エンディングノートの書き方に決まりはありません。氏名や本籍などの基本情報から書き始め、お金・医療・葬儀・連絡先を書ける所だけ埋めていくのがいちばん続きます。
書いたら日付を入れ、置き場所を家族に伝える。暗証番号は書かない。財産の分け方を決めたいなら遺言を別に作る。守ることはこの3つくらいです。
私は母とこういう話をしないまま見送り、保険証券を処分予定の紙袋の底で見つけるような片付けをしました。項目ごとの記入例と、母に書いておいてほしかったことを並べます。
けんじいざノートを開くと、1ページ目で手が止まりますよね。何から書くかと、どこまで書けば足りるかから整理します。
エンディングノートの書き方5ステップ


- ノートを1冊決める
- 基本情報から書く
- 書ける項目だけ埋める
- 書いた日付を入れる
- 置き場所を家族に伝える
ノートを1冊決める


書店で売っている市販品のほか、自治体や葬儀社が無料で配っているもの、普通の大学ノートでも構いません。法的な形式がないので、何を使っても中身の価値は同じです。
迷ったら、項目が最初から印刷されている市販品か、自治体の配布品が楽です。空欄を見ると「ここは何を書く所か」が分かるので、1ページ目で止まりにくくなります。
基本情報から書く


最初は、氏名・生年月日・本籍・血液型のような、考えなくても書ける欄から。手を動かすと、次の欄にも進みやすくなります。
重い欄(延命治療や葬儀)はあと回しで大丈夫です。空欄のまま何か月も置いておくのも、書き方のうちだと思ってください。
日付と置き場所


書いた欄の横に日付を入れておくと、家族が「これはいつの気持ちか」を判断できます。気持ちや契約は変わるので、年に一度、誕生日などに見直すと決めておくと続きます。
そして置き場所を家族に一言伝えます。見つけてもらえないノートは、ないのと同じです。
エンディングノートに書く項目と記入例


書く項目は大きく8つです。記入例は書き方の見本で、全部を埋める必要はありません。
基本情報


| 書くこと | 記入例 |
|---|---|
| 氏名・生年月日 | 山田花子 昭和23年5月生まれ |
| 本籍 | 〇〇県〇〇市〇〇町1-2 |
| 持病・服薬 | 高血圧。朝に1錠。お薬手帳は台所の引き出し |
| かかりつけ医 | 〇〇内科(電話番号) |
本籍は、亡くなったあと戸籍を集めるときの出発点になります。家族が知らないことが意外と多い欄です。
お金と契約のありか


| 書くこと | 記入例 |
|---|---|
| 預貯金 | 〇〇銀行〇〇支店(年金の振込先)、〇〇信金 |
| 保険 | 〇〇生命の終身保険。証券は仏間のたんす2段目 |
| 年金 | 年金証書は通帳と同じ袋 |
| 借入・ローン | なし(あれば会社名と残高) |
| 毎月の引き落とし | 電気・ガス・新聞・スマホ |
書くのは金額より「どこに何があるか」です。借金がないなら「なし」と一行あるだけで、家族は相続放棄を考えるかどうかで迷わずに済みます。
医療・介護の希望


| 書くこと | 記入例 |
|---|---|
| 告知 | 病名も余命も本人に伝えてほしい |
| 延命治療 | 回復の見込みがないなら望まない |
| 介護の場所 | できるだけ家で。無理なら施設でいい |
| 判断を任せる人 | 長男〇〇 |
いちばん書きにくい欄ですが、家族が代わりに決める場面でいちばん効く欄でもあります。厚生労働省は、こうした希望を家族や医療者と前もって話し合う取り組みを「人生会議」と呼んで勧めています。
書いたら一度、判断を任せる人に口でも伝えておいてください。ノートだけだと、いざという時に開かれないことがあります。
葬儀とお墓


| 書くこと | 記入例 |
|---|---|
| 葬儀の形 | 家族だけで小さく |
| 宗派・お寺 | 浄土真宗。付き合いのあるお寺はない |
| 遺影 | アルバム3冊目の旅行の写真 |
| お墓 | 〇〇霊園の区画。管理料は毎年春に振込 |
| 費用 | 葬儀代は〇〇銀行の口座から |
お寺との付き合いの有無は、葬儀社への最初の電話で必ず聞かれます。「ない」と書いてあるだけでも、家族は助かります。
連絡してほしい人


名前・関係・電話番号に加えて、「入院したら」「亡くなったら」「葬儀のあとでいい」のように、知らせるタイミングを分けて書いておくと家族が迷いません。年賀状の束を置き場所として書いておくのも手です。
大事な物の行き先


絵や着物、人形のように、値打ちも思い入れも本人にしか分からない物の欄です。「誰にあげたいか」「処分していいか」を一行ずつ書いておきます。
スマホとネットの情報


スマホの機種、使っているネット銀行・証券、月額のサービスを、名前だけ書き出します。パスワードは書かず、どこで確認できるかだけ残すのが安全です。
家族への言葉


最後の数ページは自由欄にしている市販品が多いです。感謝でも、頼みごとでも、思い出話でも。ここは空欄のままでもいい欄だと、私は思っています。
母に書いておいてほしかった4つ


母はエンディングノートを残していませんでした。片付けと手続きをしながら「ここに一行あれば」と思った所を、順番に書きます。
保険証券のありか


母の生命保険は、弟が存在を知っていました。でも証券の現物は、実家を片付けていたとき、処分する予定の紙袋の底から出てきました。
あのまま出していたら、と思うと今でも背中が冷えます。ノートに「証券はここ」と一行あれば、それで済んだ話でした。
お寺とお墓のこと


実家には付き合いのあるお寺がなく、四十九日と一周忌はお坊さんの手配サービスで僧侶を呼びました。お墓は民営霊園の一区画で、毎年春に届く振込用紙で年間管理料が8,000円だと知りました。
どちらも、あとから分かったことです。「お寺はない」「お墓の書類はここ」と書いてあれば、最初の数日の電話がずいぶん減ったと思います。
僧侶を頼んだ流れはお坊さん便の口コミ評判に書いています。
物の値打ちと思い入れ


母がデパートの美術展で買った油絵は、「高かったのよ」が口癖でした。査定に出すと6,000円。
押し入れに無造作に置いてあった青磁の壺のほうが、22,000円と高い値がつきました。
値段より困ったのは、どれに母の思い入れがあったのか分からないことでした。査定の内訳は実家の絵画を査定してもらった体験談に、人形を手放したときの話は実家の日本人形を売ったときの体験談にあります。
口で聞いた2つの希望


ノートはなくても、母が口で残した希望は2つありました。施設を探していたときの「家がいい」と、「お盆くらい静かにやってよ」です。
この2つがあったから、施設への入居を見送れたし、初盆も僧侶を呼ばず家族だけで営めました。
一行の希望が、残った側の迷いをこんなに減らすのかと思います。それでも、あれが正解だったかは今も分かりません。
書くときの注意点と遺言との違い


暗証番号は書かない


ノートは家の中に置くものなので、なくしたり人に見られたりすることがあります。暗証番号やパスワードそのものは書かないでください。
通帳や印鑑の置き場所も、ノートとは別の場所に書くか、信頼できる家族に口で伝えるほうが安全です。
分け方は遺言で決める


| 比べる点 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 法的な効力 | なし | あり |
| 書き方 | 自由 | 法律で形式が決まる |
| 向いている内容 | 情報・希望・気持ち | 財産の分け方 |
| 見直し | いつでも書き足せる | 書き直しは形式を守る |
ノートに「家は長男に」と書いても、法的な拘束力はありません。財産の分け方を決めたいなら、遺言書を別に作ります。
手書きの遺言は、法務局に預ける制度があります。手数料は1通3,900円で、預けた遺言は家庭裁判所の検認が要りません(法務省・2026年10月時点)。
書き方は遺言書の書き方にまとめています。
私の家は遺言がなく、実家の分け方で弟と1年口をきかなくなりました。分け方の相談先は相続の相談先ランキングで比べています。
書いたら片付けも


「大事な物」の欄を書いていると、身の回りの物を減らしたくなる方が多いです。元気なうちの片付けは生前整理の進め方を参考にしてください。
親にエンディングノートを書いてもらうには


切り出し方の例


「死んだときのために」と言うと、親は身構えます。子ども側が困っていることとして頼むほうが通りやすいです。
- 通帳の場所だけ教えて
- 入院の時の連絡先を知りたい
- 一緒に1冊ずつ書かない?
自分の分も同じノートを買って、並んで書くのがいちばん角が立ちません。全部の欄を一度に頼まず、今日は基本情報だけ、くらいで区切ってください。
物忘れが出てきたら


母に物忘れや火の消し忘れが出始めたころ、私は家族信託を調べて無料相談まで行きましたが、判断能力の線引きで間に合わず見送っています。
ノートは判断能力が落ちても書けますが、遺言や財産の管理の契約はそうはいきません。物忘れが気になり始めた時期が、話を始める目安です。
詳しくは認知症の親の財産管理とおやとこの口コミ評判に書きました。
書けない所は相談する


書き進めると「これは専門家に聞かないと分からない」という欄が出てきます。私は自分の遺言のことで、終活の相談窓口に資料請求をして、新宿の窓口で1時間ほど無料相談を受けました。
相談までは無料で、契約から費用がかかります。私はまだ契約していません。そのときの流れは終活と相続のまどぐちの体験談レビューに書いています。
エンディングノートの書き方のよくある質問


- Qエンディングノートは何から書けばいいですか?
- A
氏名・生年月日・本籍などの基本情報からがおすすめです。考えずに書ける欄で手を動かすと、お金や連絡先の欄にも進みやすくなります。
- Qエンディングノートに法的な効力はありますか?
- A
ありません。家族に情報と希望を伝えるためのものです。財産の分け方を法的に決めたい場合は、遺言書を別に作ります。
- Q普通のノートでも大丈夫ですか?
- A
大丈夫です。形式の決まりはないので、大学ノートでもパソコンでも構いません。何を書くか迷うなら、項目が印刷された市販品や自治体の配布品が楽です。
- Q全部の項目を埋めないといけませんか?
- A
埋めなくて大丈夫です。書いてある欄だけでも家族の助けになります。とくにお金と契約のありか、連絡してほしい人の2つがあると、手続きがずいぶん楽になります。
- Q暗証番号やパスワードも書いていいですか?
- A
そのまま書くのは避けてください。ノートをなくすと悪用されるおそれがあります。サービス名と、どこで確認できるかだけを書いておくのが安全です。
- Qどこに保管すればいいですか?
- A
家族が見つけられる場所に置き、場所を伝えておくのが大前提です。金庫にしまう場合は、開け方を知っている人がいるかも確かめてください。
- Qどのくらいの頻度で見直せばいいですか?
- A
決まりはありませんが、年に一度と、引っ越し・入院・契約の変更などの節目に見直すと安心です。書き直した欄には日付を入れておきます。
- Q親が書いてくれないときはどうすればいいですか?
- A
無理に全部を頼まず、「通帳の場所だけ」「入院時の連絡先だけ」と1項目ずつ聞く形にすると進みやすいです。子どもが自分の分を一緒に書くのも効きます。
まとめ:エンディングノートは一行から


エンディングノートの書き方は、基本情報から書き始め、お金・医療・葬儀・連絡先を書ける所だけ埋めていくことです。
日付を入れ、置き場所を伝え、暗証番号は書かない。財産の分け方は遺言で決めます。
母が口で残した2つの希望に、私は何度も助けられました。保険証券のありかも一行あれば、と今でも思います。



完璧なノートより、今日書いた一行のほうが家族を助けます。まず基本情報のページだけ埋めてみてください。
相続や財産の分け方は相続の相談先ランキング、身の回りの片付けは生前整理の進め方で解説しています。いざというときの流れは身内が亡くなったらすることリストもあわせてどうぞ。










