おひとりさまの終活は、死後事務委任・任意後見・遺言・葬儀とお墓の手配の4つで備えます。どれも判断力があるうちでないと結べない契約なので、元気なうちに動くことがいちばんの条件です。
私自身はおひとりさまではなく、妻と子がいます。ただ、母を見送ったときに死後の手続きを一通りやった側として、「身寄りがなかったら、これを誰がやるのか」は何度も考えました。
その実感と、自分の遺言を相談しに窓口へ行ったときに聞いたことをもとに、何をどの順番で備えればいいかを整理します。
けんじ「自分が死んだあと、誰が手続きしてくれるんだろう」という不安は、分けて見ると一つずつ備えられます。順番に見ていきましょう。
おひとりさまの終活で備える4つ


| 備え | 守る時期 | 頼む先 |
|---|---|---|
| 任意後見契約 | 判断力が落ちたとき | 信頼できる人・専門家 |
| 死後事務委任契約 | 亡くなった直後 | 専門家・終活事業者 |
| 遺言 | 財産の行き先 | 自筆か公証役場 |
| 葬儀・お墓・身元保証 | 入院から供養まで | 葬儀社・霊園・事業者 |
家族がいれば、この4つは家族が「なんとなく」引き受けています。身寄りがない人は、その「なんとなく」を一つずつ契約や書面に置き換えていく、と考えると整理しやすいです。
ほかに、使っていない口座やカードの整理、見守りサービス、エンディングノートも役に立ちます。ただ、ノートには法的な効力がないので、4つの代わりにはなりません。
亡くなった後の手続きは死後事務委任で


私が母のときにしたこと


人が亡くなると、驚くほど細かい用事が続きます。母のときに私が動いたものを、思い出せる範囲で並べます。
- 葬儀の手配と支払い
- 市役所で葬祭費の申請
- 郵便物を全部開けて確認
- 借金がないかの信用情報
- 銀行口座の解約
- 税務署で準確定申告
- 実家の片付けと処分
少額の口座を自分で解約しに行った日は、銀行の窓口で2時間近く待ちました。母の医療費の領収書を輪ゴムで束ねて税務署に持っていくと、担当の方が日付順に並べ直してくれたのを覚えています。
どれも「家族だから」やれたことです。身寄りがなければ、この一つひとつを誰かに頼んでおく必要があります。
死後事務委任契約とは


自分が亡くなった後の手続きを、生前に第三者へ頼んでおく契約です。遺体の引き取りと葬儀・納骨、役所への届け出、病院や施設の精算、住まいの片付けや解約などを任せられます。
頼む相手は、信頼できる知人のほか、司法書士・行政書士・弁護士や、終活を支援する事業者です。費用のほかに、葬儀代や精算に使うお金を「預託金」として先に預けるのが一般的です。
金額は頼む範囲でかなり変わります。一例として、私が相談した「終活と相続のまどぐち」は、執行費用込みで平均約110万円が目安と公式サイトで案内しています(2026年9月時点)。
契約前に聞くこと


- 頼める手続きの範囲
- 預託金の管理のしかた
- 余ったお金の返し先
- 相手が倒れたときの代役
- 途中解約の返金
契約は長く続き、お金を先に預けるものです。事業者が倒れたら誰が引き継ぐのか、預けたお金はどこに分けて置かれるのかを、書面で確かめてください。
判断力が落ちたときは任意後見で


任意後見契約とは


認知症などで判断力が落ちたときに、お金の管理や契約の手続きを任せる人を、元気なうちに自分で選んでおく契約です。契約は公正証書で結ぶ決まりで、公証役場で作ります。
後見が動き出すのは、判断力が落ちたあと、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだときからです。それまでの間は、見守り契約や財産管理の委任契約を組み合わせて、元気なうちから様子を見てもらう形がよく使われます。
私は間に合わなかった


母の物忘れが始まった頃、私は家族信託を調べて無料相談まで行きました。でも、判断能力の線引きで間に合わず、見送っています。
本人が「はい」と言えるうちにしか結べない契約がある。
これは身寄りのあるなしに関係なく、終活でいちばん伝えたいことです。成年後見と家族信託の違いは認知症に備える財産管理の選び方で比べています。
財産の行き先は遺言で決める


相続人がいないと国庫へ


遺言がなければ、財産は法律の順番で相続人に渡ります。兄弟姉妹や甥・姪まで含めて相続人が1人もいない場合は、手続きを経て、最後に残った財産は国のものになります。
お世話になった人や団体に遺したいなら、遺言で書いておくしかありません。逆に、疎遠な甥や姪が相続人になる人は、自分の死後にその人たちへ手続きの負担がかかることも知っておいてください。
遺言の2つの方式


| 方式 | 費用 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 自筆+法務局保管 | 保管手数料3,900円 | 財産が単純 |
| 公正証書遺言 | 財産額で変わる | 確実に残したい |
自筆の遺言は、法務局に預ければ紛失や書き換えの心配がなく、死後の家庭裁判所での検認も要りません。公正証書遺言は公証人が作るので、方式の不備で無効になりにくいです。
おひとりさまは、遺言の中身を実行してくれる「遺言執行者」も決めておくことをおすすめします。
死後事務委任と同じ人に頼めば、窓口が一本になります。書き方は遺言書の書き方にまとめました。
葬儀・お墓・身元保証の備え


葬儀とお墓


葬儀は、葬儀社と生前に内容と費用を決めておけます。ただ、亡くなったことを葬儀社に知らせる人が要るので、死後事務委任の中に「この葬儀社に連絡する」まで入れておくと話がつながります。
お墓は、継ぐ人がいなくても施設が供養と管理を続ける永代供養が現実的です。形の違いは永代供養の費用と種類、樹木葬の費用と種類、納骨堂の費用と種類で比べられます。
私は実家の墓を墓じまいし、父と母を永代供養墓へ移しました。そのとき見学で決め手にしたのは「年をとっても手を合わせに来られるか」でしたが、おひとりさまなら「自分が入る前提で、誰が納骨するか」まで決めておく必要があります。
身元保証サービス


入院や施設への入居では、身元保証人を求められることがあります。家族に頼めない人向けに、民間の事業者が保証人を引き受ける身元保証サービスがあります。
2024年6月には、国が「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」をまとめました。長期の契約で前払いが多く、判断力をめぐって後で争いになりやすいことから、事業者が守るべき点が示されています。
選ぶときは、ガイドラインを守っているか、預託金を分けて管理しているか、寄付を条件にしていないか、解約時の返金を確かめてください。
料金の一例として、まどぐちの身元保証は基本料金330,000円(税込)・月会費なし・対応は一都三県です(2026年10月時点)。
同じ事業者でも、認知症の方は契約できず、中途解約の返金はないと明記されています。こういう条件こそ、契約前に読んでおくところです。
何から始めるか・どこに相談するか


始める順番


- 財産と契約を書き出す
- 相続人がいるか確かめる
- 頼める人を考える
- 相談先で全体を見てもらう
- 遺言と委任契約を作る
- 葬儀・お墓を決める
書き出しは、エンディングノートの書き方の項目を使うと漏れにくいです。持ち物を減らしておくと死後の片付けの費用も下がるので、生前整理の進め方もあわせてどうぞ。
母の実家じまいでは、片付けと処分と名義変更で150万円以上かかりました。物が多いほど、残された誰かの手間とお金になります。
私が相談した窓口


弟と相続で揉めた反省から、2026年の春、自分の遺言を相談しに新宿マルイの「終活と相続のまどぐち」へ行きました。妻に「で、あなたはどうするの」と言われたのがとどめです。
相談は約1時間で、ほとんどがヒアリング。
遺言や死後事務委任のような法律がからむ話は、グループの弁護士法人での面談につながる仕組みでした。相談は何度でも無料で、費用は契約に進んでからです。
私はまだ契約していません。「元気なうちに」と書きながら、弁護士との面談を先延ばしにしています。
ただ、どこに何を頼む問題なのかが分かっただけで、頭の中はかなり片づきました。
来店できるのは新宿の1店舗ですが、資料請求やメールでの相談は場所を問わずできます。身元保証まで含めて一つの窓口で聞きたい方は、資料で費用の全体を先に見ておくと話が早いです。
窓口で聞いた中身と気になった点は終活と相続のまどぐちのレビューに全部書きました。ほかの相談先と比べたい方は相続・終活の相談はどこがいいかもどうぞ。
おひとりさまの終活でよくある質問


- Q頼れる家族がいないと終活は無理ですか?
- A
無理ではありません。死後事務委任契約や任意後見契約を使えば、専門家や事業者に手続きを任せられます。家族が担う役割を契約に置き換えていくイメージです。
- Q死後事務委任契約の費用はいくらですか?
- A
頼む範囲と相手で大きく変わります。葬儀代や精算用の預託金も含めると100万円を超えることもあり、まどぐちは執行費用込みで平均約110万円と案内しています。
- Q任意後見と死後事務委任は何が違いますか?
- A
任意後見は判断力が落ちた「生きている間」の支援、死後事務委任は亡くなった「後」の手続きが対象です。守る時期が違うので、組み合わせて使うのが一般的です。
- Qおひとりさまの財産は誰が相続しますか?
- A
遺言がなければ、兄弟姉妹や甥・姪など法律上の相続人に渡ります。相続人が1人もいなければ、手続きを経て最後は国庫に入ります。
- Q身元保証人がいないと施設に入れませんか?
- A
保証人を求められることはありますが、民間の身元保証サービスや、任意後見・死後事務委任との組み合わせで対応できる場合があります。施設に何が必要かを先に聞いてください。
- Qエンディングノートだけでは足りませんか?
- A
希望を書き残すのには役立ちますが、法的な効力はありません。財産の行き先は遺言、手続きの委任は契約でないと実現しないので、併用してください。
- Qお墓の管理をする人がいません
- A
継ぐ人がいなくても施設が供養と管理を続ける、永代供養墓・樹木葬・納骨堂があります。誰が納骨するかまで、死後事務委任で決めておくと安心です。
- Q何歳くらいから始めればいいですか?
- A
年齢より、判断力と体力があるうちが条件です。任意後見も死後事務委任も、本人がはっきり判断できるうちでないと結べません。思い立ったときが始めどきです。
まとめ:おひとりさまの終活は元気なうちに


おひとりさまの終活は、死後事務委任・任意後見・遺言・葬儀とお墓の手配の4つで、家族が担う役割を一つずつ契約と書面に置き換えていく作業です。
どれも判断力があるうちでないと結べません。母の家族信託に間に合わなかった私が言うのもなんですが、相談先を1つ決めるところまでは、今週のうちにやってしまってください。



一人で全部決めなくて大丈夫です。窓口を1つ見つけておくだけで、気持ちはかなり楽になりますよ。
相談先の選び方は相続・終活の相談はどこがいいか、葬儀の準備は葬儀社の選び方、お墓や永代供養はお墓・永代供養の選び方で解説しています。










