先に結論から書きます。銀行の遺産整理業務の報酬は、大手信託銀行で最低110万円(税込)〜が共通の水準です。
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私は母の年金が入っていた銀行の窓口でこのサービスを案内され、お断りしました。ほぼ同じ範囲の手続きを、nocos(ノコス)に頼んで総額約26.7万円で終えています。
断っていいのか。失礼にならないか。断ったら口座の手続きで不利にならないか。
窓口で迷っている人が気にしていることに、断った本人として全部答えます。銀行を悪者にする記事ではないので、銀行が合う家のことも正直に書きます。
けんじ担当の方は親切でした。ただ、金額の桁がうちの相続には合わなかった。それだけの話です。
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結論:最低110万円〜。断っていい
見出しのとおりです。なぜそう言い切れるのか、金額の仕組みから順に説明します。
まず、あの110万円がどう決まっているのかから。
最低110万円の中身
信託銀行の遺産整理業務は、遺産額に料率を掛けて報酬を計算します。みずほ信託銀行の例だと、遺産1億円以下の部分は1.540%、1億円超〜3億円の部分は0.880%です。
ここに「最低報酬」という下限が付きます。大手はどこも110万円(税込)前後で横並びです。
遺産5,000万円なら料率計算で77万円。でも下限を下回るので、支払いは110万円になります。
遺産が数千万円の家ほど割高になる構造だ、ということです。
断っていい理由
銀行の遺産整理は「取りまとめ役」です。相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士と、実務の多くは外部の士業が担います。
で、その司法書士報酬・税理士報酬・登録免許税は全部別料金です。110万円は、窓口をまとめてもらう代金と考えてください。
同じ取りまとめを、私はnocosの定額プランで済ませました。範囲はほぼ同じで、桁がひとつ違います。
だから、金額を聞いて「高い」と感じたなら、その感覚は正しいです。断って大丈夫です。
富裕層には合理的
誤解のないように書いておくと、信託銀行の遺産整理がぼったくりというわけではありません。
遺産が数億円あって、株式・投資信託・複数の口座と中身が入り組んでいる家なら、1億円超の部分の料率0.880%が効いてきます。士業を自分で束ねる手間を考えると、割に合う場面もあります。
高齢の相続人がいて「銀行さんなら」と全員が納得しやすい、という家にも向いています。
要は、遺産の規模と複雑さに合うかどうかです。評価額800万円ほどのうちの実家には、合わなかっただけです。
料金と範囲を比較表で見る
言葉で説明するより、並べたほうが早いですね。私が両方の窓口で聞いた内容と公表資料をもとに、表にしました。
| 比較項目 | 信託銀行の遺産整理 | nocos |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 最低110万円(税込)〜 | 165,000円(税込) |
| 報酬の決まり方 | 遺産額×料率(1億円以下1.540%等) | 定額プラン |
| 相続登記 | 別料金(司法書士報酬+税) | プランに込み(税は実費) |
| 相続税の申告 | 別料金(税理士報酬) | 遺産総額の0.5〜1.2%で対応 |
| 預貯金の解約 | 報酬に含む | 1社55,000円 |
| 実務の担い手 | 提携の外部士業 | グループ内の士業 |
※2026年7月時点。nocosの165,000円は土地1筆・建物1棟・評価額1,000万円以下・相続人4名以下が条件です。登録免許税(評価額の0.4%)などの実費は、どちらに頼んでも別にかかります。
表の中で、いちばん見落とされやすい行から説明します。
登記と税申告は別料金
ここが肝です。銀行に110万円を払っても、登記の司法書士報酬と税申告の税理士報酬は別に請求されます。
窓口で私は、ここを聞き落としかけました。「全部お任せ」という言葉の「全部」に、士業の報酬と実費は入っていないんです。
総額で比べないと、比較になりません。検討するなら「別途いくらかかるのか」まで書面で出してもらってください。
総額を出すには、どこまで自分でやるかも決めないと計算が合いません。私が自力でやった範囲と外に出した範囲は相続手続きの仕分けリストに書いたので、見積もりを取る前の材料にどうぞ。
nocosは定額が基本
対するnocosは、相続スタンダード税込165,000円に戸籍収集・遺産分割協議書・相続登記まで入っています。預貯金の解約は1社55,000円の追加です。
相続税の申告が必要な場合も、遺産総額の0.5〜1.2%でまとめて頼めます。運営は2004年からのNCPグループで、司法書士59名・税理士8名が在籍し、受託は12.5万件を超えています。
遺産額ではなく作業量で値段が決まる。数千万円クラスの相続だと、この違いがそのまま数十万円の差になります。
もっと安い型を探すなら、オンラインで完結するそうぞくドットコムもあります。登記93,500円という数字に私も揺れたので、その比較はそうぞくドットコムと比べた記事に残しました。
銀行が向いている人・nocosが向いている人
どちらが上という話ではなく、遺産の中身で決まります。自分の家がどちらか、照らしてみてください。
先に、銀行に払う価値がある家から。
銀行が向いている人
遺産が数億円規模で、金融資産が入り組んでいる家です。料率型の報酬は、資産が大きいほど相対的に軽くなります。
- 遺産が数億円規模ある人
- 株や口座が多く複雑な人
- 費用より安心を取りたい人
相続人どうしの信頼の担保として、銀行の看板が効く家もあります。ここに当てはまるなら、110万円は法外な金額ではありません。
nocosが向いている人
実家の不動産と預貯金が中心の、ごく普通の相続ならこちらです。私の家がまさにそうでした。
- 実家と預貯金が中心の人
- 費用を30万円以下にしたい人
- 窓口を一本化したい人
「窓口ひとつで全部進む」という銀行の良さは、nocosでも同じように手に入ります。違うのは値段です。
私が頼んだときの流れや、連絡が少なくて催促のメールを打った話まで含めた本音は、nocosの口コミ評判と体験談レビューの記事に全部書きました。
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私が銀行の窓口で断ったときの話
ここからは、数字ではなく空気の話です。同じ場面で迷っている人のために書いておきます。
あの日のことは、わりと細かく覚えています。
窓口で案内された日
母の口座の相続手続きで、年金が入っていた銀行の窓口に行った日のことです。番号札で呼ばれたあと、小さな相談ブースに通されました。
手続きの説明が済むと、光沢のあるパンフレットが一冊、机に置かれました。「遺産整理のサービスもございます」と。
「専門家に全部お任せいただけるので、安心ですよ」。この言葉は、正直に言えば刺さりました。あの頃は書類の山を見るだけで疲れていたので。
で、報酬の目安を聞いたら、最低でも100万円を超えるとのことでした。膝の上のパンフレットが、急に重くなった気がしました。
断るときの気まずさ
「考えます」と流せばいいものを、私は変に律儀に「金額が合わないので結構です」と答えました。声が少し硬かったと思います。
担当の方は嫌な顔ひとつせず、「かしこまりました」とパンフレットを引き取りました。こちらが拍子抜けするくらい、あっさりです。
帰り道に恥ずかしかったのは、断ったことではなく、一瞬揺れた自分のほうでした。疲れているときの「全部お任せ」は、それくらい甘く聞こえるんです。
もしあなたが窓口で心が動いても、それは判断力の問題ではありません。いちばん弱っている時期に提示されている、というだけです。
銀行を断ったあと、私は専門家を紹介してもらう型も試しています。いい相続で見積もりを取ったときの話はいい相続と比べた記事にあるので、窓口以外の入口も知っておきたい方はどうぞ。
断っても何も起きない
心配な人のために書いておくと、断ったあとも口座の解約手続きは普通に進みました。対応が雑になることもなかったです。
遺産整理サービスの営業と、相続人としての解約手続きは別の話です。断ったから凍結の解除が遅れる、といった仕組みはありません。
口座の手続きを自分でやる場合の流れは、預貯金の相続手続きの記事に必要書類からまとめてあります。
ちなみに私は、自分で解約したほうの口座で書類の不備を出して、平日に2回呼び出されています。断ったうえで代行に頼む、という道もあるわけです。



断るのは失礼でもなんでもありません。銀行も商売、こちらも生活です。
銀行の遺産整理のよくある質問
窓口では聞きにくいことほど、先に答えておきます。全部、結論からです。
- Q断ったら口座凍結の解除で不利になりますか?
- A
なりません。遺産整理サービスと相続人としての解約手続きは別で、必要書類が揃えば同じように進みます。私も断った銀行で、そのまま解約まで終えています。
- Q銀行に頼んでも登記は結局別料金ですか?
- A
そのとおりです。相続登記は提携の司法書士、税申告は税理士が担当し、その報酬と登録免許税は基本報酬とは別に請求されます。検討するなら、総額の見積もりを書面でもらってください。
- Q信託銀行の遺産整理は何をしてくれますか?
- A
財産目録の作成、遺産分割の事務サポート、解約や名義変更の取りまとめが中心です。窓口が一本化される良さはある半面、実務の多くは外部の士業が担う点は知っておいてください。
- Q費用はどうやって計算されますか?
- A
遺産額×料率が基本で、みずほ信託の例では遺産1億円以下の部分が1.540%、1〜3億円の部分が0.880%です。計算結果が下限を割ると、最低報酬110万円(税込)が適用されます。
- Qどんな人なら銀行に頼む価値がありますか?
- A
遺産が数億円規模で、金融資産が複雑な人です。実家と預貯金が中心の相続なら、定額の代行サービスか司法書士への個別依頼で足ります。私は後者側の家だったので断りました。
- Q断るときは何と言えばいいですか?
- A
「費用が合わないので、他で進めます」で十分です。理由を細かく説明する義務はなく、担当者も断られ慣れています。私もこの一言で終わりました。
まとめ:高いと感じた感覚は正しい
銀行の遺産整理は最低110万円〜で、登記と税申告は別料金。遺産が数億円ある家には合理的で、実家と預貯金が中心の家には過剰です。
私は断って、ほぼ同じ範囲をnocosに頼んで約26.7万円で終えました。この判断を後悔したことは、一度もありません。
ただ、あのブースで一瞬揺れた気持ちは、いまでも覚えています。親を見送った直後の「全部お任せ」は、本当に甘く聞こえる。
だからこそ、その場で決めないでください。見積もりを2つ並べれば、迷いはだいたい消えます。



110万円と16.5万円、両方の見積もりを見てから決めても、遅くありませんよ。
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