納骨堂とは、建物の中に骨壺のまま遺骨を納めて供養する施設です。墓石を建てる一般のお墓と違い、屋内の棚や区画を借りる形で、継ぐ人がいなくても申し込めるところが多くあります。
費用は種類しだいで10万円台から150万円ほど。2026年の調査では、納骨堂の平均購入金額は81.5万円でした(一般墓は152.0万円)。
私は地方の実家の墓を墓じまいし、父と母を永代供養墓へ移した、納骨堂は選ばなかった側です。そのぶん、選ぶ前に確かめておきたい点と、お墓から移すときの手続きは身にしみています。
けんじ納骨堂って、お墓とどう違うのか分かりにくいですよね。意味と費用から順に、墓じまいで遺骨を動かした経験もまじえて整理します。
納骨堂とは?お墓・永代供養墓との違い


法律上の納骨堂


墓地、埋葬等に関する法律では、納骨堂を「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」と定めています。
ポイントは「収蔵」という言葉です。お墓は土の中などに遺骨を「埋蔵」し、納骨堂は建物の中に遺骨を「収蔵」する。法律の上でも、お墓とは別の施設として扱われています。
納骨堂を経営するには都道府県知事の許可が必要です。見学のときは、どこが経営主体なのか(寺院・公営・宗教法人など)を最初に確かめておくと安心です。
一般のお墓との違い


| 比べる点 | 納骨堂 | 一般のお墓 |
|---|---|---|
| 場所 | 屋内 | 屋外の墓地 |
| 遺骨の納め方 | 骨壺のまま収蔵 | カロートに埋蔵 |
| 平均購入金額 | 81.5万円 | 152.0万円 |
| 継ぐ人 | 不要の施設が多い | 原則必要 |
| 掃除・草取り | ほぼ不要 | 家族が続ける |
| お線香 | 禁止の施設もある | 基本できる |
※平均購入金額は鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」より。「いいお墓」経由で2025年に購入した1,267人への調査です。
一般のお墓は一戸建て、納骨堂はマンションの一室に近いイメージです。同じ建物に多くの遺骨を納めるぶん、墓石代がかからず費用を抑えやすくなります。
ちなみに実家の墓は地方の民営霊園の一区画で、年間管理料は8,000円でした。金額より重かったのは、片道4時間の距離と、掃除に行けない年が続くことのほうでした。
永代供養墓・樹木葬との違い


「永代供養」は、施設が家族の代わりに供養と管理を続ける仕組みの名前です。納骨堂・永代供養墓・樹木葬は、その仕組みがつく「場所の形」の違いと考えると整理しやすいです。
| 形 | 場所 | 平均購入金額 |
|---|---|---|
| 納骨堂 | 屋内の棚・区画 | 81.5万円 |
| 樹木葬 | 樹木や草花の下 | 71.7万円 |
| 一般墓 | 墓石を建てる | 152.0万円 |
※同調査(2026年)の数字です。合祀墓・合葬墓は区分が別で、購入者の割合は16.4%でした。
私は継ぐ人がいない前提で、永代供養と樹木葬に絞って探し、父母2体を23万円の永代供養墓へ移しました。決め手は「自分が年をとっても手を合わせに来られるか」でした。
どう探して見学まで進めたかはライフドットで改葬先を決めた話に書いています。屋外で自然に還る形が気になる方は樹木葬の費用と種類、合祀まで含めた仕組みは永代供養とは|費用相場・種類・選び方で比べられます。
納骨堂の種類と費用の目安


納骨堂は遺骨の納め方で4つに分かれます。費用もお参りの仕方も変わるので、まず表でざっくりつかんでください。
| 種類 | 費用の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ロッカー型 | 20万〜80万円 | 費用を抑えたい |
| 仏壇型 | 50万〜150万円 | 家族で参りたい |
| 自動搬送型 | 80万〜150万円 | 駅近で通いたい |
| 位牌型 | 10万〜20万円 | とにかく安く |
※費用の目安はライフドット「納骨堂とは」掲載の相場(2026年10月時点)。地域・区画の位置・納める人数で幅があります。
ロッカー型


コインロッカーのように区切られた棚に骨壺を納める形です。1区画が小さいぶん費用を抑えやすく、納骨堂の入口として選ばれやすいタイプです。
上段や下段は手を合わせにくいことがあり、区画の位置で値段が変わる施設もあります。見学のときに、その高さの前に立ってみてください。
仏壇型


上段が仏壇、下段が遺骨を納めるスペースになった形です。家のお仏壇に近い感覚でお参りでき、位牌や写真も飾れます。
複数の遺骨を納められる区画も多いぶん、費用は高めです。夫婦や家族で入る予定なら、何人まで入れるかと、誰が契約を引き継げるかを聞いておきます。
自動搬送型


ふだん骨壺はバックヤードに保管され、カードをかざすと参拝スペースまで機械で運ばれてくる形です。都市部のビル型に多く、駅から近いのが強みです。
設備の維持にお金がかかるため、年間管理費も含めて総額で比べてください。機械の故障や更新の費用をどう備えているかも、聞いておきたいところです。
位牌型


位牌をひな壇のように並べて祀り、遺骨は別の場所にまとめて安置する形です。納骨堂の中ではいちばん費用を抑えられます。
遺骨が他の方と一緒に安置される施設では、あとから個別に取り出せないことがあります。将来ほかの場所へ移す可能性があるなら、契約前に必ず確かめてください。
納骨堂で後悔しやすい注意点


納骨堂は、あとから取り返しがつかない部分があります。安さや駅からの近さより先に、次の4つを確かめてください。
いずれ合祀が多い


「三十三回忌まで個別に安置し、その後は合祀」のように、期間を区切る施設が多くあります。合祀されると、遺骨は取り出せなくなります。
永代供養つきでも、個別の区画がずっと続くとは限りません。「個別の期間は何年か」「期間の延長はできるか」を契約書で確かめてください。
年間管理費の有無


個別に安置している間は年間管理費がかかる施設もあれば、最初の一括払いだけで済むタイプもあります。広告の金額に管理費が入っているかで、10年20年の総額は大きく変わります。
管理費を払う人がいなくなったときにどう扱われるかも、あわせて聞いておきます。
お線香が使えない


屋内の納骨堂では、火災への配慮からお線香に火をつけられない施設がほとんどです。お花やお供えのルールも施設ごとに違います。
お墓参りで線香の煙がないと落ち着かない、という家族がいるなら、見学のときに一緒に行って確かめたほうがいいです。
運営が続くか


2022年、札幌市の納骨堂「御霊堂元町」が閉鎖され、札幌弁護士会が遺骨の返還について利用者向けの説明会を開きました。建物ごと運営されるぶん、経営主体の体力が大事になります。
見学では、経営主体、開設からの年数、万一の閉鎖時に遺骨をどうするかの取り決めを聞いてください。答えがあいまいなら、それも判断材料です。



安さだけで決めると、あとで動かせないことがあります。期間・管理費・運営の3つは、家族と一緒に確かめてくださいね。
納骨堂が向いている人・向かない人


向いている人


- お墓を継ぐ人がいない
- 駅近で天候を問わず参りたい
- 掃除や草取りを減らしたい
- 墓石代をかけたくない
とくに、自分の住まいの近くに供養先を移したい人には合います。遠くの墓に行けない状態が続くつらさは、私も2年分知っています。
向かない人


- 土に還したい
- お線香をあげたい
- 代々ずっと個別に残したい
納骨堂は骨壺のまま納めるので、土に還るわけではありません。自然に還したいなら樹木葬や散骨、代々の墓として残したいなら一般墓のほうが考えに合います。
私は墓から出した5つの骨壺のうち、祖父母ともう1体を海に還しました。どう頼んだかは墓じまいの遺骨を代行散骨した体験談にまとめています。
継ぐ人がいない前提で申し込む方は、お墓の先の手続きまで備えておくと安心です。私が調べたことは身寄りがない人の終活の進め方に書きました。
お墓から納骨堂へ移す手続き


今あるお墓から納骨堂へ遺骨を移すことを「改葬」といい、市区町村長の改葬許可が必要です。納骨堂の管理者は、改葬許可証を受け取るまで遺骨を収蔵できないと法律で決まっています。
手続きの順番


- 移す先の納骨堂を決める
- 今の墓地で埋蔵証明をもらう
- 役所に改葬許可を申請
- 閉眼供養と遺骨の取り出し
- 許可証を納骨堂に出す
申請先は、いま遺骨がある場所の市区町村で、申請書には今の墓地の管理者が書く「埋蔵の事実を証する書面」を添えます。自治体によっては、受け入れ先の証明も求められます。
亡くなって間もない方を最初から納骨堂に納める場合は、改葬ではありません。火葬のときに受け取る火葬許可証(火葬済みの記載があるもの)を納骨堂に出します。
私がつまずいた所


墓を開けたら、骨壺が5つ出てきました。父、母、祖父、祖母、それに名前の読めない古い1つです。
改葬許可証は遺骨1体につき1通が原則で、5つ分の手続きが要りました。申請書1枚に何体まで書けるかは自治体で違うので、先に窓口で聞いておくと二度手間を防げます。
墓じまい全体は約68万円で、行けないと気づいてから決めるまで足かけ3年かかりました。内訳はお墓が遠くて行けなかった2年と68万円の内訳に全部出しています。
今あるお墓をどうするか、業者選びから整理したい方はお墓・墓じまいのサービスもどうぞ。
納骨堂の見学で聞くこと


パンフレットの写真と現地の雰囲気は、けっこう違うものです。見学に行くときは、次のメモを持っていってください。
- 経営主体はどこか
- 個別安置は何年か
- 期間後は合祀か
- 年間管理費はいくらか
- 何人まで納められるか
- 契約は誰が継げるか
- 宗派や檀家の条件
- 線香・花のルール
- 参拝できる時間
- 閉鎖時の遺骨の扱い
もうひとつ、自分や家族が10年後も通える道のりかどうか。駅から近くても、乗り換えが多いと足が遠のきます。
近くにどんな納骨堂があるか分からないと、見学の前で止まりがちです。地域や予算で絞って資料請求できる大手サイトの評判は、いいお墓の口コミを調べた話にまとめました。
亡くなったあとの手続き全体の中で、納骨をどのあたりで考えればいいかは身内が亡くなったらすることリストで流れを確認できます。
納骨堂についてよくある質問


- Q納骨堂の費用相場はいくらですか?
- A
種類で10万円台から150万円ほどまで幅があり、2026年の鎌倉新書の調査では納骨堂の平均購入金額は81.5万円でした。年間管理費が別にかかるかも確認してください。
- Q納骨堂とお墓は何が違いますか?
- A
お墓は屋外の墓地に遺骨を埋蔵し、納骨堂は建物の中に骨壺のまま収蔵します。納骨堂は墓石が要らず、掃除の手間も少ないぶん、費用を抑えやすいです。
- Q継ぐ人がいなくても納骨堂は使えますか?
- A
永代供養つきの納骨堂なら、施設が供養と管理を続けるので申し込めます。ただし個別の安置には期間がある施設が多く、期間後は合祀になるのが一般的です。
- Q納骨堂はいつまで個別に供養してもらえますか?
- A
三十三回忌までなど、区切りを決めている施設が多いです。永代といっても無期限ではないので、個別の期間と延長の可否を契約前に確かめてください。
- Q納めた遺骨はあとで取り出せますか?
- A
個別に安置されている間なら取り出せる施設が多いですが、合祀されたあとは取り出せません。取り出してよそへ移すときは、改めて改葬許可が必要です。
- Q納骨堂に宗派の制限はありますか?
- A
宗派を問わない施設が多い一方、寺院の納骨堂では檀家になることや宗派が条件の場合もあります。申し込む前に条件を聞いておいてください。
- Qお墓から納骨堂へ移すには何が必要ですか?
- A
遺骨がある場所の市区町村で改葬許可を受け、改葬許可証を納骨堂に出します。申請には今の墓地の管理者が書く埋蔵の証明が必要で、許可証は遺骨1体ごとが原則です。
- Q納骨堂でお線香はあげられますか?
- A
屋内の納骨堂は火災への配慮から、お線香に火をつけられない施設がほとんどです。お供えのルールは施設ごとに違うので、見学で確かめてください。
- Qどの種類を選べばいいか分かりません
- A
費用優先なら位牌型やロッカー型、家族でゆっくり参りたいなら仏壇型、駅近で通いたいなら自動搬送型が候補です。種類より先に、個別の期間と総額を比べると決めやすくなります。
まとめ:納骨堂とは屋内で遺骨を守る場所


納骨堂とは、建物の中に骨壺のまま遺骨を納めて供養する施設です。種類は4つで、費用は10万円台から150万円ほど、平均は81.5万円でした。
決める前に確かめたいのは、個別の期間と合祀のタイミング、年間管理費を含めた総額、そして運営が続くかどうかです。
私は父母を永代供養墓へ移し、墓守の心配はなくなりました。それでも、祖父母の骨を少しだけ手元に残しておけばよかったかな、と今も思うことがあります。



急いで決めなくて大丈夫です。家族と話して、見学して、期間とお金を紙に書き出してから決めてくださいね。
墓じまいや今あるお墓の整理はお墓・墓じまいのサービス、納骨堂と並ぶ供養先の永代供養については永代供養とは|費用相場・種類・選び方、亡くなったあとの手続き全体の流れは身内が亡くなったらすることリストで解説しています。










