です。
親のお金の使い込みを疑っている場合はもっと危ないです。調べるには通帳の履歴や施設の請求書が要るのに、親戚を呼ぶと調べる話が説得の話にすり替わります。
相手が弁護士を立てたあとは、こちらも窓口を専門家にそろえてください。本人同士で話せなくなるわけではありませんが、親戚が話しても結局は代理人を通す形に戻され、二度手間になります。
相手の配偶者が出てきたケースも、私は避けたほうがいいと思っています。配偶者は相続人ではないので、親戚が入ると相続人でない人が2人向かい合う形になります。
どっちの味方かの問題
頼む前に一番考えておくべきはここです。その親戚は、相手から見ても中立に見えるか。
こちらが先に相談しているという事実だけで、相手には「兄が味方を連れてきた」と映ります。私はそれを軽く見ていました。
目安になるのは、その人が過去に相手側の相談も受けていたかどうかです。どちらの愚痴も聞いてきた人なら、入ってもらっても偏りません。
片方としか付き合いがない人だと、入った瞬間に構図が2対1になります。人数の差は、内容より先に相手の態度を固くします。
親戚の中でも、向いている人と避けたい人

誰に頼むかで結果は変わります。年長だから、しっかりしているから、という選び方だとはずれます。
向いている人の条件
私が見てきたかぎり、うまく収まる人には共通点があります。
- 両方と行き来がある
- 遺産に利害がない
- 結論を言わずに聞ける
- 連絡がつきやすい
3つめが地味に大事です。人生経験のある人ほど、その場で正解を言いたくなります。ところが言われた側は、決めつけられたと感じて閉じてしまう。
4つめも軽く見ないでください。日程を回す役を頼むのに、電話がつながらない人だと、そこで止まります。
亡くなった親の兄弟、つまり叔父や叔母は、条件に合うことが多いです。どちらの甥にも同じ距離で接してきた人が多いからだと思います。
避けたほうがいい人
反対に、次の人は避けてください。
- 同居していた親族
- 生前にお金が動いた人
- お墓や法事の負担者
- 片方の家にだけ近い人
親と同居していた親族や、生前に金銭のやりとりがあった人は、話の途中で自分の立場を守る発言が出ます。悪意ではなく、当然の反応です。
お墓や法事を引き受けている人も難しいです。祭祀の負担と遺産の分け方は別の話なのに、同じ席では必ずつながってしまいます。
私の家は実家の墓を畳んでいるので、そこは揉めませんでした。ただ、墓の話が絡むと親戚の反応は一段変わります。墓じまいを親戚に反対されたときに、そのときの順番を書きました。
当事者になる親族もいます
ここは見落とされがちなので、はっきり書いておきます。相続人でない親族でも、自分の請求権を持っている場合があります。
民法1050条に特別の寄与という仕組みがあります。相続人でない親族が無償で療養看護をして、亡くなった方の財産の維持や増加に特別の寄与をしたとき、相続人に対して特別寄与料を請求できるというものです。
たとえば長男の妻が親の介護をしていた場合、その人は調整役ではなく請求する側になり得ます。中立の第三者として呼ぶ相手ではありません。
この請求は期限が短いです。家庭裁判所への請求は、相続の開始と相続人を知った時から6ヶ月、または相続開始から1年を過ぎるとできなくなると条文に書かれています。
該当しそうな人が身内にいるなら、間に入ってもらう相談より先に、その人自身の権利の話を専門家に当ててください。順番を逆にすると、あとで全部やり直しになります。
頼む前に決めておく3つと、実際の頼み方

相手を決めたら、連絡する前に3つだけ決めてください。これをやっておくと、断られたときも気まずくなりません。
どこまで頼むかを先に
頼む範囲は、次の3段階のどれかにしてください。
- 声をかけてもらうだけ
- 日程と場所を決める
- 当日も同席してもらう
迷ったら1から始めてください。「近いうちに一度会いたいらしい」と伝えてもらうだけで動く家は、思っているより多いです。
3を頼むときは、同席の意味も先に決めておきます。座っているだけなのか、進行役なのか。ここが曖昧だと、当日その人が困ります。
どの段階でも、内容の判断は頼まない。これだけは崩さないでください。
電話での入り方も決めておくと楽です。私なら、相続の相談ではなく、日程の相談として持っていきます。
「弟と実家の件で止まっていて、こちらから連絡すると角が立ちそうなんです。近いうちに一度会いたいとだけ、伝えてもらえませんか」。ここまでで切ってください。
続けて事情を話したくなりますが、そこで愚痴に入ると、頼みごとではなく相談になります。相手は判断を求められたと感じて身構えます。
断られることもあります。そのときは食い下がらないでください。断る人は、両方と付き合いがあるからこそ断っています。
「聞いてもらえただけで助かりました」で終わらせておけば、関係は残ります。断られた時点で、頼み先を親戚から外に移す判断に切り替えてください。
渡す紙は事実だけ
間に入ってもらうなら、その人に渡す紙が要ります。持たせるのは事実だけです。
- 相続人は誰か
- 何が残っているか
- 今どこで止まっているか
自分の希望額や、相手への不満は書かない。書いた瞬間、その紙は主張の書面になり、渡された人は運び屋にされたと感じます。
私は最初の話し合いで、事実と自分の言い値を1枚に混ぜて弟に出しました。あれで全部が止まっています。
もうひとつ、その紙は相手にも同じものが渡る前提で作ってください。間に入る人が両方に別々の話を持たされると、板挟みになって潰れます。
紙の作り方そのものは話し合いの切り出し方の記事に詳しく書いたので、そちらを見てください。人に渡す場合も中身は同じです。
お礼をどうするか
これを書いている記事が少ないので、はっきり書いておきます。現金の謝礼は渡さないでください。
弁護士法72条は、弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関して鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を取り扱うことを業とするのを禁じています。仲裁という言葉がそのまま条文に入っている点は、頼む前に知っておいていいと思います。
親戚が無償で一度立ち会うことが、ただちにこれに当たるという話ではありません。条文が問題にしているのは、報酬を得る目的で、業として行う場合です。
ただ、謝礼を渡した時点で関係の性質が変わります。頼んだ側は成果を期待し、受けた側はまとめる責任を負ったように感じる。素人が背負うには重すぎます。
現実的な線は、交通費などの実費と、手土産まで。そこから先を払いたくなったら、それは専門家に頼む段階に来たという合図です。
親戚をやめて、専門家に切り替える線

親戚に入ってもらっても動かない家はあります。粘る期間を決めておかないと、私のように1年が過ぎます。
切り替える4つの合図
次のどれかが出たら、親戚に粘るのをやめてください。
- 間に入って2回動かない
- 親戚が板挟みで参っている
- 話す内容が毎回同じ
- 期限が近づいてきた
2回というのは私の目安です。1回目で会えず、2回目も日程すら決まらないなら、止まっているのは感情ではなく中身のほうだと考えたほうがいい。
2つめは見落とさないでください。頼まれた人は、両方から違う話を聞かされて消耗します。その人との関係まで失うと、家族全体の損です。
期限のほうも気にしてください。協議そのものに期限はありませんが、相続登記は相続の開始と自分が取得したことの両方を知った日から3年、相続放棄は3ヶ月と、周りに区切りがあります。
それから、相続開始から10年を過ぎた分割には、特別受益と寄与分の規定が使えなくなります。介護の苦労を主張するつもりなら、ここは効いてきます。
頼み先で中身が違う
専門家といっても、やってくれることはまったく違います。混ぜると高い買い物になります。
- 弁護士=交渉の代理
- 税理士=相続税の申告
- 手続き代行=書類と登記
相手と直接やりとりする役を引き受けてもらえるのは弁護士だけです。ただ、代理人を立てた時点で相手も身構えるので、まだ話せる関係なら早すぎます。
弁護士に頼むかどうかを迷っている段階なら、相続で弁護士を探したときの体験に、私が実際に検索して問い合わせるまでの流れを書いています。
一方で、揉めているわけではなく、戸籍集めや協議書や登記の手間で止まっているだけなら、手続き代行で足ります。母の相続で私が使ったのはここです。
戸籍の収集から遺産分割協議書、実家の登記までまとめて任せたい人は、nocos(ノコス)の相続手続き代行を見てみてください。私は預貯金の解約を1金融機関ぶん足して、税込22万円と実費で頼みました。
良いところだけ読んで決めてほしくないので書いておくと、進捗の連絡が1ヶ月止まって、私のほうから催促のメールを打ったことがあります。
それから、揉めている最中の仲裁は手続き代行の仕事ではありません。話がついたあとを任せる先です。ここを期待して申し込むと、お互いに困ります。
どこに頼むかまだ決まっていないなら、相続の相談先の比較から見てください。無料相談で見積もりを取ってから決めて構いません。
応接室で決まった数字
私の話に戻ります。親戚が間に入って弟と会えるようになったあと、最後に数字が決まったのは窓口の担当者の応接室でした。
実家は1,800万円で売れました。そこから決まったのは次の形です。
- 仲介手数料約66万は売却代金から
- 実家じまい150万は私へ先に戻す
- 残り約1,584万を792万円ずつ
- 預貯金約340万を170万円ずつ
- 介護分の上乗せ200万は取り下げ
1年こじらせて、私が最初に出した4つのうち通ったのは、最初から通っていた3つだけでした。上乗せは自分で取り下げています。
言い出せなかったものもあります。名義が母のままだった1年に私が払った実家の維持費、約28万円です。
固定資産税などが約5万、電気と水道の基本料が約4万、火災保険が約2万、帰省6往復の交通費が約17万。全部こちら持ちのまま終わりました。
ここで言いたいのは、止まっている間もお金は出ていくということです。人を挟むかどうかを何ヶ月も迷う時間には、それなりの値段がついています。
そして、あの日に効いたのは親戚でも専門家の法律知識でもなく、2人だけで向かい合わずに済む部屋があったことでした。それだけで声の大きさが変わります。
家庭裁判所の調停という選択肢

親戚でも専門家でも動かないときは、裁判所に第三者になってもらう方法があります。身構える人が多いので、中身を先に書きます。
申立先と費用
民法907条2項は、協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人が家庭裁判所に分割を請求できると定めています。
この請求のうち、話し合いで進めるほうが遺産分割調停です。裁判所の案内によると、申立先は相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所です。
ここで先に知っておいてほしいことが2つあります。1つは、相続人のうち1人または何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てる形だという点です。
揉めているのが1人だけでも、他の兄弟を外して2人だけで進めることはできません。声をかけずにいた相続人がいるなら、調停を考える前にそこを埋めてください。
もう1つは場所です。相手方の住所地が基準なので、遠方に住む兄弟を相手にすると、こちらが通うことになります。私のように実家まで片道4時間という家だと、ここは無視できません。
合意で管轄を決められるとも書かれているので、相手と最低限の話ができるうちなら、場所の相談だけは先にしておくと後が楽です。
費用も公開されています。被相続人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です。郵便料は裁判所ごとに異なるので、申立先で確認してくださいと書かれています。
1,200円という数字を見て、拍子抜けする人が多いと思います。私もそうでした。裁判というより、公的な場所を借りる感覚に近いです。
ただし手間はかかります。申立書のほかに、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍、相続人全員の戸籍と住民票、不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書、預貯金の残高証明書などが要ります。
この戸籍集めは、協議で進める場合にも結局必要になるものです。遺産分割協議書の作り方で必要書類をまとめているので、どちらに進む人も先に目を通しておくと無駄がありません。
間に入るのは誰か
調停で間に入るのは裁判官ひとりではありません。家事事件手続法248条1項に、調停委員会は裁判官1人と家事調停委員2人以上で組織すると書かれています。
同法247条1項のただし書には、家庭裁判所が相当と認めるときは裁判官のみで行えるとあります。ただし2項で、当事者の申立てがあるときは調停委員会で行わなければならないと定められています。
進め方は、双方から事情を聴いて、必要なら資料を出してもらい、それぞれの希望を聞いたうえで解決案を示していく形だと裁判所は説明しています。
合意ができて調書に記載されると、それは確定判決と同じ効力を持ちます。親戚に立ち会ってもらった口約束とは、ここが決定的に違います。
まとまらなかった場合は、自動的に審判の手続きが始まります。今度は裁判官が一切の事情を考慮して決めることになります。
つまり調停に進むというのは、決める役を家族の外に渡すということです。楽になる面と、思った形にならない面が両方あります。
親戚は同席できるのか
ここまで親戚に頼ってきた人が気になるのは、その人を調停にも連れていけるのかだと思います。
家事事件手続法258条1項が42条を準用していて、審判を受ける者となるべき者以外で、結果により直接の影響を受ける人などは、家庭裁判所の許可を得て手続に参加できるとされています。
言い換えると、相続人でない親戚が当然に同席できるわけではありません。付き添いや同席が認められるかは、申し立てる家庭裁判所に確認してください。
個人的には、ここが親戚に頼む段階の終わりだと思っています。裁判所には専門の調停委員がいるので、素人が板挟みになる必要はもうありません。
間に入ってくれた人には、そこまで来たことを伝えて、役目を終えてもらってください。私がやっておけばよかったと思うのは、この線引きのほうです。
相続で親戚に間に入ってもらうことのよくある質問

- 親戚に間に入ってもらうのは、頼まれた側から見て迷惑ですか?
-
頼む範囲が曖昧だと迷惑になります。まとめてほしいと言われると、断りにくいのに引き受けきれないからです。
逆に、声をかけるだけ、日程を決めるだけ、と範囲が決まっていれば引き受けやすくなります。頼むときに終わりの形も一緒に伝えてください。
- 親戚が話をまとめてくれました。口約束のままで大丈夫ですか?
-
大丈夫ではありません。不動産の名義変更も預貯金の解約も、遺産分割協議書と相続人全員の実印、印鑑証明書が要ります。
合意できた日のうちに、決まった内容をその場で紙に残してください。正式な協議書はあとから作れますが、記憶は数週間で食い違います。
- 親戚に相談したら、相手に筒抜けになりませんか?
-
伝わる前提で話してください。間に入ってもらう相手は、両方と行き来がある人が望ましいので、当然そちらとも話します。
だからこそ、渡す情報は事実だけにします。相手への不満を混ぜると、それがそのまま届いて話がこじれます。
- お礼に現金を渡してもいいですか?
-
やめておいてください。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、法律事件に関する鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を業として扱うことを禁じています。
親戚が無償で一度立ち会うことが直ちにこれに当たるという話ではありませんが、報酬を渡すと関係の性質が変わります。実費と手土産までにして、それ以上を払いたくなったら専門家に切り替える合図だと考えてください。
- 親戚が相手の味方をして、2対1になってしまいました。
-
その場で言い返さず、いったん終わりにしてください。人数で負けている場で内容を争っても、ほぼ通りません。
そのあとは、人を足すのではなく根拠を足す方向に切り替えます。評価額の資料、立て替えの領収書、通帳の記録です。次に会う場所も、どちらの家でもない所にしてください。
- 頼める親戚がいません。どうすればいいですか?
-
親戚は必須ではありません。実際に効いていたのは中立の人柄よりも、2人だけで向かい合わない場所のほうです。
専門家の事務所の相談室でも、その効果は出ます。それでも動かないなら、家庭裁判所の調停へ進むことになります。申立費用は被相続人1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。
- 介護をしたぶんを主張したいのですが、親戚に言ってもらえますか?
-
頼まないでください。それは事実ではなく評価の話なので、第三者が代弁すると押しつけの形になります。
先に根拠をそろえてください。通帳やカードの明細、交通系ICや高速道路の利用履歴、病院や施設の記録です。私はここを用意できないまま口に出して、1年こじらせました。
- 話し合いに期限はありますか。急いだほうがいいですか。
-
協議そのものに期限はありません。民法907条1項は、共同相続人はいつでも協議で分割できると定めています。
ただ、周りには期限があります。相続放棄は3ヶ月、相続登記は相続と取得を知った日から3年です。それに民法904条の3で、相続開始から10年を過ぎた分割には特別受益と寄与分の規定が使えなくなります。介護の分を主張するつもりなら、この10年は効いてきます。
まとめ:今日書くのは「誰に何をどこまで」の1行

親戚に間に入ってもらうかどうかで迷っている人が本当に迷っているのは、頼んでいいのかどうかではないと思います。頼んで何が変わるのかが見えないことです。
変わるのは場です。会う口実ができて、声が大きくなったときに止める人がいて、あとから言い分がそろう。分け方そのものは動きません。
だから、分け方で揉めているなら人ではなく根拠を足す。気まずさで止まっているなら人を挟む。この2つを分けてください。
今日やることは1行だけです。誰に、何を、どこまで頼むか。名前と範囲を書く。それだけで、連絡するかしないかの迷いは終わります。
私は1年、その1行を書かないまま、自分の持分だけ売る方法を調べていました。止まっていた間の維持費は約28万円で、弟には一度も請求していません。
兄弟が揉める理由をもう少し広く知りたい人はきょうだいの相続トラブルの原因を、連絡そのものが途絶えている人は連絡を無視されたときの進め方を続けて読んでください。


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