生前整理は、お金と書類→スマホ→物→思い出の品→気持ちを書き残すの順に進めると迷いません。いきなり押し入れから手をつけると、大事な書類まで一緒に捨てかねないからです。
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
私は母を見送ったあと、片道4時間の実家を片付けて手放しました。処分予定の紙袋の底から母の保険証券が出てきたこともあります。
「元気なうちに、ここだけやっておいてくれたら」と思った順に、進め方を並べます。自分の生前整理を始めたい方にも、親に始めてほしい方にも使える形にしました。
けんじ生前整理は、片付けの上手い下手より順番で決まります。母の家で遠回りした私の失敗も、そのまま書きますね。
生前整理とは?遺品整理との違い


生前整理とは、本人が元気なうちに、物・お金・情報を整理しておくことです。亡くなったあとに家族が片付ける遺品整理とは、やる人と時期が違います。
| 比べる点 | 生前整理 | 遺品整理 |
|---|---|---|
| やる人 | 本人(家族と) | 残された家族 |
| 時期 | 元気なうち | 亡くなったあと |
| 判断するのは | 本人 | 家族が推測で |
| 整理する物 | 物・お金・情報 | 主に物 |
いちばんの違いは、本人に聞けるかどうかです。遺品整理では、捨てていいかを全部こちらが推測で決めることになります。
母の家では、押し入れを開けて閉めるだけで帰った日が何度もありました。月に一度しか行けないのに、です。聞ける相手がいないと、片付けは驚くほど進みません。
生前整理の進め方5ステップ


順番は「なくすと困る物」から「気持ちが絡む物」へ。体力を使う物の片付けは3番目に置いています。
| 順番 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | お金と書類の一覧 | 週末1〜2回 |
| 2 | スマホ・ネットの整理 | 1日 |
| 3 | 物を減らす | 数か月〜 |
| 4 | 思い出の品を選ぶ | 急がない |
| 5 | 気持ちを書き残す | 元気なうちに |
1. お金と書類の一覧


最初にやるのは、片付けではなく一覧づくりです。ノート1ページに、どこに何があるかを書き出します。
- 銀行口座(銀行名と支店)
- 保険証券の保管場所
- 年金の書類
- 家や土地の権利証
- ローンや借入れ
- 印鑑と実印の場所
母の口座は2つでした。ひとつは少額で、窓口で解約するのに2時間近く待ちました。口座の数と銀行名は、分かっているだけで家族の手間がまるで違います。
保険証券は、処分予定の紙袋の底で見つけました。保険に入っていること自体は弟が知っていましたが、現物は家のどこにあるか誰も知らなかったんです。
借入れは書きにくい項目ですが、家族がいちばん困るのもここです。無いなら「無い」と一行書いておくだけで、残された側の調べ物が一つ減ります。
一覧ができていない親の通帳を探す場合は、親の通帳が見つからないときの探し場所と手順にまとめています。
2. スマホとネットの整理


今は、通帳のないネット銀行や、スマホの中だけの月額サービスも珍しくありません。国民生活センターにも、IDやパスワードが分からず解約できないという遺族の相談が寄せられています。
同センターが勧めているのは、スマホのロック解除の方法と、ネットの契約(サービス名・ID)を家族が分かる形で残すことです。パスワードを書いた紙を修正テープで隠す「スマホのスペアキー」という方法も紹介されています。
見られたくない写真やデータは、この段階で本人が消しておけば済みます。亡くなったあとに家族が消すかどうか迷うより、ずっと穏やかです。
3. 物を減らす


物は「迷わない物」から減らします。壊れた家電、何年も開けていない箱、同じ物が何個もある日用品。判断のいらない物で弾みをつけるのがコツです。
母の家でいちばん困ったのは、量が多くて値もつかない普段着でした。
最後は「種類ごとに残す数を先に決める」方式にして、ようやく進みました。私が残した衣類はエプロン1枚です。
まだ使える物は、売る・譲るで手放すと気持ちが軽くなります。母の着物は、近所の方が1枚もらってくれたことで、残りを手放す抵抗がすっと下がりました。
4. 思い出の品を選ぶ


写真・手紙・趣味の品は最後に回します。ここで手が止まるのは普通のことで、止まっても1〜3の効果は消えません。
残す量は「段ボール1箱」のように器で決めると、選ぶ作業に変わります。
私が母の物で最終的に残したのも、位牌と過去帳のほかは段ボール1箱でした。写真アルバム3冊、手帳、鏡台の手鏡、エプロンです。
本人がいるうちなら、「これは誰に」と付箋を貼っておくだけで十分です。家族は、その付箋ひとつで迷わずに済みます。
5. 気持ちを書き残す


最後に、1〜4で分かったことと本人の希望を書き残します。受けたい医療、葬儀やお墓の希望、連絡してほしい人などです。
手軽なのはエンディングノートの書き方にある項目を埋めていく方法です。
ただしエンディングノートに法的な効力はありません。財産の分け方を確実に残すなら遺言書が別に必要です。
自分で書いた遺言書は、法務局で預かってもらう制度があります。保管の申請手数料は1件3,900円です(2026年10月時点・法務省)。
「保留」の箱は期限をつけて使う


生前整理の手順ではよく「要る・要らない・保留」に分けると言われます。私もそのつもりで、母の家では迷った物を全部残す作戦をとりました。
9箱が廊下に半年


3回目の帰省で、迷った物を宅配便で自宅へ送りました。段ボール9箱です。
妻に「これ、どこに置くの」と聞かれて、答えられませんでした。廊下に半年積んだあと、8箱は開けないまま処分しています。
保留は、判断の先送りに名前をつけただけでした。9箱が1箱になるまで、結局1年半かかっています。
保留の3つのルール


保留を使うなら、次の3つを先に決めておくと、私のような積みっぱなしを防げます。
- 箱は1つだけにする
- 開ける日を箱に書く
- その日に開けなければ手放す
開ける日は3か月後くらいで十分です。3か月一度も思い出さなかった物は、たぶんその先も思い出しません。
とか言いつつ、私もいまだに母の茶碗を1つ残せばよかったかな、と思うことはあるんですが。
捨てられない気持ちそのものの扱い方は、遺品が捨てられない罪悪感と3本の線に書いています。
生前整理はいつから始める?


決まった年齢はありません。定年や還暦、子どもの独立など、節目をきっかけに始める人が多いです。
目安にしてほしいのは年齢より、次の2つが残っているうちかどうかです。
重い物を運べる体力


物を減らす作業は、想像以上に体を使います。家具の移動や、2階から段ボールを下ろす作業は、70代より60代、60代より50代のほうがずっと楽です。
判断する力


こちらのほうが大事です。遺言書や家族信託は、本人の判断能力がしっかりしているうちでないと作れません。
私は母の物忘れが始まってから家族信託を調べ、無料相談まで行きました。
でも判断能力の線引きで、もう間に合わないと分かって見送っています。物の片付けはあとからでもできますが、ここは待ってくれません。
親が認知症になったときのお金の管理は、成年後見と家族信託の違いで比べています。
親に生前整理を切り出すには


親に「片付けて」と言うと、ほぼ嫌がられます。自分の物を捨てろと言われた、と受け取られやすいからです。
捨てる話はしない


最初に頼むのは、ステップ1の「場所」だけにします。物を減らす話は、そのあとで十分です。
「入院したとき、保険証とか通帳の場所が分からないと私が困るから、場所だけ教えて」。こう言えば、親の物を減らす話ではなく、子どもが困らないための話になります。
帰省のたびに1か所


離れて暮らしていると、帰省の数日で全部やりたくなります。でも親の体力も気持ちも、そんなに続きません。
今回は台所の引き出し、次は洗面所の棚、くらいで十分です。
一緒に手を動かしていると、物の由来を親が自分から話し始めることもあります。それは本人がいるうちにしか聞けない話です。
離れて住む親のことが心配な方は、一人暮らしの親の見守りの費用と順番も参考にしてください。
人の手を借りるなら


生前整理は全部自分でやらなくてかまいません。どこを誰に頼むかで、必要なお金も相談先も変わります。
| 困っていること | 頼み先 |
|---|---|
| 物が多く運べない | 片付け・回収業者 |
| 値がつきそうな物 | 買取業者 |
| 財産の分け方 | 遺言の相談窓口 |
| 認知症に備えたい | 家族信託の相談 |
物は業者と買取


大きな家具や大量の不用品は、業者に頼んだほうが早くて安全です。
私は母の家で、最初の業者に相場の倍の見積もりを出されました。1社で決めず、必ず複数社を比べてください。
自分でやるか業者に頼むかの線引きは遺品整理は自分か業者かで書いています。亡くなったあとの片付けの記事ですが、見積もりの比べ方は生前整理でも同じです。
値がつきそうな物は、元気なうちに本人が売っておくと家族が助かります。美術品は「獏」、人形は「COYASH」、宝石は「リファスタ」、雑貨は「Pollet」の記事で、私が母の物を出したときの結果を書いています。
ちなみに母がデパートで買った油絵は6,000円、押し入れに無造作に置いてあった青磁の壺は22,000円でした。高かった物ほど高く売れるとは限りません。
お金と意思は窓口へ


遺言や身元保証、財産の分け方の相談は、終活の相談窓口で無料から始められます。私も母の相続で弟と1年口をきかなかった反省から、2026年春に自分の遺言の相談に行きました。
行ったのは新宿の「終活と相続のまどぐち」です。
資料請求のあと窓口で1時間ほど話を聞いてもらい、契約はまだしていません。相談までは無料で、契約から費用がかかります。
窓口での相談の中身は終活と相続のまどぐちの評判と体験談に書いています。
親の物忘れが気になり始めたなら、家族信託の相談は早いほど選択肢が残ります。
私が間に合わなかった経緯はおやとこの評判と私の後悔にまとめました。相談先を見てみるなら「おやとこ」の無料相談![]()
![]()
生前整理についてよくある質問


- Q生前整理は何から始めればいいですか?
- A
口座・保険・年金・権利証・借入れの場所を、ノート1ページに書き出すところからです。物の片付けはそのあとのほうが、大事な書類を捨てる失敗がありません。
- Q生前整理はいつから始めるのがいいですか?
- A
決まった年齢はなく、定年や還暦などの節目で始める人が多いです。遺言や家族信託は判断能力があるうちしか作れないので、お金と意思の整理は早めをおすすめします。
- Q生前整理にかかる期間はどのくらいですか?
- A
書類の一覧は週末1〜2回でできますが、物の整理は数か月から年単位になることも珍しくありません。私は母の物を9箱から1箱に絞るまで1年半かかりました。
- Q迷った物はどうすればいいですか?
- A
保留の箱を1つだけ用意し、開ける日を書いておきます。その日に開けなかったら手放す、と先に決めておくと、保留の箱が積み上がるのを防げます。
- Q親が生前整理を嫌がります。どうすれば?
- A
捨てる話はせず、「私が困らないように通帳と保険証券の場所だけ教えて」と頼んでください。物を減らす話は、場所の話が済んでからで間に合います。
- Qエンディングノートに法的な効力はありますか?
- A
ありません。財産の分け方を確実に残したいなら遺言書が必要です。自筆の遺言書は、法務局で1件3,900円で保管してもらう制度もあります。
- Qスマホの中身はどう整理すればいいですか?
- A
ロックの解除方法と、ネット銀行や月額サービスの名前・IDを家族が分かる形で残します。見られたくないデータは本人が元気なうちに消しておくのがいちばん穏やかです。
- Q生前整理は業者に頼めますか?
- A
頼めます。ただ書類や思い出の品の判断は本人がして、運び出しや大物の処分だけを任せるのがおすすめです。見積もりは必ず複数社で比べてください。
まとめ:生前整理の最初の一歩


生前整理の進め方は、お金と書類の一覧、スマホの鍵、物、思い出の品、気持ちを書き残す、の順です。保留の箱は1つだけにして、開ける日を書いておきます。
最初の一歩は、ノート1ページの一覧です。今日やるならここだけで十分です。物の片付けは、あとからいくらでも追いつけます。
母の家の紙袋の底で保険証券を見つけたとき、しばらく手が動きませんでした。あの一枚の場所さえ聞けていたら、と今でも思います。



完璧な片付けより、家族が迷わない一覧を。できるところから始めてみてくださいね。
親の家の片付けから売却までの費用と流れは実家じまいの費用と進め方、お墓の今後が気になる方はお墓・墓じまいのサービスと費用相場もあわせてどうぞ。










