老人ホームの種類は、大きく公的施設と民間施設に分かれます。費用の目安は、公的な特養が月8万〜15万円・入居一時金なし、民間の介護付き有料老人ホームが月20万〜30万円で、入居時にまとまったお金がかかる所もあります。
私は母の施設を探したとき、5施設分の資料を取り寄せて、届いた封筒を居間に並べたまま手が止まりました。特養、有料老人ホーム、サ高住、グループホームの違いが分かっていなかったからです。
この記事では、よく候補になる5タイプの違いと費用を早見表にして、親に合う種類の絞り方まで順に書きます。
けんじ種類が多くて、最初はどれがどれだか分からなくなりますよね。まずは早見表で全体をつかんでから、1つずつ見ていきましょう。
老人ホームの種類と費用の違い【早見表】


| 種類 | 入居時 | 月額 | 入居の目安 |
|---|---|---|---|
| 特養(公的) | 0円 | 8万〜15万円 | 要介護3〜 |
| 介護付き有料 | 0〜数千万円 | 20万〜30万円 | 要介護1〜 |
| 住宅型有料 | 0〜数千万円 | 15万〜25万円 | 自立〜 |
| サ高住 | 0〜数十万円 | 15万〜20万円 | 自立〜 |
| グループホーム | 0〜数百万円 | 15万〜30万円 | 要支援2〜 |
※費用はLIFULL介護「老人ホームの種類一覧」掲載の目安(2026年10月時点)。地域・部屋・介護度で大きく変わります。
住宅型とサ高住は、外部の介護サービス代が別にかかります。
公的と民間の違い


公的施設は社会福祉法人や自治体などが運営し、入居一時金がなく月額も抑えめです。そのぶん入居の条件が厳しく、申し込んでから順番を待つことになります。
民間施設は、費用が高めなかわりに空きがあれば早く入れて、サービスの幅も広いのが特徴です。「安さと早さはなかなか両立しない」と覚えておくと、候補を並べるときに迷いにくくなります。
5タイプ以外の施設


| 種類 | 月額 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 介護老人保健施設 | 9万〜16万円 | 退院後のリハビリ |
| 介護医療院 | 9万〜20万円 | 医療ケアが続く |
| ケアハウス | 7万〜20万円 | 自立で費用を抑える |
※同じくLIFULL介護掲載の目安です。
老健は家に戻るためのリハビリの場で、長く暮らす前提の施設ではありません。病院から「次は老健へ」と言われたときに候補になります。
よく候補になる5タイプの特徴


特養


特別養護老人ホームは、介護保険で入る公的な施設です。費用がいちばん安く、所得や預貯金が少ない人には食費と居住費を軽くする仕組みもあります。
入所は原則として要介護3以上です。要介護1・2でも、認知症の症状で在宅が難しいなど、やむを得ない事情があれば「特例入所」の対象になります。
厚生労働省の調査では、2025年4月時点で要介護3以上の入所申込者は20.6万人でした。2022年の25.3万人から減っていますが、地域によってはまだ待ちます。
考え始めたら、早めに複数申し込んでおくのが基本です。
介護付き有料老人ホーム


民間の施設で、介護スタッフが常駐し、食事・入浴・排せつの介護を施設の中で受けられます。介護が重くなっても住み替えずに済むことが多く、月々の介護サービス費がほぼ定額なのも安心材料です。
そのぶん月額は高めで、入居時に数百万円以上の前払金がかかる所もあります。サービスも金額も施設ごとの差が大きいので、複数の資料を並べて比べるのが前提です。
住宅型有料老人ホーム


こちらも民間の施設ですが、介護は外部の訪問介護やデイサービスと別に契約して使います。食事や見守りのついた「住まい」に、必要な介護を足していくイメージです。
介護が軽いうちは費用を抑えやすい反面、介護が重くなるほど外部サービス代がふくらみます。表の月額に介護サービス代が入っているかは、必ず確かめてください。
サ高住


サービス付き高齢者向け住宅は、安否確認と生活相談がついたバリアフリーの賃貸住宅です。入居時は敷金程度で済むことが多く、自宅に近い自由な暮らしを続けやすいのが特徴です。
介護は外部サービスを使う形が基本で、重い介護や夜間の対応には限りがある所もあります。介護度が上がったときに住み替えが要るかどうかを、最初に聞いておくと安心です。
グループホーム


認知症の診断を受けた人が、5〜9人ほどの少人数で共同生活を送る施設です。家庭に近い環境で、なじみのスタッフに支えられながら暮らします。
地域密着型のサービスなので、原則として施設と同じ市区町村に住民票がある人が対象です。遠方の親を自分の近くに呼び寄せたい場合は、住民票の扱いを先に役所で確かめてください。
母は物忘れや火の消し忘れが出ていたので、私も途中から「グループホームも候補かな」と考えるようになりました。
費用の内訳と総額の見方


入居一時金と月額


有料老人ホームの入居一時金は、何年か分の家賃をまとめて先に払う「前払金」です。一時金が高い施設は月額が抑えめ、一時金ゼロの施設は月額が高め、という組み合わせがよくあります。
だから比べるときは、一時金+月額×想定する年数の総額で並べてください。一時金が何年で償却されるか、途中で退去したらいくら戻るかも、重要事項説明書に書いてあります。
ちなみに老人福祉法の決まりで、入居から3カ月以内に契約を解除したり亡くなったりした場合は、利用した日数分などを差し引いて前払金が返ってきます。
月額以外のお金


- 介護保険の自己負担
- おむつ代
- 医療費・薬代
- 理美容・日用品
- 外部の介護サービス代
パンフレットの「月額」に何が入っているかは、施設ごとにばらばらです。見積もりをもらうときは「これ以外に毎月かかるものはありますか」と一言足すだけで、あとの誤算が減ります。
費用を軽くする制度


特養・老健・介護医療院とショートステイでは、所得や預貯金が一定以下なら、食費と居住費が軽くなる「負担限度額認定」が使えます。申請先は市区町村です。
介護サービスの自己負担が月の上限を超えた分が戻る「高額介護サービス費」もあります。上限の表や在宅との比較は親の介護費用はいくらかかるかにまとめました。
それでも親の年金と預貯金だけでは足りない家庭もあります。実家に住んだまま家を現金化するリースバックという手段もあり、母の介護資金で一度調べたときの話はリースバックを調べたときの話に正直に書きました。
親に合う老人ホームの種類の選び方


要介護度で絞る


| 親の状態 | まず見る種類 |
|---|---|
| 自立〜要支援 | サ高住・住宅型・ケアハウス |
| 要介護1・2 | 介護付き・住宅型 |
| 要介護3以上 | 特養・介護付き |
| 認知症がある | グループホームも |
| 退院後のリハビリ | 老健 |
要介護度がまだ出ていないなら、施設より先に要介護認定の申請です。認定の結果で、入れる種類そのものが変わります。受け方は介護保険の申請と使い方にまとめました。
予算の上限を決める


親の年金の手取りと、預貯金のうち施設に回せる額を出します。
月額から年金を引いた不足分に、何年分まで貯金で耐えられるか。これで「月いくらまで」「一時金はいくらまで」が決まります。
相談窓口に電話するときは、この上限をはっきり言い切ってください。曖昧にすると、高い候補から順に案内されがちです。
私が遠回りした所


最初はLIFULL介護、次にみんなの介護と、施設が載っている掲載型のサイトを自分で読み込みました。地域と費用で絞って5施設分の資料を取り寄せたのですが、種類がばらばらで、比べようのないものを並べていたわけです。
そこから、相談員が条件を聞いて候補を出してくれる相談型のサービスに頼りました。種類の違いを先に知っていれば、資料の山で止まる時間はもっと短かったと思います。
地域にどんな施設があるか一気に見渡すならLIFULL介護の使い勝手、施設ごとの費用と家族の口コミを並べたいならみんなの介護を使った感想が参考になります。サイトの選び方は老人ホームの探し方ランキングで比べました。
見学で見ること


私は3件を見学しました。1件は、パンフレットの写真と実際の雰囲気がかなり違って驚いています。紙で分かることは、半分もありませんでした。
- 職員の言葉づかい
- 入居者の表情
- 廊下や部屋のにおい
- 食事の中身と様子
- 面会できる時間
- 介護が重くなった時
- 月額以外にかかる物
遠方の実家だと、何度も足を運べません。
1日に2〜3件をまとめて回れるよう、予約は先に並べておくのがおすすめです。遠距離での段取りは遠距離介護のコツにまとめています。



うちの母は、最後に「家がいい」と言って在宅を選びました。種類と費用を調べたうえで親の気持ちも聞く、その両方が要るんだと思います。
種類を調べる手が止まる理由が、費用より気持ちのほうにあることもあります。動けなくなっている方は親を施設に入れる罪悪感との向き合い方を先に読んでみてください。
費用を知らないまま「金がかかるなら行かない」と断る親もいます。その受け答えを含めて、親が施設を嫌がるときの話の進め方を別記事に書きました。
老人ホームの種類と費用のよくある質問


- Qいちばん費用が安い老人ホームはどれですか?
- A
公的な特養です。入居一時金がなく、月額は8万〜15万円ほどが目安です。ただし原則要介護3以上が対象で、地域によっては順番を待ちます。
- Q要介護1・2でも特養に入れますか?
- A
原則は要介護3以上ですが、認知症で在宅生活が難しい、家族からの虐待が疑われるなど、やむを得ない事情があれば特例入所の対象になります。市区町村や施設に相談してください。
- Qサ高住と有料老人ホームは何が違いますか?
- A
サ高住は安否確認と生活相談がついた賃貸住宅で、介護は外部サービスを使います。介護付き有料老人ホームは、施設のスタッフが介護まで担います。
- Q入居一時金は必ずかかりますか?
- A
必ずではありません。特養などの公的施設は一時金がなく、民間でも一時金ゼロのプランがあります。一時金ゼロは月額が高めなことが多いので、総額で比べてください。
- Q入居してすぐ退去したら一時金は戻りますか?
- A
入居から3カ月以内の解約や死亡による終了なら、老人福祉法の決まりで、利用した分などを差し引いて前払金が返ってきます。3カ月を過ぎたあとの返還額は契約の償却のしかたで決まります。
- Q認知症の親はどの施設が合いますか?
- A
認知症の診断があり要支援2以上なら、少人数で暮らすグループホームが候補です。介護付き有料老人ホームや特養でも受け入れている所は多いので、症状を伝えて相談してください。
- Q年金だけで入れる老人ホームはありますか?
- A
特養やケアハウスは月額が抑えめで、負担限度額認定を使えば食費と居住費も軽くなります。年金額と月額の差を先に計算し、市区町村やケアマネジャーに相談してください。
- Q入居までどのくらいかかりますか?
- A
民間の有料老人ホームやサ高住は、空きがあれば数週間で入れることもあります。特養は地域によって待つので、急ぐなら民間と並行して探すと安心です。
- Q施設の費用は誰が払うべきですか?
- A
基本は親本人の年金と貯金から払います。足りない分を子が出すなら、兄弟と金額で分担を決め、立て替えた分は記録に残しておくと後で揉めにくくなります。
まとめ:種類と費用を知ってから探す


老人ホームは公的施設と民間施設に分かれ、特養は安いけれど原則要介護3以上、民間は費用が高めでも入りやすい、というのが大きな違いです。
選ぶ順番は、要介護度で種類を絞る、予算の上限を決める、総額で比べる、複数を見学する。この4つです。
私は資料の山の前で、しばらく何もできませんでした。先に種類の地図を持っていれば、あの居間での足踏みはもう少し短かったはずです。
具体的な施設の探し方は老人ホームの探し方ランキング、費用の全体像は親の介護費用はいくらかかるか、遠方の親の場合は遠距離介護のコツで解説しています。










