誰も住まなくなった実家に、大きな仏壇だけが残る。うちに置く場所はない。でも捨てるなんて言葉にするのも怖い。
私も母を見送ったあと、まったく同じ場所で止まりました。結論から言うと、道は「引き継ぐ」「小さくする」「仏壇じまい」の3つです。
私は3つ目を選びました。閉眼供養をお願いして、本体は遺品整理と一緒に手放して、位牌だけ自宅に連れて帰りました。
この記事では、その手順と費用の実額、「罰当たりじゃないか」と怖かった気持ちの片づけ方、弟との気まずかった話まで正直に書きます。
けんじ「どうにかしなきゃ」と思いながら1年放置しても大丈夫です。私がそうでした。
親が死んだら仏壇はどうする?選べる道は3つ


まず全体像からです。仏壇の行き先は、突き詰めるとこの3つしかありません。
引き継いで自宅に置く


いちばん角が立たない道です。実家の仏壇をそのまま自分の家へ運び、祀り続けます。
ただ、昔の仏壇は本当に大きい。うちの実家のは高さが160cmほどあって、マンションのリビングに置いたら生活が変わってしまう大きさでした。
移動には仏壇の引っ越しに慣れた業者が要りますし、置き場所と日々のお世話を続けられるかも問われます。「置けるか」より「守り続けられるか」で考えるのが現実的です。
小さい仏壇に替える


大きな本体は手放して、位牌やご本尊だけを小さな仏壇に移す道です。今はA4サイズほどのミニ仏壇や、棚の上に置ける手元供養の道具がたくさんあります。
「供養の気持ちは続けたい。でも置く場所がない」という人には、これが一番しっくりくると思います。
大きい本体の方は、次の仏壇じまいと同じ手順で見送ることになります。
仏壇じまいで手放す


閉眼供養というお経をあげてもらってから、本体を処分する道です。私はこれを選びました。
順番だけ間違えなければ、決して乱暴な選択ではありません。供養してから手放す。この順番がすべてです。
実家じまいのスケジュールと絡むので、判断の時期は家の片づけ全体と一緒に考えるのがおすすめです。全体の流れは実家じまいの費用と進め方にまとめています。
処分は罰当たりなのか。私も怖かった


正直に書きます。私は仏壇を処分すると決めたあとも、ずっと胸の奥がざわざわしていました。
子どもの頃、あの仏壇の前で祖父母に手を合わせさせられた記憶があります。それを「処分」という言葉で扱う自分が、薄情に思えて仕方なかった。
救いになったのは、閉眼供養に来てくださったお坊さんの言葉でした。「魂抜きをすませた仏壇は、お役目を終えた家具です。手を合わせてきた気持ちは、位牌と一緒に持っていけばいい」。
仏壇は「入れ物」で、想いの本体は自分の中にある。そう区切りをつけてから、ようやく前に進めました。罰当たりかどうかで止まっている方は、この考え方をひとつの答えにしてもらえたらと思います。



怖さが消えないのは、大事にしてきた証拠です。
私が仏壇じまいをした手順と費用【実録】


ここからは、私が実際にやったことを順番に書きます。母の一周忌を終えて、実家じまいを本格的に始めた時期の話です。
僧侶の手配から始めた


うちには菩提寺がありません。四十九日と一周忌は、僧侶手配サービスの「よりそうお坊さん便」でお願いしていたので、閉眼供養も同じ所に頼みました。
電話で「実家を片づけるので、仏壇の魂抜きをお願いしたい」と伝えると、日程と宗派の確認だけで話が済みました。菩提寺がある方は、まずそちらへ連絡するのが筋です。
頼んだときの流れや料金の詳しい話は、よりそうお坊さん便を使った体験談に書いています。
閉眼供養の当日


当日は、袈裟姿のお坊さんが実家に来てくださって、仏壇の前で30分ほどの読経でした。私と妻の2人だけで立ち会いました。
読経の間、子どもの頃の実家の匂いを思い出して、少し泣きました。儀式というのは、残された側の気持ちの区切りのためにあるんだと、あの30分で腑に落ちました。
終わったあと、お坊さんが「これでお仏壇はお役目を終えました」と言ってくださって、部屋の空気がひとつ軽くなった気がしました。
お布施は5万円だった


私の場合、お布施は50,000円でした。よりそうお坊さん便は初回35,000円、2回目以降50,000円の定額で、私は3回目の利用だったのでこの額です。
一般に、閉眼供養のお布施の目安は1万〜5万円と言われます。菩提寺との関係や地域でかなり幅が出る部分です。
「いくら包めばいいか」を悩まなくてよかったのは、定額サービスの気楽さでした。
本体の処分と位牌


魂抜きをすませた本体は、実家じまいで頼んだ遺品整理業者の回収と一緒に引き取ってもらいました。仏壇単体の処分を業者や仏具店に頼むと、大きさにより2万〜8万円ほどが目安です。
そして位牌と過去帳だけは、手放しませんでした。今はうちのリビングの小さな棚に置いて、朝にお茶を替えています。
全部残すか全部手放すかの二択ではない。ここが、当時の私に一番教えてあげたいことです。



位牌だけの「連れて帰る」でも、供養はちゃんと続きます。
誰が引き取るか。弟と気まずくなった話


仏壇の話には、もうひとつ厄介な軸があります。「きょうだいの誰が持つのか」です。
うちの場合、遺産分割で弟と揉めていた時期に、この話が重なりました。私は長男だから引き取るべきなのか。弟は「兄さんの家の方が広い」と言い、私は「お前は実家に近い」と返す。
いま思えば、どちらも仏壇が欲しくないのではなく、「引き取らない=薄情」と思われるのが嫌だったんです。押し付け合いの正体は、たいてい罪悪感の押し付け合いです。
結局、「仏壇じまいをして、位牌は長男の私が預かる」で落ち着きました。物としての仏壇と、供養の役割を分けたら、あっけないほど話が進みました。
きょうだいで揉めそうな気配がある方は、きょうだいの相続トラブルの話も読んでみてください。仏壇は感情の導火線になりやすいので、早めに火を消しておくのが得策です。
仏壇じまいで後悔しないための注意3つ


経験して分かった注意点を3つに絞ります。どれも、知らずに進めると後悔が残るものです。
魂抜きを飛ばさない


閉眼供養をせずに粗大ごみへ、という流れは、あとから必ず心に引っかかります。費用を抑えたい場合でも、ここだけは省かないでください。
宗派によって呼び方は変わります。浄土真宗では魂という考え方をしないため、遷仏法要・遷座法要という形のお勤めになります。名前は違っても「お経をあげてから動かす」のは同じです。
引き出しを全部見る


仏壇の引き出しは、家の貴重品置き場になっていることが多いです。うちの母の仏壇からは、古い通帳と、私と弟の子どもの頃の写真が出てきました。
回収の当日ではなく、供養より前の日に全部あらためてください。当日は気持ちに余裕がなく、見落とします。
権利証や印鑑など相続に関わる物が出てくることもあります。出てきた物の扱いは身内が亡くなったらすることリストで確認できます。
見積もりは複数取る


処分を業者に頼むなら、見積もりは必ず2〜3社取ってください。私は実家じまいの最初の業者に、相場の倍近い額を出されかけた経験があります。
仏壇は「供養もセットでやります」という営業文句が付きやすく、料金の内訳が見えにくい品目です。供養料込みか、運び出し料は別かを紙の見積もりで確かめましょう。
比べ方と業者の選び方は、遺品整理業者おすすめランキングに3社相見積もりの実体験ごと書いています。
仏壇の処分にかかる費用一覧


費用の目安を一覧にまとめます。私のように実家じまいと同時なら、遺品整理の見積もりに含める形が一番むだがありません。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 閉眼供養のお布施 | 1万〜5万円 | 私は定額5万円 |
| 僧侶手配サービス | 3.5万〜5万円 | 菩提寺なしの人向け |
| 仏具店・専門業者 | 2万〜8万円 | 大きさで変わる |
| 遺品整理と一緒 | 見積もりに含む | 私はこの形 |
| 自治体の粗大ごみ | 数百〜数千円 | 受付可否は要確認 |
粗大ごみは最安ですが、自治体によっては仏壇を受け付けません。それに、供養をすませたとしても、収集所に置かれた仏壇を見るのはこたえます。私は業者回収にしてよかったと思っています。
親が死んだあとの仏壇によくある質問


- Q実家に仏壇を置きっぱなしにするとどうなりますか?
- A
法律上の問題はすぐには起きません。ただ空き家の湿気で傷みますし、家を売る・解体する段階で必ず向き合うことになります。先送りした分だけ、判断の時間がなくなると考えてください。
- Q四十九日の前に仏壇を処分してもいいですか?
- A
急ぐ事情がなければ、四十九日を終えてからをおすすめします。法要で仏壇を使いますし、気持ちの整理の面でも早すぎる処分は後悔につながりやすいです。
- Q浄土真宗でも魂抜きは必要ですか?
- A
浄土真宗には魂を抜くという考え方がなく、代わりに遷仏法要(遷座法要)を行います。呼び方が違うだけで、お経をあげてから仏壇を動かす流れは同じです。
- Q位牌だけ残すことはできますか?
- A
できます。私も本体は手放し、位牌と過去帳だけ自宅に置いています。位牌も手放す場合は、お焚き上げや永代供養という形があります。詳しくは永代供養の費用と種類をどうぞ。
- Q仏壇の処分費用は誰が払うべきですか?
- A
決まりはありませんが、実家じまいの費用の一部として相続人で分担するのが揉めにくいです。誰か1人の「気持ち」に負担を寄せないのがコツです。
- Q仏具店やニトリで引き取ってもらえますか?
- A
仏具店は、買い替えを伴えば古い仏壇の引き取りに応じる店が多いです。家具量販店の引き取りは対象や条件が店ごとに違うので、持ち込む前に必ず確認してください。
- Q賃貸で置き場がない場合はどうすればいいですか?
- A
ミニ仏壇や手元供養に切り替える人が多いです。祀る場所の広さと供養の気持ちは別物なので、住まいに合う形へ変えることをためらわなくて大丈夫です。
まとめ:仏壇は「入れ物」。想いは持っていける


親が死んだあとの仏壇の道は、引き継ぐ・小さくする・仏壇じまいの3つです。どれを選んでも、供養してから動かすという順番さえ守れば、罰当たりな道はひとつもありません。
私は閉眼供養に5万円を包み、本体は遺品整理と一緒に見送り、位牌だけ連れて帰りました。あの選択を後悔したことは、一度もありません。
迷っている方は、まず菩提寺か僧侶手配サービスに電話を1本。話はそこから動き始めます。実家全体の片づけは実家じまいの費用と進め方、業者選びは遺品整理業者おすすめランキングが続きの道しるべになります。











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