預貯金の相続手続きは、銀行へ連絡→書類をそろえる→所定の用紙を出す→払戻しの4段階です。口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で止まります。
凍結を解くには、亡くなった人の戸籍一式と、相続人全員の同意を示す書類(遺産分割協議書や銀行所定の用紙)が要ります。葬儀代など急ぐお金は、1つの銀行で最大150万円まで先に引き出せる制度があります。
母の口座は2つありました。1つは相続手続きの代行に任せ、残高の少ないほうは私が自分で窓口へ行って解約しています。
両方やったので、どこで手間取るかは身をもって知っています。
けんじ窓口で「お取り扱いできません」と言われると、頭が真っ白になりますよね。止まる理由から順に、落ち着いて片づけていきましょう。
親が亡くなると銀行口座はいつ凍結される?


銀行が死亡を知った時


役所に死亡届を出しても、銀行へ自動で伝わる仕組みはありません。口座が止まるのは、家族からの連絡などで銀行が名義人の死亡を知った時点です。
止める理由は、預金が相続人全員のものになるからです。誰か1人が引き出せてしまうと、あとで取り分の争いになる。
銀行は全員の意思がそろうまで出入りを止めて、遺産を守っています。
止まる支払いと入るお金


凍結されると、ATMでの引き出しに加えて口座振替も止まります。電気・水道・電話・クレジットカードなど、その口座から落ちていた支払いは、別の支払い方法への切り替えが必要です。
逆に、止まった口座へ入ってくるお金もあります。年金は止める届出をしないと振り込まれ続け、あとで返すことになります。
期限の短いこちらを先に片づけてください。順番は親が亡くなったあとの年金手続きにまとめています。
凍結前に下ろす前に


暗証番号を知っていれば、連絡前にATMで下ろせてしまいます。でもほかの相続人に黙って下ろすと、使い込みを疑われる火種になります。
下ろしたお金も遺産の一部です。どうしても使うなら、金額と使い道を記録し、領収書を残して、きょうだいに先に伝えておきます。
親に借金があるかもしれないなら、遺産に手をつけると相続放棄が難しくなる場合があります。先に親の借金の調べ方と相続放棄のやり方と期限を確かめてください。
預貯金の相続手続きの流れ(4ステップ)


どの銀行でも、大きな流れは同じです。全国銀行協会が示している手順を、私の言葉に直すとこうなります。
- 銀行へ死亡を連絡する
- 必要書類をそろえる
- 銀行所定の用紙を出す
- 払戻し・名義変更を受ける
口座が複数の銀行にあれば、この4段階を銀行ごとに繰り返します。書類の様式も銀行ごとに違うので、1行ずつ片づけるつもりで進めてください。
最初の電話で聞くこと


いきなり窓口へ行くより、先に電話で聞いたほうが二度手間が減ります。銀行によっては相続専用の窓口や、予約制の店舗があります。
- ほかの支店に口座はあるか
- うちの場合の必要書類
- 書類の有効期限
- 残高証明書の頼み方
- 窓口の予約が要るか
印鑑証明書などは「発行から何か月以内」と期限を決めている銀行があります。早く取りすぎると取り直しになるので、提出時期に合わせて取ってください。
残高証明書は、亡くなった日時点の残高を証明してもらう書類です。遺産の総額をつかむのに使うので、解約の相談とあわせて頼んでおくと話が早くなります。
口座が分からない時


「そもそも通帳が見つからない」で止まっている人もいます。口座番号が分からなくても、金融機関名さえ分かれば手続きは進みます。
探し方は親の通帳が見つからないときの探し方にまとめました。金融機関名を割り出してから、ここへ戻ってきてください。
口座凍結の解除に必要な書類


必要書類は、遺言書と遺産分割協議書があるかどうかで変わります。全国銀行協会の案内をもとに、よくある形を表にしました。
| ケース | 主な書類 |
|---|---|
| 遺言書あり | 遺言書/亡くなった人の死亡が分かる戸籍/受け取る人の印鑑証明書(遺言執行者がいればその人の分) |
| 遺産分割協議書あり | 協議書(相続人全員の署名・実印)/亡くなった人の出生から死亡までの戸籍/相続人全員の戸籍と印鑑証明書 |
| どちらもない | 銀行所定の用紙(相続人全員の署名・実印)/上と同じ戸籍一式/相続人全員の印鑑証明書 |
※全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」と三菱UFJ銀行の案内をもとに整理(2026年10月時点)。通帳・キャッシュカードと、手続きする人の本人確認書類も持参します。
細かな書類は銀行ごとに違います。表は下見用にして、最後は取引のある銀行で確かめてください。
戸籍集めを楽にする


いちばん時間を食うのが、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍です。本籍地を何度も移している親だと、昔は役所を何か所も回る必要がありました。
今は2024年3月1日から始まった「戸籍証明書等の広域交付」で、子なら最寄りの役所で親の戸籍をまとめて請求できます。窓口に本人が行き、顔写真つきの身分証を見せる形で、郵送や代理人は使えません。
銀行が2つ以上あるなら、法定相続情報一覧図も便利です。戸籍の束を法務局に一度出すと、相続関係をまとめた証明書の写しを無料で交付してもらえます。
この写しを戸籍一式の代わりに受け付ける銀行が多く、同じ束を何度も出し入れせずに済みます。
遺産分割協議書を作る


表の中で、自分たちで作るのが遺産分割協議書です。相続人全員の実印が要るぶん、書き直しになると集め直しでかなり消耗します。
書式や書き方は遺産分割協議書の作り方にまとめたので、銀行へ行く前に完成させておいてください。誰がいくら受け取るかの目安は法定相続分と相続順位の早わかりで確認できます。
葬儀代が先に要るなら払戻し制度


「解約まで待てないけれど、葬儀代の支払いは来週」。この困りごとのために、2019年7月1日から遺産分割前の払戻し制度が始まっています。
相続人の1人が、ほかの相続人の同意なしで、決まった額までなら窓口で払戻しを受けられる制度です。家庭裁判所の手続きも要りません。
引き出せる額の計算


口座ごとに「亡くなった日の預金額×3分の1×自分の法定相続分」で計算します。ただし同じ銀行からは全支店を合わせて150万円が上限です。
| 例 | 計算 |
|---|---|
| 相続人は兄と弟の2人 | 法定相続分は各2分の1 |
| 普通預金600万円 | 600万×1/3×1/2 |
| 兄が引き出せる額 | 100万円 |
※全国銀行協会のリーフレット「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」の計算例です。銀行が違えば上限も別々に数えます。
書類は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、払戻しを受ける人の印鑑証明書が基本です。書類を出してから払戻しまでは、確認のために少し時間がかかります。
使う前の注意


この制度で受け取ったお金は、あとの遺産分割で「その人がもう受け取った分」として差し引かれます。もらい得にはなりません。
- 葬儀の領収書を残す
- きょうだいに先に伝える
- 放棄を考えるなら先に相談
- 遺言があると使えない場合も
葬儀費用は、うちも弟と折半しました。誰がいくら出したかは、あとで必ず話に出ます。領収書の束は、封筒ひとつにまとめておくだけで違います。
口座の解約と前後して出てくるのが、亡くなった人の所得税です。
年金だけの親なら義務はまずありませんが、医療費が多かったなら準確定申告を出すと税金が戻る場合があります。戻ったお金も相続財産なので、きょうだいには先に伝えておくほうが安全です。
手続きの期間と、母の2口座でやったこと


かかる期間の目安


書類を出してからの処理は、ゆうちょ銀行の案内で、通常貯金の払戻しが約1〜2週間、他の銀行口座への振込は約3〜4週間です。ほかの銀行も、書類がそろってから数週間を見ておくと安心です。
本当に長いのは、その前の段階です。戸籍集めと、相続人どうしで分け方を決めるところ。ここが数週間で済むか、何か月もかかるかで全体が決まります。
自分で解約した口座


残高の少ないほうの口座は、自分で銀行の窓口へ行きました。呼ばれるまで2時間近く待ちました。
相続の手続きは、ふつうの用件より1件ごとの時間が長くかかります。予約できる銀行なら、予約を取ってから行くのをおすすめします。
代行に任せた口座


もう1つの口座は、実家の相続登記や戸籍集めとまとめて、相続手続きの代行サービスのnocosに頼みました。預貯金の解約は1金融機関55,000円の追加です。
何を任せて総額いくらだったかは相続手続きを代行してもらった私の体験談に書いています。進捗の連絡が少なくて、こちらから催促した話も正直に載せました。
とはいえ、代行に頼んでも分け方までは決めてくれません。うちは弟と実家の分け方でもめて、話がつくまで1年かかりました。
母の預貯金2口座、約340万円を170万円ずつに分けると決まったのは、そのあとです。
銀行の手続きそのものより、きょうだいの足並みのほうがずっと時間を食う。これは、やってみるまで分かりませんでした。
こじれそうなときの相談先は相続の相談はどこがいいかで比べています。
自分でやるか任せるか


| 状況 | 向いている方法 |
|---|---|
| 口座が1〜2行・近所 | 自分で窓口へ |
| 平日に休めない | 代行や専門家 |
| 実家の登記もある | まとめて依頼 |
| 相続人がもめている | 先に弁護士等へ相談 |
口座が近所の1行だけなら、自分でやって十分です。
私のように実家が遠く、登記や戸籍集めも重なるなら、まとめて任せると平日の休みを何日も使わずに済みます。どこまで自分でできるかは相続手続きはどこまで自分でできるかで仕分けています。
\初回相談は無料です/
気になる方は相談だけでもどうぞ
預貯金の相続手続きでよくある質問


- Q役所に死亡届を出すと口座は自動で凍結されますか?
- A
自動では止まりません。止まるのは、家族からの連絡などで銀行が死亡を知った時点です。
- Q凍結される前にお金を引き出してもいいですか?
- A
ほかの相続人に黙って下ろすと、使い込みを疑われる原因になります。使うなら記録を残し、借金がありそうなら相続放棄への影響を先に確かめてください。
- Q預貯金の相続手続きに期限はありますか?
- A
銀行の解約そのものに期限はありません。ただ相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月が期限なので、残高証明書は早めに取っておくと安心です。
- Q払戻し制度の上限はいくらですか?
- A
口座ごとに「預金額×3分の1×法定相続分」で計算し、同じ銀行からは150万円が上限です。銀行が違えば上限は別に数えます。
- Q手続きにはどれくらいかかりますか?
- A
書類を出してからは数週間が目安で、ゆうちょ銀行は通常貯金の払戻しで約1〜2週間と案内しています。時間がかかるのは戸籍集めと、相続人どうしの話し合いのほうです。
- Q複数の銀行に口座がある場合は?
- A
手続きは銀行ごとに必要です。法定相続情報一覧図の写しを取っておくと、戸籍の束を出し回さずに済みます。写しは法務局で無料で交付されます。
- Q遺言書があると手続きは変わりますか?
- A
有効な遺言があれば、遺言で預金を受け取る人の書類を中心に進められます。自筆の遺言は家庭裁判所の検認が必要な場合があるので、種類を先に確かめてください。
- Qきょうだいの1人が協力してくれません
- A
全員の同意がないと、払戻し制度の範囲を超える解約は進みません。急ぐお金は払戻し制度で当座をしのぎ、話し合いがこじれたら弁護士など第三者への相談を考えてください。
まとめ:預貯金の相続は連絡→書類→払戻しの順番で


口座は、銀行が死亡を知った時点で止まります。解除には戸籍一式と相続人全員の同意の書類が要り、流れは「連絡→書類→用紙の提出→払戻し」の4段階です。
葬儀代など急ぐお金は、1つの銀行で最大150万円まで先に引き出せます。書類は銀行ごとに違うので、まず電話で「うちの場合は何が要りますか」と聞くところから始めてください。



私は窓口で2時間待ち、代行を頼んだ口座でも弟との話し合いで1年止まりました。書類より先に、きょうだいと一度だけ電話しておくのが近道かもしれません。
手続き全体の流れは身内が亡くなったらすることリストにまとめています。預金のほかに何が残っているか、並べて確かめてみてください。
また迷ったとき、戻ってこられるように。
親のことは、一度には終わりません。今日の分が済んだら、このページをブックマークしておいてください。次の段階で迷ったとき、また同じ場所から確認できます。
@miokurisouzoku|介護から相続までの実体験を投稿しています










