介護保険の申請は、親が住んでいる市区町村の窓口に申請→認定調査と主治医意見書→要介護度の通知という流れです。結果は法律上、原則として申請から30日以内に出ます。
申請は家族がしてもよく、地域包括支援センターなどに代わりにやってもらうこともできます。どこから手をつけるか迷ったら、親の住所を担当する地域包括支援センターに電話するのが入口です。
私は片道4時間離れた実家の母を、3年遠距離で介護しました。
認定が出るまでは、実家に私以外の目がひとつもない状態でした。遠くに住む子どもの立場で、申請の順番と気をつけることを書きます。
けんじ「介護保険の申請をしておいてください」と言われても、どこで何をするのか分かりませんよね。窓口と持ち物から、順番に見ていきましょう。
介護保険の申請方法|窓口・申請できる人・必要なもの


申請先は親の市区町村


申請先は、介護を受ける親が住んでいる市区町村です。子どもの住所地ではありません。窓口の名前は「介護保険課」「高齢福祉課」など自治体で違います。
対象は、65歳以上で介護や支援が必要になった人です。40〜64歳でも、国が定める16種類の特定疾病が原因なら申請できます。
家族や包括が代行できる


申請は本人だけでなく家族もできます。介護保険法では、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者、介護保険施設に申請の手続きを代わりにやってもらえると定められています。
郵送で受け付けている自治体もあります。遠方に住む子どもなら、親の住所の地域包括支援センターに電話して「申請を手伝ってほしい」と頼むのが、いちばん移動が少なくて済みます。
親の住む地域のセンターがどこか分からないときは、市区町村のホームページか、代表電話で聞けば教えてもらえます。在宅サービスの事業所まで探せるサイトについてはかいごDB(現・安心介護紹介センター)を調べた記事にまとめました。
申請に必要なもの


- 要介護認定の申請書
- 介護保険被保険者証
- 医療保険証(40〜64歳)
- 主治医の名前と病院名
- マイナンバーと本人確認
65歳になると届く介護保険被保険者証は、しまい込まれていることが多い書類です。
親の家で見つからなければ、窓口で相談すれば手続きは進められます。細かな書類は自治体で違うので、先に電話で確かめてください。
申請そのものにお金はかかりません。主治医意見書を書いてもらう費用も、本人の負担はないと案内している自治体がほとんどです。
要介護認定の流れと、結果が出るまでの期間


- 市区町村に申請する
- 調査員が自宅で認定調査
- 主治医が意見書を書く
- コンピューターで一次判定
- 認定審査会で二次判定
- 結果が郵送で届く
介護保険法では、申請への処分は申請のあった日から30日以内にすると決まっています。調査に時間がかかるなど特別な理由があれば延びることもあり、その場合は通知が来ます。
認定は申請日から有効


要介護認定は、申請のあった日にさかのぼって効力が生じます。結果を待たずに、ケアマネジャーに暫定のケアプランを作ってもらってサービスを使い始められることがあります。
ただ、予想より軽い区分や「非該当」になると、使った分が自己負担になるおそれがあります。急ぐときは、地域包括支援センターやケアマネジャーとよく相談してから使ってください。
調査は困りごとを伝える


認定調査では、調査員が自宅などを訪ねて、体の動きや物忘れ、日常生活の様子を聞き取ります。ここで伝わる内容が、要介護度を大きく左右します。
気をつけたいのは、親が調査員の前で「できます」と頑張ってしまうことです。できるときもあるけれど、普段は困っていることを家族が補って伝えるのが大事です。
- 家族がなるべく同席する
- 困った出来事をメモで渡す
- 日付と回数を書いておく
- 親の前で言いにくい話は別に
母の物忘れや火の消し忘れは、電話で話すだけでは分かりにくいものでした。遠方の家族ほど、帰省のたびに気づいたことを日付つきで書き残しておくと、調査のときにそのまま渡せます。
主治医に先に伝える


主治医意見書は、市区町村がかかりつけの医師に直接頼みます。診察室での短い時間では、家での様子まで医師に伝わっていないことがよくあります。
申請の前後に受診の予定があれば、家での困りごとを書いたメモを医師に渡しておくと、意見書に反映されやすくなります。かかりつけ医がいない場合は、申請のときに窓口で相談してください。
要介護度の区分と、使えるサービス・自己負担


区分は軽いほうから要支援1〜2、要介護1〜5の7段階です。区分ごとに、介護保険で使えるサービスの1か月の上限(区分支給限度額)が決まっています。
| 区分 | 1か月の上限 | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 一部に支援が必要 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 一部に支援が必要 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 部分的に介護が必要 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 部分的に介護が必要 |
| 要介護3 | 27,048単位 | ほぼ全面的に必要 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 常に介護が必要 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 常に介護が必要 |
※1単位はおおむね10円(地域により10〜11.4円)。区分支給限度基準額は2019年10月改定の額で、目黒区の案内をもとに整理しました(2026年10月時点)。
自己負担は原則1割で、所得に応じて2割か3割になります。たとえば要介護1で上限いっぱいの約16.8万円分を使っても、1割負担なら自己負担は約1.7万円です。
在宅で使うサービス


訪問介護(ヘルパー)、デイサービス、ショートステイ、福祉用具のレンタルなどがあります。どれを週何回使うかは、ケアマネジャーがケアプランにまとめてくれます。
私のときは、母の体調と私が通える頻度を伝えて、デイサービスと訪問介護を組み合わせてもらいました。認定が出てから、実家に私以外の人が定期的に出入りするようになったのが、遠方の私にはいちばん大きな変化でした。
認定が出たあとの、ケアマネ選びからサービスの組み立てまでは在宅介護を始めるときの手順に順番どおり書きました。仕事との両立に悩む方は介護離職を防ぐ両立の工夫もあわせてどうぞ。
施設で使うサービス


在宅が難しくなったら、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設などの施設サービスもあります。特養は費用が比較的安いぶん申し込みが多く、原則として要介護3以上が対象です。
私も施設を3件見学しましたが、最後は母の「家がいい」で在宅を続けました。費用の目安は親の介護費用はいくらかかるか、施設の探し方は介護施設の探し方ランキングにまとめています。
認定のあとにやること・申請で後悔しない注意点


申請は早めでいい


「まだ大丈夫」と先延ばしにすると、いざ必要なときに認定待ちで動けません。転倒や入院のように、介護は突然始まることが多いからです。
母の介護も、自宅の前で転んだと近所の方から電話をもらったところから始まりました。前もって地域包括支援センターとつながっていれば、始まりの慌ただしさは少し違ったと思います。
まだ介護が始まっていない家は、一人暮らしの親が心配なときの見守りの始め方から読むと順番を間違えません。
結果に納得できないとき


実態より軽い結果だと感じたら、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができます。ただ時間がかかるので、状態が変わったときに使う「区分変更の申請」で見直してもらうほうが早いことが多いです。
どちらがいいかは、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してから決めてください。
有効期間と更新


要介護認定には有効期間があります。新しく認定されたときは原則6か月(3〜12か月の範囲で決まることも)、更新のときは原則12か月です。
更新を忘れると、サービスが使えない期間ができてしまいます。案内が親の家に届いても親が気づかないことがあるので、有効期間の終わる日を自分の手帳やスマホにも書いておいてください。
ケアマネは替えられる


ケアマネジャーは、要介護なら居宅介護支援事業所から、要支援なら地域包括支援センターが担当します。事業所は自分で選べて、合わなければあとから替えることもできます。
遠距離介護だと、現地のことはケアマネさんの目が頼りです。
連絡の取りやすさ、たとえば電話かメールか、何時ごろならつながるかは、最初に確かめておくと後が楽です。帰省の回数の決め方は遠距離介護の帰省頻度に書きました。
介護保険の申請についてよくある質問


- Q介護保険はどこで申請しますか?
- A
親が住んでいる市区町村の窓口です。地域包括支援センターなどに手続きを代わりにやってもらうこともできます。
- Q離れて住む子どもでも申請できますか?
- A
できます。郵送で受け付ける自治体もあり、親の住所の地域包括支援センターに代行を頼めば、何度も帰省しなくて済みます。
- Q申請から認定まで何日かかりますか?
- A
法律上は原則30日以内です。調査に時間がかかる場合などは延びることがあり、その際は通知が届きます。
- Q認定前でもサービスは使えますか?
- A
認定は申請日にさかのぼって有効になるので、暫定のケアプランで使い始められることがあります。軽い区分や非該当だと自己負担が増えるので、相談してから使ってください。
- Q介護保険の自己負担は何割ですか?
- A
原則1割で、所得に応じて2割か3割です。区分ごとの上限を超えた分は全額自己負担になります。
- Q申請にお金はかかりますか?
- A
申請は無料です。主治医意見書の作成費用も、本人の負担はないと案内している自治体がほとんどです。
- Q入院中でも申請できますか?
- A
できます。退院後の生活に備えて入院中に申請する人も多く、病院の相談室(医療ソーシャルワーカー)に声をかけると進め方を教えてもらえます。
- Q認定に更新はありますか?
- A
あります。新規は原則6か月、更新は原則12か月の有効期間があり、期限が切れる前に更新の申請が必要です。
まとめ:介護保険の申請は早めに、包括へ電話から


介護保険の申請は、親の住む市区町村に申請し、認定調査と主治医意見書をもとに要介護度が決まる流れです。結果は原則30日以内で、区分は7段階、自己負担は原則1割です。
離れて住んでいても、地域包括支援センターに頼めば申請は進められます。調査の日には、普段の困りごとを日付つきのメモにして伝えてください。



地域包括支援センターへの相談は無料で、電話1本から始められます。介護が始まる前にかけておいても、早すぎることはありません。
介護にかかるお金の目安は親の介護費用はいくらかかるか、遠距離での進め方は遠距離介護は何から始めるかにまとめています。










