借地権付きの実家を相続して、近所の不動産屋に断られた。調べるうちに「LIXIL不動産ショップの借地権買取」に行き着いたものの、ここは信用していいのか。そんな方に向けて書きます。
先に答えを言うと、運営は株式会社ブリリアントというLIXIL不動産ショップの加盟店で、実在する会社です。正体不明の怪しい業者ではありません。
ただし対応エリアは基本、東京都です。あと直接買取なので、仲介で普通に売れる物件だと価格は仲介より下がりがちです。ここは最初に言っておきます。
私は借地権の物件を持っておらず、このサービスの利用者ではありません。だから今回は、都内で借地権付きの家を手放した、あるいは手放そうとした5人に話を聞きました。
私自身は母を看取ったあとの実家じまいで、最初の業者に相場の倍を提示された人間です。以来、この手の業者を見る目だけは無駄に厳しくなりました。
この記事で分かるのは、次の3つです。
- 5人の本音(不満も含む)
- 査定額と価格の考え方
- 向かない人と別の選択肢
5人の声をひとことで並べると、こうなります。気になるところから飛んでください。
サービス内容と運営会社

正式には「訳あり物件買取センター」という名前で、運営は株式会社ブリリアント。LIXIL不動産ショップに加盟している不動産会社です。
公式サイトに載っているのは、宅建業免許が東京都知事(4)第92862号、事務所は東京都中央区日本橋蛎殻町という情報です。免許の更新回数(4)は、10年以上営業を続けている会社であることを示します。
会社概要のページには、設立2006年11月・資本金3,000万円・従業員51名(2025年3月現在)とありました。全日本不動産協会にも所属しています。
売上高は2024年11月期で123億6,400万円。数人で回している小さな買取業者ではない、ということです。
広告で見かける「相談実績10,000件以上」「顧客満足度98.2%」といった数字は、私が見た限り公式サイトには載っていませんでした。数字だけを信じる材料にはしないでください。
扱うのは借地権付きのほか、再建築不可・共有持分・老朽化した家・ゴミ屋敷・事故物件など。他社に断られた物件を直接買い取るのが本業です。
できることを並べると、こうなります。
- 地主交渉の代行も無料
- 弁護士・税理士らと連携
- 仲介手数料がかからない
- 家財そのまま現状買取
- 相談から査定まで無料
借地権売却の何が大変か

借地権の売却には、地主さんの承諾が必要になるのが通例です。譲渡承諾料というお金の支払いが発生するのが一般的で、金額は契約や地域によって差があります。
つまり買い手探しの前に、地主さんとの交渉という壁がある。ここを素人が一人でやると、感情のもつれで話ごと止まることがあります。
買取業者が間に入る一番の意味は、この承諾交渉を代理してくれることです。個人で売るのとの、いちばん大きな違いだと思います。
そして公式の借地権ページのFAQには、地主への交渉代行も無料と明記されています。私が確認した限り、ここがこのサービス最大の売りです。
相談・査定・訪問・現地調査も無料。直接買取なので仲介手数料もかかりません。買取が成立しなくても費用は発生しないと書かれています。
ただ、解体費用や残置物の撤去まで無料とは公式のどこにも書かれていません。ここは査定のときに口で確認してください。
けんじ承諾交渉を素人が一人で背負うのは、正直かなりしんどい世界です。
私も実家じまいのとき、訳あり売却の世界はひと通り調べました。弟と揉めていた時期には、共有持分の売却をワケガイという業者に相談したこともあります。
共有持分のほうで困っている方は、そのときの話を別の記事にまとめています。ワケガイに持分売却を相談した話を読んでみてください。
売り先で価格は2倍違う


ここが今回いちばん書いておきたいところです。借地権は、誰に売るかで手取りがまるで変わります。
更地としての価格を100としたときの、ざっくりした水準を並べます。
- 買取業者に売る=約50%
- 仲介で第三者へ=60〜70%
- 地主に売る=50〜70%
- 底地と同時に仲介=更地並み
いちばん下といちばん上で、手取りが2倍近く変わります。同じ土地、同じ建物なのにです。
地主さんが底地を一緒に売ってくれるなら、所有権の土地とほぼ同じ値段で出せる。ただこれは地主さんの同意が要る話で、誰でも選べる出口ではありません。
で、今回の訳あり物件買取センターはいちばん安い約50%の側にいます。直接買取なので当然といえば当然です。
安くなる根っこの理由


借地権が安くなるのは、業者の取り分だけが理由ではありません。買う側が住宅ローンを組みにくいからです。
担保に取れるのが建物だけで、地代の滞納で契約が切れる可能性もある。だから銀行が渋ります。
結果、買い手は現金を用意できる人に絞られます。買える人が減れば、値段は下がる。単純な話です。
フラット35は借地でも使えます。ただ名義書換料や承諾料は融資の対象外なので、そこは結局現金で用意する話になります。



買い手の財布の事情が、そのまま売値に跳ね返ってくる世界です。
だから安いという一点で切り捨てる話でもないんです。他社に断られた、地主さんと直接やり合いたくない。その状況なら約50%でも成立する選択肢だと思います。
話を聞いた5人の本音


読者の方と知人づてに紹介してもらった、都内の借地権物件の当事者5人です。話し言葉のまま、なるべく手を入れずに載せます。
内訳は、良い評価が3人・中立が1人・見送りが1人。全員分を載せます。
60代男性・交渉を一任


親父の代から借りている土地でしてね。地主さんも代替わりしていて、私は顔もよく知らなかったんですよ。挨拶に行くべきかどうか、そこから分からない。
地元の不動産屋には2軒電話しました。2軒とも、借地と言った途端に声のトーンが下がりましてね。で、ここに査定を頼んだんです。
承諾料は借地権の値段の1割くらいが目安だと聞きましてね。その額を自分の口から地主さんに切り出すのは、私には無理でした。
そこも含めて、地主さんとのやり取りは全部向こうです。私がやったのは、古い契約書を探して書類を揃えたことくらい。
金額はたしか、当初思っていたより少し下だったかな。でも自分で地主さんと向き合うことを考えたら、あれを任せられただけで十分でした。あ、そういえば庭の柿の木の処分まで込みでしたね。あれは助かった。
50代長女・家財そのまま


うちは母の家でした。仏壇と、母の着物と、茶箪笥。あれを全部片付けると思ったら、動けなくなってしまって。
遺品整理の見積もりも取りました。30万円くらいだったと思います。
一番引っかかったのは仏壇でした。お寺に電話しようとして、受話器を持ったまま台所に座り込んでしまって。
ここは家財そのままでいいと言われました。正直、それが決め手です。
査定から引き渡しまでは1ヶ月ちょっと。金額の交渉はほぼしていません。早く終わらせたかったので。
40代男性・再建築不可でも


僕のところは旗竿地で、通路の幅が1.8mくらいしかなくて。再建築不可ってやつです。相続してから知りました。って、いま思えば調べなさすぎなんですけど。
大手を含めて3社に断られました。3社目は電話口で笑われた気がする。気のせいかもしれないけど。
あと、うちのが古いほうの法律の借地なのか新しいほうなのか、それすら分かってませんでした。地代は月に12,800円。そこだけは通帳を見てるので正確です。
ここは現地まで見に来て、普通に金額を出してくれました。正直ゼロ円も覚悟していたので、値が付いただけで肩の力が抜けましたね。
地代を払い続ける生活が終わったのが一番でかいです。金額の大小より、そっちでした。
60代夫婦・額は正直低め


自分たちは1年、普通の不動産屋で売りに出していました。問い合わせはほぼゼロです。借地権の物件は、買う側からすると分かりにくいんでしょうね。
その間も地代と税金で、年に30万円近く出ていく。空き家のまま、です。
途中で担当者に言われましたよ。借地だと買う側に銀行の融資が付きにくいから、現金で買える人しか来ないと。
ここの査定額は、正直に言えば期待の7割くらいでした。低いなと思いましたよ。
ただ、1年動かなかった事実がありましたから。納得というより、決着をつけた、が近いです。いまでも、もう少し粘れば、と思う日はあります。
50代女性・見送りました


わたしは査定までで、売却はしていません。提示された金額が、こちらの希望より2割ほど低かったので。
対応は丁寧でした。査定の根拠もA4数枚の資料で説明してもらえましたし、その場で決めろというような話もなかったです。
お断りの連絡をしたあとの電話も、一度だけでした。しつこさはなかったです。
ただ、金額だけは期待しないほうがいいと思います。買取ってそういうものだと、あとから理解しましたけれど。
あの家は、いまもそのままです。地代だけ毎月引き落とされていくのを通帳で見ながら、まだ決めきれずにいます。
5人に共通していたのは、金額よりも「動かない状況が終わった」ことへの安堵でした。逆に言えば、金額に満足したと話した人は5人中ゼロです。



高く売る手段ではなく、詰んだ状況を終わらせる手段。そう捉えるのが正確だと思います。
気になる点・向かない人


取材と調べた範囲で、申し込む前に知っておくべきことを5つ挙げます。良い話のあとだからこそ、ここは正直に書きます。
価格は仲介より下がりがち


買取は業者の再販が前提です。再販の利益と売れ残りのリスク分は、当然査定から引かれます。
水準としては、更地価格の約50%あたり。仲介で買い手が付けば60〜70%が狙える世界です。
この差がどこから出てくるのかは、売り先で価格は2倍違うに書いたとおりです。先に読んでおくと査定額の見え方が変わります。
だから仲介で普通に買い手が付く物件なら、買取に出すのは損です。借地でも立地が強い物件なら、先に仲介の相場を知っておくべきだと思います。
所有権の実家など普通に売れそうな物件をお持ちの方は、まず相場を掴んでください。私が実家を1,800万円で売ったときの経験は不動産一括査定の比較記事にまとめています。
エリア表記は東京だけ


公式サイトの対応エリアは、どのページを見ても東京です。全国どこでも大丈夫かというFAQでも、東京(地域密着)とはっきり書かれています。
ただ公式の買取実績137件の内訳を見ると、神奈川18件・埼玉7件・千葉5件が混じっていました。都外が絶対に無理とも言い切れません。
東京に隣接する物件なら、聞くだけ聞いてみる価値はあります。断られたところで失うものはないので。
ただし確実に査定額を取りたいなら、都外は最初から全国対応の業者へ。私が実家じまいのとき保険として査定を取った訳あり物件買取プロの評判記事が受け皿になると思います。
時間がかかる場合がある


公式サイトの中で、日数の数字が3つ併存しています。ここは分けて読んだほうがいいです。
- 相談から最短1ヶ月で現金化
- 最短7日の現金化実績あり
- 契約から最短即日で入金
3つ目の即日は契約したあとの入金の話で、買取そのものが即日で終わる意味ではありません。ここは混ぜて読まないでください。
そもそも地主さんの承諾がすんなり出るとは限りません。交渉が絡む案件は、引き渡しまで数ヶ月単位を見込んでおいたほうが無難です。
最短の数字だけを見て申し込むと、ここでギャップが出ます。急ぐ事情があるなら、最初のヒアリングで期限を伝えておくことです。
口コミがほぼ無い


ここは正直に書きます。運営元の株式会社ブリリアントで検索しても、利用者の声がほとんど出てきません。
Googleマップの評価は★2.6・クチコミ5件だけでした。件数が少なすぎて、平均点に意味があるとは思えません。
中身も読んできました。低いほうは「電話の折り返しが来なかった」「亡くなった祖母宛にDMが届いた」の2件です。
高いほうは「若い社員の対応が爽やかで安心した」。つまり売却の体験を語った口コミは1件も無いんです。
公式の買取実績ページにも、買取価格や所要期間、売主の声の掲載はありませんでした。判断材料が本当に少ない。
だからこの会社は、利用者の評判で良し悪しを決めるのが難しいです。査定額と担当者の対応を、自分の目で見て決めるしかありません。



口コミが少ないのは、悪い証拠でも良い証拠でもない。材料が無いというだけです。
LIXILの直営ではない


運営はあくまで加盟店の株式会社ブリリアントで、LIXIL本体の直営ではありません。看板の安心感だけで決めるのはやめましょう。
見るべきは看板ではなく、査定額の根拠を紙で示してくれるかどうか。見送った5人目の方が確認できた部分なので、遠慮なく求めていいはずです。
と、厳しめのことを並べましたが。空き家のまま1年、地代と税金を払い続けた4人目の方の話を聞くと、価格の話だけで判断するのも違う気がしています。
向いている人と査定の流れ


逆に、こういう状況の方には合っていると思います。
- 都内の借地権物件を相続した
- 他社に断られ売れ残っている
- 地主と直接交渉したくない
- 家財を片付ける余力がない
- 維持費の垂れ流しを止めたい
ひとつでも当てはまるなら、査定だけ取ってみる価値はあります。相談から査定まで無料で、売る義務もありません。
申し込みからの流れは、必要な方だけ開いて確認してください。
無料査定の流れを見る
- WEBフォームで物件を送る
- 電話かメールでヒアリング
- 現地調査(立ち会いは相談可)
- 査定額と根拠の提示を受ける
- 売ると決めたら地主と承諾交渉へ
- 契約・決済・引き渡し



査定額を見てから考える。順番はそれで大丈夫です。
よくある質問


- Qしつこい営業はありませんか?
- A
今回話を聞いた5人からは、強引な営業の話は出ませんでした。見送った方も「断ったあとの電話は一度だけ」と話しています。あくまで5人の範囲の話ですが、参考までに。
- Q地主に黙って査定してもいいですか?
- A
査定の段階では地主さんの承諾は不要とされるのが一般的です。承諾が要るのは売却の段階で、その交渉は業者が代理してくれます。心配なら申込時に相談してください。
- Q査定だけ受けて断ってもいいですか?
- A
相談・現地調査・査定まで無料で、売る義務はありません。今回の5人にも、査定額を見てから見送った方がいます。金額を見て他社と比べてから決めて問題ないです。
- Q東京以外の物件でも頼めますか?
- A
公式の対応エリア表記は東京です。買取実績には神奈川・埼玉・千葉も含まれるので、隣接県なら相談の余地はあります。
確実さを取るなら、全国対応の訳あり物件買取プロなど別の業者を検討してください。本文中で紹介した記事にまとめています。
- Q費用は本当に0円ですか?
- A
公式サイトに無料と明記されているのは、問い合わせと査定訪問です。直接買取なので仲介手数料もかかりません。
ただ解体費や残置物の撤去まで無料かどうかは、公式には書かれていませんでした。譲渡承諾料や税金も別にかかります。査定のときに手取りの総額で確認してください。
- Q譲渡承諾料はいくらですか?
- A
不動産流通推進センターの資料では、借地権価格の10%程度が相場とされています(大都市圏で5〜15%)。
大事なのは基準です。更地価格ではなく借地権価格の10%が一般的とされています。地主さんが更地価格の1割を求めてきたら、その場で飲まずに専門家に相談してください。
なお名義書換料は譲渡費用に算入できます。消費税は非課税です(国税庁)。
- Q地主が承諾してくれないときは?
- A
借地借家法19条の借地非訟という手続きがあります。正当な理由なく承諾が得られないとき、裁判所の許可で譲渡できる道です。
東京地方裁判所は、所要期間を概ね1年以内としています。
注意点が2つ。申立ては建物を譲渡する前に行う必要があり、売買契約を先に済ませるとこの道が閉じます。代理人になれるのは弁護士だけで、不動産会社は立てられません。
あと、申し立てると地主さんに介入権が生じます。自分が買うと言える権利で、そうなると売る相手は選べなくなります。
- Q交渉中も地代は払うべき?
- A
絶対に止めないでください。滞納を理由に契約を解除されると、建物買取請求権まで失います。
最悪の場合、建物を壊して更地にしてから土地を返すことになります。地主さんに黙って譲渡した場合も同じ流れです。
売る話が動いている間ほど、地代だけは淡々と払い続けてください。
まとめ


LIXIL不動産ショップの借地権買取は、加盟店の株式会社ブリリアントが運営する実在のサービスで、怪しい業者ではありません。ただし対応エリアは基本、東京都です。
価格は更地価格の約50%が水準で、金額に満足したと話す利用者はいませんでした。それでも5人の後悔の中心は、金額ではなく「放置していた時間」のほうでした。
売る以外の道も含めて全体像から考えたい方は、空き家の相続と処分の記事から読んでみてください。順番を整理してから動けます。
私の実家じまいの反省はひとつで、動き出すのが遅かったことです。査定額を見るところまでは、早いほうがいい。
査定は無料で、断っても引き止められなかったという声まで含めて確認済みです。都内の借地権物件で行き詰まっている方は、無料査定(公式サイト・東京都のみ)から一歩目をどうぞ。










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