仏壇の引き出しを片付けていたら、折り本のような小さな帳面が出てきた。開くと、知らない戒名と古い年号が並んでいる。それが過去帳です。
仏壇は業者の回収日が決まった。でも、これも一緒に出していいのか。そこで手が止まった人に向けて書いています。
先に答えです。過去帳の行き先は、自宅へ持ち帰る、きょうだいが引き継ぐ、供養して手放すの3つです。どれを選んでも、手放す前に全ページを写真に撮っておけば、家の記録だけは手元に残せます。
私は実家じまいに合わせて仏壇じまいをしたとき、位牌と過去帳だけを自宅へ持ち帰りました。今はリビングの小さな棚に置いています。
ただ、うちには菩提寺がありません。お寺との付き合いがある家は、判断の順番が少し変わります。その違いも含めて書きます。
過去帳とは|位牌とは役目が違う記録帳

行き先を決める前に、それが何のための物かを押さえておくと、捨てていいのかという迷いが少し整理できます。
書かれているのは家の記録
過去帳には、亡くなった人の戒名(法名)、俗名、亡くなった年月日、年齢が書かれています。その家で亡くなった人の一覧表のようなものです。
位牌が手を合わせる対象なのに対して、過去帳は記録の意味合いが強い物です。専門の業者のあいだでも「記録帳なので供養は必須ではない」という考えと、「先祖の名前が書かれているから供養したい」という考えの両方があります。
浄土真宗では、位牌の代わりに過去帳を用いることが多いとされています。ただ、地域やお寺によって考え方は違うので、宗派の作法はお付き合いのあるお寺に確かめてください。
日付入りと日付なし
家庭の過去帳には2つの形があります。1ページごとに「一日」「二日」と日付が印刷された日付入りと、最初のページから順に書いていく日付なしです。
日付入りは、命日と同じ日のページに書き込みます。毎日1枚めくって、その日が命日の人に手を合わせる使い方です。
中を見て、同じページに何人も書かれていても、それは同じ日付の命日が重なっているだけです。書き間違いではありません。
お寺の過去帳とは別物
お寺も、檀家の亡くなった人を記した過去帳を持っています。実家の仏壇にあるのは、それとは別の家庭用です。
なので、家の過去帳を手放しても、お寺の記録が消えるわけではありません。菩提寺があるなら、そちらにも記録が残っている場合があります。
実家じまいで過去帳をどうするか、行き先は3つ

仏壇をどうするかとは別に、過去帳は過去帳で決められます。仏壇を手放しても、過去帳だけ残すことはできます。
自宅へ持ち帰る
家庭用の過去帳は、多くが手のひらに乗るくらいの大きさで、場所を取りません。仏壇のない家でも、棚の一角に置けます。
立てて開いておくなら、過去帳見台という小さな台があると便利です。なくても、位牌の横に閉じて置いておくだけで困ることはありません。
迷っているなら、いったん持ち帰るのが一番やり直しのきく選び方です。手放すのは、あとからでもできます。
きょうだいが引き継ぐ
位牌を継ぐ人と過去帳を継ぐ人は、同じ人にしておくのが自然です。法要のときに戒名や命日を確かめるのは、位牌を祀っている人だからです。
ここで揉めやすいのは、欲しい人がいないときです。「持ち帰らない=薄情」と思われたくなくて、押し付け合いになります。
引き取る人が決まらないなら、全ページの写真をきょうだい全員で持ち合うところから話すと、少し角が取れます。記録そのものは誰の手元にも残るからです。
供養して手放す
手放すなら、お経をあげてもらってからお焚き上げをする流れが一般的です。頼み先は、菩提寺、仏具店、供養を扱う専門業者、遺品整理業者などがあります。
費用は頼み先で変わります。供養とお焚き上げをまとめて受ける専門業者では、1冊5,000円程度からという案内がありました。仏壇じまいのときに頼めば、別の日程を組まずに済みます。
一度お焚き上げをすると、中の記録は戻りません。この道を選ぶなら、次の章の準備を先に済ませてください。
過去帳を手放す前にやっておく3つ

持ち帰る人も、手放す人も、回収日の前にやることは同じです。
全ページを写真に撮る
書かれているページだけでなく、空白に見えるページも含めて全部撮ってください。日付入りだと、書き込みのあるページが飛び飛びになっています。
撮った写真は、スマホの中だけでなく、パソコンやクラウドにも置いておくと安心です。のちに墓じまいや法要の準備で先祖の命日を確かめるとき、ここが手がかりになります。
お寺ときょうだいに一言
菩提寺がある家は、手放す前に事情を話して相談してください。過去帳への書き込みをお寺がしていることもあり、扱いについて考えを持っているお寺もあります。
きょうだいや親の兄弟姉妹にも、「過去帳はこうするつもり」と一言だけ伝えておきます。相談というより、あとから知らなかったと言われないための連絡です。
位牌をまとめるなら写す
仏壇に位牌がいくつも並んでいたら、ひとつの先祖位牌にまとめる方法もあります。そのとき、まとめる前の位牌の戒名は過去帳に書き写して残すのが一般的です。
つまり、位牌を減らすなら過去帳は手放さないほうが話が通ります。文字入れはお寺か仏具店に頼めます。まとめ方そのものは宗派やお寺の考えで違うので、頼む先に相談してください。
位牌と過去帳だけ持ち帰った私の場合

ここからは、うちの話です。菩提寺がなく、実家まで片道4時間以上ある家の一例として読んでください。
仏壇じまいのときに
仏壇じまいをしたのは、母の一周忌のあと、実家じまいを本格的に始めた時期です。
うちには菩提寺がないので、閉眼供養はよりそうお坊さん便に頼みました。四十九日、一周忌に続いて3回目の利用で、お布施は50,000円です。
仏壇の本体は、3社の相見積もりで選んだ遺品整理業者の回収と一緒に引き取ってもらいました。位牌と過去帳は、その前に取り出しています。
仏壇じまいの手順と費用は親が死んだあとの仏壇をどうしたかに詳しく書きました。
弟との押し付け合い
誰が引き取るかは、すんなりとは決まりませんでした。ちょうど遺産分割で弟と揉めていた時期で、この話もそのひとつになりました。
最後は、仏壇は手放して、位牌と過去帳は長男の私が預かる形に落ち着いています。物としての仏壇と、手を合わせる役目を分けて考えたら、話が前に進みました。
揉めそうな気配があるなら、仏壇や過去帳の話は、お金の話と切り離して先に片付けてしまうほうがいいと思います。
リビングの小さな棚へ
今、位牌と過去帳はうちのリビングの小さな棚にあります。仏壇は置いていません。
実家の片付けでは、迷った物を段ボール9箱に詰めて自宅へ送り、結局8箱を開けないまま処分した失敗をしています。
最後に手元に残ったのは、位牌と過去帳と段ボール1箱でした。その話は母の遺品が捨てられなかった1年のことに書いています。
保留の箱を増やしても、判断は先に延びるだけでした。ただ過去帳は小さく、持ち帰っても生活を圧迫しません。迷ったまま箱に詰めるのとは違い、「うちで祀る」と決めて持ち帰れる物だと思います。
供養処分を業者に頼むときに聞くこと

仏壇や遺品の整理を業者に頼むなら、過去帳や位牌の扱いは見積もりの段階で聞いておきます。当日になって「これも一緒に」と言うと、供養の手配が間に合わないことがあります。
- 供養処分を扱っているか
- お経は誰があげるのか
- 供養料は見積もりに込みか
- 供養の証明が出るか
仏壇には「供養もセットで」という営業文句が付きやすく、内訳が見えにくくなりがちです。実家じまいの最初の業者で、相場の倍近い見積もりを出されかけた私としては、紙の見積もりで確かめることをすすめます。
業者の比べ方は遺品整理業者を3社相見積もりして比べた記事にまとめています。近くに当てがないなら、全国の加盟店を紹介してもらえる窓口で、見積もりを1社分取っておくのもひとつです。
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紹介型なので、来る業者によって対応には差があります。1社で決めず、地元の業者の見積もりと並べて、過去帳や位牌の扱いの答え方も比べてください。
過去帳の扱いでよくある質問

- 過去帳を普通のゴミに出してもいいですか?
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法律で禁止されているわけではありません。ただ先祖の名前が書かれた物なので、気持ちの区切りとして供養とお焚き上げを選ぶ人が多いです。出すなら全ページを写真に撮ってからにしてください。
- 過去帳にも魂抜き(閉眼供養)は必要ですか?
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記録帳なので必須ではないという考えと、供養したほうがよいという考えがあります。
浄土真宗のように過去帳を位牌の代わりにしている家は、お寺に相談してください。仏壇の閉眼供養と同じ日に一緒にお願いする人もいます。
- 仏壇がない家に過去帳だけ置いてもいいですか?
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かまいません。私も仏壇は置かず、位牌と一緒にリビングの小さな棚に置いています。直射日光と湿気の少ない場所なら十分です。
- 親の戒名を過去帳に書き足すのは誰がやりますか?
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お寺が書き入れる場合もありますし、仏具店に文字入れを頼むこともできます。自分で書く人もいます。菩提寺がある家は、まずお寺に聞くのが確実です。
- 古くて読めない過去帳はどうすればいいですか?
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読めなくても、写真に撮っておけば後でお寺や詳しい人に見てもらえます。処分するかどうかは、読めるかどうかと切り離して、持ち帰るか手放すかの3つの道から選んでください。
- 過去帳は位牌と一緒に処分するものですか?
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別々に決めてかまいません。位牌を先祖位牌にまとめるときは、むしろ過去帳に戒名を書き写して残すのが一般的です。位牌を手放すなら、過去帳は残しておくと家の記録が途切れません。
まとめ:回収日の前に写真を撮って行き先を決める

- 過去帳は家の記録帳
- 行き先は3つから選ぶ
- 迷うなら持ち帰る
- 手放す前に全ページ撮影
- お寺と親族に一言
- 業者には見積もりで聞く
仏壇の回収日が決まっているなら、その前の帰省で過去帳を取り出して、全ページを写真に撮ってください。行き先を決めるのは、それからで間に合います。
仏壇のほかにも家の中の物が残っているなら、実家じまいの費用と進め方で全体の順番を確かめておくと、回収日までの段取りが組みやすくなります。


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