専任媒介の契約から数日して、不動産会社から「登録証明書」が届いた。「御依頼の物件は、以下の通り登録されました」とあって、細かい項目がずらっと並んでいる。
読まずにしまっていいのか、どこを見ればいいのか。そう思って検索した人に向けて書いています。
先に答えです。見るのは、登録日が期限内か、中身が媒介契約書と合っているか、取引状況が「公開中」かの3点です。媒介契約書を横に置いて、10分ほどで確かめられます。
私は母が亡くなったあと、実家を地元の不動産会社に専任媒介で任せました。担当さんから登録証明書を受け取り、レインズに載っているところを見せてもらっています。
実家までは片道4時間以上ありました。離れて暮らす売主にとって、この紙は売り出しの様子を自分で確かめられる数少ない手段です。
レインズ登録証明書とは|売主に渡す義務がある書面

項目を見る前に、この紙が何を証明しているのかだけ押さえておきます。ここが分かると、どの項目が大事かも見えてきます。
業者どうしの物件台帳に載った証拠
レインズは、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営している、不動産会社どうしの物件検索システムです。登録された物件は、全国の不動産会社が見られます。
機構は地域ごとに4つありますが、2022年1月からは同じひとつのシステムを使っています。実家がどの地域にあっても、仕組みは同じと考えてかまいません。
専任媒介と専属専任媒介で契約した物件は、不動産会社がレインズに登録しなければなりません。登録証明書は、その登録が済んだことを機構が証明する書面です。
一般媒介の場合は登録の義務がなく、このあと紹介する売主用の確認画面も対象外です。一般媒介で任せているなら、登録したかどうかを担当者に聞いてください。
頼まなくても渡される
宅地建物取引業法で、登録した不動産会社は、この書面を遅滞なく売主に引き渡すことになっています。売主から頼まなくても渡されるものです。
売主が承諾すれば、紙ではなくメールなどで渡すこともできます。PDFで届いたなら、それが正式な登録証明書です。
下のほうにIDとパスワード
証明書のいちばん下には、二次元コードとURL、確認用IDとパスワードが載っています。物件ごとに付いているもので、売主が自分でレインズの登録内容を見るための鍵です。
売れるまでは、媒介契約書と同じ場所に保管しておいてください。価格を変えたあとも、この鍵で今の登録内容を確かめられます。
登録証明書が届いたら見る7項目

手元に媒介契約書を用意してください。土地や建物の面積を確かめるなら、登記簿の写しか、固定資産税の納税通知書もあると早いです。
項目の名前は、戸建てかマンションか土地かで少し変わります。下の7つは、どの種類でもほぼ共通して載っているものです。
登録年月日と媒介契約年月日
証明書には、レインズに登録した日と、媒介契約を結んだ日の両方が載っています。まずこの2つの間が何日あるかを見ます。
登録の期限は、専任媒介なら契約日から7日、専属専任媒介なら5日です。不動産会社の休業日は数えません。
週休2日の会社なら、7日といってもカレンダーでは10日近くになることがあります。それを超えて2週間以上空いているなら、理由を聞いてかまいません。
取引態様
ここには「専任」か「専属」かが表示されます。自分が結んだ契約の種類と合っているかを、媒介契約書の表題で確かめてください。
専属専任は、自分で見つけた買い手とも直接は契約できない、いちばん縛りの強い契約です。どちらで契約したか覚えていない人は、ここで一度はっきりさせておくと後で困りません。
価格
媒介契約書には「売買すべき価額」という欄があります。登録証明書の価格が、その金額と同じかを見ます。
査定のときに話した金額と、実際に売り出す金額が違うことはよくあります。照らすのは、査定書の数字ではなく、契約書に書いた数字です。
売り出しのあとに値下げしたときは、証明書の「最新変更年月日」にあたる日付と中身が変わります。値下げの相談をしたら、次に話す確認画面で反映されたかを見てください。
所在地と面積
所在地は、実家の住所と合っているか。土地と建物の面積は、登記簿か固定資産税の納税通知書の数字と合っているかを見ます。
古い家だと、登記簿の面積と実際に測った面積が違うことがあります。証明書に「面積計測方式」の欄があれば、公簿(登記簿の面積)か実測かを確かめてください。
桁の打ち間違いのような単純なミスも、ここで見つかることがあります。買い手側の不動産会社は、この数字で物件を探しています。
現況と引渡時期
親が亡くなったあとの実家なら、現況は空き家のことが多いはずです。誰も住んでいないのに「居住中」になっていたら直してもらいます。空き家かどうかは内見の組み方に関わるので、買い手側にとって大事な情報です。
引渡時期は、片付けの予定と合っているかを見ます。家財がまだ残っているのに「即時」になっていると、あとで話がこじれます。
もうひとつ、名義が亡くなった親のままなら、買い手に引き渡す前に相続登記で名義を移しておく必要があります。まだなら、相続登記の期限と費用もあわせて確かめておいてください。
図面の有無
「図面」の欄が「有」なら、間取り図などの販売図面もレインズに載っています。
「無」だと、ほかの不動産会社が買い手に見せる資料が少なくなります。図面をいつ載せる予定かを、担当者に聞いてみてください。
取引状況
売り出したばかりなら、ここは「公開中」になっているのが普通です。ほかの不動産会社からの問い合わせを受け付けている、という意味です。
取引状況は、この7項目の中でいちばん大事なところです。表示は3種類あるので、次の章で読み方を書きます。
取引状況の3つの表示の読み方

2025年1月からは、この取引状況の登録が不動産会社の義務になりました。事実と違う登録をしていれば、行政処分の対象になり得ます。
公開中
ほかの不動産会社から、物件の問い合わせを受け付けている状態です。売り出し中は、これが続くのが基本です。
書面による購入申込みあり
不動産会社が、買い手から書面で購入の申込みを受けた状態です。すぐ下の「取引状況の補足」に、その書面を受け取った日が書かれます。
購入の申込みがあったら、不動産会社は遅滞なく売主に報告することが法律で決まっています。この表示なのに何も聞いていないなら、その日のうちに担当者へ電話してください。
ただ、状況が変わってからレインズの表示が変わるまで、2日程度かかることがあると機構は案内しています。申込みの直後は、まだ前の表示のままのこともあります。
売主都合で一時紹介停止中
売主の事情で、一時的にほかの会社へ物件を紹介できない状態です。補足欄には、停止の中身や期間、売主の意向や了解を得た日などが書かれます。
たとえば、片付けが終わるまで内見を止めてほしい、と自分から頼んだなら、この表示で正しいです。
頼んだ覚えがないのにこの表示なら、理由を必ず確かめてください。止まっているあいだは、ほかの不動産会社を通じた買い手に紹介されません。
売主用の確認画面で今の登録を見る

証明書は、登録した時点の写しです。今どうなっているかは、売主用の確認画面で見ます。スマホでも開けます。
- 二次元コードを読み取る
- URLなら売主向けログインへ
- 確認用IDを入力する
- パスワードを入力する
- ログインを押す
二次元コードを読み取るか、証明書のURLを開いて「売却依頼主向けログイン」から入ります。IDとパスワードは、証明書に印字されたものです。
画面では、登録されている物件情報の概要、図面、取引状況とその補足が見られます。値下げのような登録内容の変更も、ここで確かめられます。
担当者からの業務報告と見比べるのが、いちばん使い道のある見方です。専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上、売却活動の報告をすることが法律で決まっています。
報告を受けた日に、確認画面も一度開く。これだけで、離れた実家の売り出しの様子を、自分の目で追いかけられます。
専任媒介で実家を売った私の場合

ここからは、うちの話です。地方の戸建てを、遠くに住む子が売った一例として読んでください。
実家の査定には一括査定サービスを5つ使い、イエウール経由で出会った地元の不動産会社に専任媒介で任せました。
契約のあと、担当さんからレインズの登録証明書を受け取り、物件がきちんと載っているところを見せてもらいました。
最終的に、実家は1,800万円で売れました。仲介手数料は、売却額の3%に6万円と消費税を足した約66万円です。空き家をどう手放すか迷った経緯は、相続した空き家の処分方法を比べた記事に書いています。
振り返って思うのは、遠くに住む売主ほど、この紙を「受け取って終わり」にしないほうがいいということです。現地に通えない分、確かめられる手段は手元に持っておきたいと思います。
おかしいと思ったときに確かめる順番

項目が違っていても、単純な入力ミスのこともあります。いきなり疑ってかかるより、順番に確かめていくほうが話が早く済みます。
まず担当者に聞く
機構も、登録内容の疑問はまず媒介契約を結んだ不動産会社に聞くよう案内しています。聞くときは、項目と数字を具体的に伝えると角が立ちません。
たとえば「登録証明書の価格が1,980万円になっていますが、契約書では1,880万円でした。どちらが正しいですか」のように聞きます。数字は一例です。
取引状況が気になるときも同じです。「確認画面で一時紹介停止中になっていました。私からはお願いしていないと思うのですが、理由を教えてください」と聞けば十分です。
答えがなければ機構の窓口
聞いても対応してもらえないときは、レインズを運営する機構に相談できます。東日本レインズは消費者相談室を設けていて、案内書に電話番号が載っています。
実家が東日本の圏域外なら、その地域の機構のサイトで相談先を確かめてください。
契約の更新前に見直す
専任媒介と専属専任媒介の有効期間は、最長3か月です。更新するかどうかは、売主が決められます。
登録の遅れや、頼んでいない紹介停止のように、説明を聞いても納得できないことが続いたなら、更新の前に別の会社の意見を聞いておくのもひとつです。
私が実家の査定に使ったのはイエウールです。一度の入力で複数の会社に査定を頼めるので、今の価格が相場から見てどうかを確かめる材料になります。使ってみた感想はイエウールの評判の記事にまとめています。
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まずは相場を見るだけでもどうぞ
複数の会社から連絡が来るので、電話が続くのが負担な人もいます。今の会社に不満がなければ、無理に使う必要はありません。一括査定サービスの違いは5社を使って比べたランキングに書いています。
他社からの紹介を断る「囲い込み」がどうしても心配なら、囲い込みをしないと明記している仲介サービスの評判も参考になります。対応エリアは首都圏と関西に限られます。
レインズ登録証明書でよくある質問

- 専任媒介で契約したのに、登録証明書が届きません
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専任媒介なら契約日から7日、専属専任媒介なら5日(休業日を除く)が登録の期限で、登録したら証明書を遅滞なく渡すことになっています。期限を過ぎても届かなければ、登録したかどうかと、証明書をいつもらえるかを担当者に聞いてください。
- 一般媒介でも登録証明書はもらえますか?
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一般媒介にはレインズへの登録義務がなく、売主用の確認画面も専任と専属専任の売買物件だけが対象です。一般媒介で任せているなら、レインズに載せているかを担当者に直接聞いてください。
- 紙ではなくメールのPDFで届きました。問題ないですか?
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問題ありません。売主が承諾していれば、メールなどでの交付も認められています。PDFは売れるまで消さずに保存しておいてください。
- 値下げしたら、証明書をもう一度もらうのですか?
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変更後の内容は、最初の証明書にあるIDとパスワードで確認画面から見られます。新しい書面が要るかどうかは、担当者に聞いてください。
- IDとパスワードをなくしました
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媒介契約を結んだ不動産会社に問い合わせてください。機構も、登録内容や利用方法の疑問はまず不動産会社へ、と案内しています。
- 確認画面を見れば、囲い込みされていないと分かりますか?
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分かるのは、登録されている内容と取引状況までです。ほかの不動産会社からの問い合わせに、担当者がどう答えているかまでは画面に出ません。取引状況に納得できない表示があれば、理由を聞くきっかけとして使ってください。
- きょうだいと共有で相続した家です。証明書は誰に届きますか?
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媒介契約を結んだ依頼者に渡されます。IDとパスワードは物件ごとに付いているので、写しを共有者に渡せば、同じ確認画面を見てもらえます。売れたあとに「安く売られた」と言われないためにも、きょうだいで同じ画面を見ておくと話が早いです。
証明書が届いた日にやること

- 媒介契約書と並べる
- 登録日と契約日を見る
- 価格と面積を照らす
- 確認画面に一度入る
- 取引状況が公開中か見る
- 証明書を契約書と保管
ここまでやって何もおかしくなければ、あとは担当者からの報告を待てば大丈夫です。報告の日に確認画面をもう一度開く習慣だけ、つけておいてください。
売却のあとには、税金や名義の手続きも続きます。相続した実家を売るときの全体の流れは、実家を相続したらやることで順番に確かめられます。


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