樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を目印にして遺骨を納めるお墓です。ほとんどが永代供養つきで、継ぐ人がいなくても申し込めます。
費用は1人用で20万〜40万円ほどが目安。2026年の調査では、樹木葬の平均購入金額は71.7万円でした(一般墓は152.0万円)。
私は地方の実家の墓を墓じまいしたとき、樹木葬も最後まで候補に残しました。
最終的に父と母は永代供養墓へ移したので、樹木葬を「選ばなかった側」です。比べた立場から、選ぶ前に確かめたい点を正直に書きます。
けんじ樹木葬って言葉はやさしいけど、中身は分かりにくいですよね。意味と費用から順に、墓じまいで改葬先を探した経験もまじえて整理します。
樹木葬とは?お墓・永代供養との違い


樹木葬の意味


樹木葬は、シンボルツリーや草花の下に遺骨を埋める形のお墓です。墓石を建てないぶん明るい雰囲気の区画が多く、費用も一般のお墓より抑えやすくなります。
日本では1999年、岩手県一関市の寺院(知勝院)が雑木林に開いたのが最初とされています。今では都市部の霊園にも広がり、2026年の調査では購入されたお墓の47.4%が樹木葬でした。
埋められるのは墓地だけ


「自然に還す」といっても、好きな山や自宅の庭に埋めることはできません。墓地、埋葬等に関する法律で、焼骨の埋蔵は墓地以外の区域で行ってはならないと決まっているからです。
樹木葬は、都道府県知事などの許可を受けた墓地の中で行う「お墓の一種」です。海にまく散骨とは別物なので、ここは分けて考えてください。
一般のお墓との違い


| 比べる点 | 樹木葬 | 一般のお墓 |
|---|---|---|
| 目印 | 樹木・草花 | 墓石 |
| 平均購入金額 | 71.7万円 | 152.0万円 |
| 継ぐ人 | 不要が多い | 原則必要 |
| いずれ合祀 | ある施設が多い | なし |
| お線香 | 禁止の所もある | 基本できる |
※平均購入金額と割合は鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」より。「いいお墓」経由で2025年にお墓を購入した1,267人への調査です。
ちなみに実家の墓は地方の民営霊園の一区画で、年間管理料は8,000円でした。お金より重かったのは、片道4時間の距離のほうです。
永代供養・納骨堂との違い


「永代供養」は、霊園や寺院が家族の代わりに供養と管理を続ける仕組みの名前です。樹木葬・永代供養墓・納骨堂は、その仕組みがつく「場所の形」の違いと考えると整理しやすいです。
| 形 | 納める場所 | 平均購入金額 |
|---|---|---|
| 樹木葬 | 樹木や草花の下 | 71.7万円 |
| 納骨堂 | 屋内の棚・区画 | 81.5万円 |
| 一般墓 | 墓石を建てる | 152.0万円 |
※同調査(2026年)の数字。合祀墓・合葬墓は別の区分で、購入者の割合は16.4%でした。
屋内で天候を気にせず参りたいなら納骨堂の費用と種類、合祀まで含めた仕組みは永代供養とは|費用相場・種類・選び方で比べられます。
樹木葬の種類と費用の目安


樹木葬は「どこにあるか(立地)」と「どう納めるか(埋葬の方法)」の2つで分かれます。費用を大きく動かすのは、後者の埋葬の方法と人数です。
里山型


墓地の許可を受けた山林に、1区画ずつ木を植えたり自生の木の周りに埋めたりする形です。自然に還る感覚をいちばん大事にしたい方に向いています。
広い土地が要るぶん郊外や山あいに多く、年をとると通えなくなることがあります。火気厳禁で、お線香を上げられない所も多いです。
都市型(公園・庭園)


霊園や寺院の一角に、シンボルツリーや花壇、芝生を整えた区画をつくる形です。都市部や郊外の霊園に多く、今選ばれている樹木葬の多くはこちらです。
駅やバス停から近い所を選べば、家族が通いやすくなります。区画が小さく、季節によっては花が少ない時期もあるので、見学は写真より現地で確かめてください。
埋葬の方法は3つ


| 方法 | 納め方 | 取り出し |
|---|---|---|
| 個別型 | 1人や家族ごとの区画 | 期間中はできる所も |
| 集合型 | 同じ場所に分けて納める | 施設による |
| 合祀型 | 他の方と一緒に埋める | できない |
個別型や集合型でも、十七回忌や三十三回忌などの区切りで合祀に移す施設が多くあります。「個別の期間は何年か」は、どの形でも最初に聞くことです。
人数別の費用


| 納める人数 | 費用の目安 |
|---|---|
| 1人用 | 20万〜40万円 |
| 2人用 | 60万〜80万円 |
| 3人以上 | 80万円〜 |
※目安はライフドット「樹木葬とは」掲載の相場(2026年10月時点)。合祀型はさらに安い所もあり、地域や区画の場所で幅があります。
広告の金額には、永代供養料だけでなく、埋葬料やプレートの彫刻料が別になっていることがあります。個別の期間中に年間管理費(年5,000円〜1万円ほど)がかかる施設もあるので、総額と年数をセットで比べてください。
樹木葬で後悔しやすい注意点


樹木葬は、あとから取り返しがつかない部分があります。安さや写真の雰囲気より先に、次の4つを確かめてください。
合祀後は取り出せない


合祀型は、最初から他の方の遺骨と一緒に土へ埋めます。一度埋めたら遺骨は取り出せません。個別型でも、期間が過ぎて合祀されたあとは同じです。
親族のだれかが「やっぱり近くに移したい」と言い出しても、戻せない。将来動かす可能性が少しでもあるなら、個別の期間が長い所を選んでおくほうが無難です。
粉骨が要ることがある


区画が小さい樹木葬や合祀型では、骨壺から出して遺骨を細かく砕く「粉骨」を条件にする施設があります。骨壺のままでは納められないこともあるので、申し込む前に確認してください。
古いお墓から出した遺骨は、洗浄や乾燥が別に必要になることもあります。私も墓から出した遺骨を海洋散骨に回したとき、この洗浄・乾燥の分で見積もりが上がりました。
お参りの仕方が違う


墓石がないので、シンボルツリーや共同の献花台の前で手を合わせる形が多くなります。お線香やお供え物に制限がある施設も少なくありません。
合祀型だと、どこに自分の親が眠っているのか場所を特定できないこともあります。「ここに来ればお母さんがいる」という感覚を大事にする家族なら、個別型のほうが合います。
家族の理解を先に


墓石のない形は、年配の親族ほど戸惑いがちです。法律上の同意は要らなくても、あとで揉めると関係のほうが戻りません。
私も祖父母の遺骨を海に還すと決めたとき、弟に「じいちゃんを海に捨てるみたいだ」と渋られました。実家じまいの明細を送り、父と母は永代供養墓に残すと説明したら、一晩で「それでいい」と返事が来ました。
決めたあとで伝えるより、候補と金額を見せて相談する順番のほうが通りやすいと感じます。反対されたときの進め方は墓じまいを親戚に反対されたときの記事に順番どおり書きました。



安さだけで決めると、あとで動かせないことがあります。期間・総額・お参りの仕方は、家族と一緒に確かめてくださいね。
樹木葬が向いている人・向かない人


向いている人


- お墓を継ぐ人がいない
- 自然に近い形で眠りたい
- 墓石代をかけたくない
- 宗派にこだわりがない
樹木葬は宗旨・宗派を問わない所が多いのも特徴です。ただ、寺院が運営する樹木葬では檀家になることが条件の場合もあるので、そこは聞いておきます。
向かない人


- 代々のお墓として残したい
- お線香を上げて参りたい
- あとで遺骨を動かしたい
樹木葬の多くは1代か2代で完結する作りです。子や孫が同じ場所に入り続けるお墓を望むなら、一般墓のほうが考えに合います。
私は改葬先を探すとき、ライフドットで改葬先を探した話に書いたとおり、継ぐ人がいない前提で永代供養と樹木葬に絞りました。資料を取り寄せて2つまで絞り、最後は現地を見学して決めています。
決め手にしたのは「自分が年をとっても、気持ちよく手を合わせに来られるか」。
そう考えて選んだのが、父と母の2体で23万円の永代供養墓でした。樹木葬が悪かったわけではなく、うちの条件ではそちらが合った、というだけです。
お墓から樹木葬へ移す手続き


今あるお墓から樹木葬へ遺骨を移すことを「改葬」といい、市区町村長の改葬許可が必要です。申請先は、いま遺骨がある場所の市区町村です。
手続きの順番


- 移す先の樹木葬を決める
- 今の墓地で埋蔵証明をもらう
- 役所に改葬許可を申請
- 閉眼供養と遺骨の取り出し
- 許可証を移す先に出す
自治体によっては、移す先の受入証明も求められます。亡くなって間もない方を最初から樹木葬に納めるなら改葬ではないので、火葬のときに受け取る火葬許可証(火葬済みの記載があるもの)を出します。
私がつまずいた所


墓を開けたら、骨壺が5つ出てきました。父、母、祖父、祖母、それに名前の読めない古い1つです。
改葬許可証は遺骨1体につき1通が原則で、5つ分の手続きが要りました。申請書1枚に何体書けるかは自治体で違うので、先に窓口で聞くと二度手間を防げます。
墓じまい全体は約68万円で、行けないと気づいてから決めるまで足かけ3年かかりました。内訳はお墓が遠くて行けなかった2年と68万円の内訳に全部出しています。
祖父母ともう1体を海に還した流れは墓じまいの遺骨を代行散骨した体験談にまとめました。
今あるお墓をどうするか、業者選びから整理したい方はお墓・墓じまいのサービスもどうぞ。
樹木葬の見学で聞くこと


ネットの写真と現地の雰囲気は、けっこう違います。日当たり、静けさ、手入れが行き届いているか。見学のときは次のメモを持っていってください。
- 経営主体はどこか
- 個別の期間は何年か
- 期間後は合祀か
- 総額に何が含まれるか
- 年間管理費はいくらか
- 粉骨が必要か
- 何人まで納められるか
- 宗派や檀家の条件
- 線香・花のルール
- 駅からの行き方
もうひとつ、花や木の見え方は季節で変わります。できれば、いちばん寂しく見えそうな冬の時期の写真も見せてもらうと安心です。
近くにどんな樹木葬があるか分からないと、見学の手前で止まりがちです。地域や予算で絞って資料請求できる大手サイトの評判はいいお墓の口コミを調べた話にまとめました。
樹木葬についてよくある質問


- Q樹木葬の費用相場はいくらですか?
- A
1人用で20万〜40万円、2人用で60万〜80万円ほどが目安です。2026年の鎌倉新書の調査では、樹木葬の平均購入金額は71.7万円でした。
- Q樹木葬と永代供養は何が違いますか?
- A
永代供養は、霊園や寺院が家族の代わりに供養と管理を続ける仕組みの名前です。樹木葬はお墓の形の名前で、ほとんどに永代供養がついています。
- Q自宅の庭や好きな山に埋めてもいいですか?
- A
できません。墓地、埋葬等に関する法律で、焼骨の埋蔵は墓地以外の区域で行ってはならないとされています。樹木葬は許可を受けた墓地の中で行います。
- Q樹木葬の年間管理費はかかりますか?
- A
最初の一括払いだけで済む所もあれば、個別の期間中に年5,000円〜1万円ほどかかる所もあります。広告の金額に含まれるかを確かめてください。
- Q樹木葬に納めた遺骨はあとで取り出せますか?
- A
個別の期間中なら取り出せる施設もありますが、合祀されたあとは取り出せません。取り出してよそへ移すときは、改めて改葬許可が必要です。
- Q樹木葬に宗派の制限はありますか?
- A
宗旨・宗派を問わない所が多い一方、寺院の樹木葬では檀家になることが条件の場合もあります。申し込む前に条件を聞いておいてください。
- Q樹木葬のお参りはどうするのですか?
- A
シンボルツリーや共同の献花台の前で手を合わせる形が多いです。お線香やお供え物が制限される施設もあるので、見学で確かめてください。
- Qお墓から樹木葬へ移すには何が必要ですか?
- A
遺骨がある場所の市区町村で改葬許可を受け、改葬許可証を移す先に出します。申請には今の墓地の管理者が書く埋蔵の証明が必要で、許可証は遺骨1体ごとが原則です。
- Q里山型と都市型はどちらがいいですか?
- A
自然に還る感覚を大事にしたいなら里山型、通いやすさを重視するなら都市型が向きます。10年後も家族が通える道のりかどうかで決めると迷いにくいです。
まとめ:樹木葬とは木の下に眠るお墓


樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を目印にして遺骨を納めるお墓です。1人用で20万〜40万円ほど、2026年の平均購入金額は71.7万円でした。
決める前に確かめたいのは、個別の期間と合祀のタイミング、年間管理費を含めた総額、それと家族が通い続けられるかです。
私は樹木葬を最後まで候補に残し、結局は選びませんでした。祖父母の骨を少しだけ手元に残しておけばよかったかな、と今も思うことがあります。



急いで決めなくて大丈夫です。家族と話して、見学して、期間とお金を紙に書き出してから決めてくださいね。
墓じまいや今あるお墓の整理はお墓・墓じまいのサービス、樹木葬と並ぶ供養先の永代供養については永代供養とは|費用相場・種類・選び方、亡くなったあとの手続き全体の流れは身内が亡くなったらすることリストで解説しています。










