親が亡くなったら、年金事務所に「年金受給権者死亡届」と未支給年金の請求を出します。受給を止める届けの期限は、厚生年金が死亡から10日、国民年金が14日です。
止める届けと、残っている年金をもらう請求は、同じ1枚の用紙でできます。
親のマイナンバーが年金機構に登録されていれば、止める届けは原則いりません。ただ、もらう請求は自分で出さないと受け取れません。
母の収入は年金だけでした。見送ったあと、年金の前後に市役所で済ませたことや、あとから届いた書類まで含めて、期限の順に並べます。
けんじ年金は「止める」と「もらう」が1枚で済みます。順番さえ分かれば、窓口は1回で終わらせられますよ。
親が亡くなったら年金の手続きは3つ


年金まわりでやることは、止める・もらう・確かめるの3つです。まず全体を表で見てください。
| 手続き | 期限 | 出す人 |
|---|---|---|
| 受給を止める | 厚生年金10日 国民年金14日 | 家族 |
| 未支給年金の請求 | 時効5年 | 生計が同じ遺族 |
| 遺族年金の確認 | 要件しだい | 対象の遺族 |
※期限・時効は日本年金機構の案内より(2026年10月時点)。止める届けと未支給年金の請求は「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」という1枚の用紙です。
窓口は年金事務所か街角の年金相談センターで、郵送でも出せます。親が遺族基礎年金や障害基礎年金だけを受けていた場合は、市区町村の窓口になります。
受給を止める届けは10日・14日以内


期限を過ぎたら


期限を過ぎても届けは出せます。困るのは、止まるのが遅れたぶん年金が振り込まれ続けることです。
亡くなった月の翌月以降の分を受け取ってしまうと、あとで返すことになります。葬儀や片付けでお金が出ていく時期に返還の通知が来るのは、なかなかこたえます。
マイナンバーで省略


日本年金機構にマイナンバーが登録されている人は、原則として止める届けを省略できます。市区町村に死亡届を出せば、その情報が年金側にも伝わる仕組みです。
ただし省略できるのは止めるほうだけです。未支給年金の請求は、別に出す必要があります。ここを「全部省略できる」と思い込むのがいちばんもったいないところです。
必要な書類


| 書類 | ひとこと |
|---|---|
| 年金証書 | 無くても相談できる |
| 死亡が分かる書類 | 戸籍や除票など |
| 続柄が分かる戸籍 | 未支給の請求用 |
| 親の住民票の除票 | 未支給の請求用 |
| 受取口座の通帳 | 請求する人の名義 |
※細かな書類は人によって変わるので、出す前に年金事務所へ電話で確かめてください。
戸籍や除票は、このあと銀行の手続きでも使います。預貯金の相続手続きで必要になる書類も見て、役所で一度にまとめて取ると、何度も足を運ばずに済みます。
未支給年金は亡くなった月の分まで


後払いなので必ず残る


年金は偶数月の15日に、前の月までの2か月分が後払いで振り込まれます。そして受け取る権利は、亡くなった月の分まであります。
たとえば5月に亡くなると、4月・5月分は6月15日に払われるはずだった分です。この「まだ受け取っていない分」が未支給年金で、遺族が請求して受け取ります。
亡くなったあとに親の口座へ振り込まれた年金も、亡くなった月の分までなら未支給年金の扱いです。翌月以降の分は返還の対象になります。
請求できる人の順番


請求できるのは、亡くなった当時、親と生計を同じくしていた遺族です。順番は決まっていて、上の人がいると下の人は請求できません。
- 配偶者(事実婚を含む)
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- その他3親等内の親族
父が先に亡くなって母が一人暮らしだった、という家なら、母が亡くなったときに請求するのは子になります。きょうだいが何人いても、請求者は代表の1人です。
離れて住む子の申立書


親と別々に暮らしていた子でも、請求できる場合があります。そのときに出すのが「生計同一関係に関する申立書」です。
年金機構の様式を見ると、別居だった場合は次の3つを書く欄があります。
- 別々に住んでいた理由
- お金の援助の回数と中身
- 電話や訪問の回数と中身
別居の場合は、原則として第三者の証明欄も埋めます。
私は片道4時間の実家へ3年通い、介護の費用も一部立て替えていました。こういう遠距離の子にとっては、帰省の回数や仕送り、立て替えの記録が、この欄に書く中身になります。
ただ私は、立て替えをほとんど記録していませんでした。遺産分割のときに根拠を出せず困ったのも同じ理由です。
いま介護中の方は、交通費と立て替えだけでもメモを残しておいてください。
認められるかは個別に判断されるので、書き方に迷ったら年金事務所で相談しながら書くのが確実です。
時効は5年


未支給年金の時効は5年です。起算日は、本来の年金の支払日の翌月の初日です。
5年あるとはいえ、止める届けと同じ用紙なので、最初の1回で出してしまうのがいちばん楽です。
相続放棄との関係


未支給年金は、遺族が自分の権利として受け取るお金で、相続財産ではないとされています(最高裁 平成7年11月7日判決)。国税庁も、受け取った遺族の一時所得として扱うと案内しています。
とはいえ、親に借金があって相続放棄の3か月の期限が気になる時期は、ほかのお金に手をつけないことも含めて慎重に動きたいところです。放棄を考えているなら、請求の前に専門家へ一声かけてください。
私は母の借金の有無を、期限の8日前にようやく確かめました。調べ方は親の借金の調べ方に書いています。
遺族年金は誰がもらえる?


成人した子は対象外


遺族年金を受け取れる「子」は、18歳になった年度の3月31日までの子(障害等級1・2級なら20歳未満)です。
親を見送る年代の子は、ほとんどがこれに当てはまりません。50代の子が親の遺族年金をもらうことは、基本的にありません。子の側で確かめるのは、未支給年金のほうです。
残った親が対象のとき


確かめたいのは、両親のどちらかが先に亡くなったときです。遺族厚生年金は、亡くなった人に生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母が対象です。
父が厚生年金に入っていたなら、残った母が遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。自分の老齢年金との調整もあるので、金額は年金事務所で試算してもらうのが確実です。
残った親が高齢なら、窓口に一緒に行くか、委任状を書いてもらって子が代わりに相談する形になります。
年金と同じ時期に済ませたいこと


年金の手続きの前後で、役所まわりのお金の話がいくつか重なります。私が母のときに経験した順に書きます。
葬祭費の申請


親が国民健康保険や後期高齢者医療に入っていたなら、葬儀をした人に葬祭費が出ます。金額は自治体によって違います。
私は市役所の窓口で死亡後の手続きをしていたとき、担当の方に教わって、その場で申請しました。期限は葬儀の翌日から2年です。
高額療養費


こちらは知りませんでした。母の実家に案内のはがきが届いて、初めて払い戻しがあると分かったんです。
亡くなる前に入院や通院が多かった親なら、実家に届く郵便物に市区町村からの案内が混ざっていないか、しばらく気をつけて見てください。
源泉徴収票が届く


死亡届を出した相続人には、年金機構から準確定申告用の源泉徴収票が、原則として自動で送られてきます。手続きからおおむね2〜3か月後です。
母は年金収入だけで、準確定申告の義務はありませんでした。それでも医療費と介護の自己負担が多かったので出したら、数万円戻りました。
源泉徴収票と領収書を輪ゴムで束ねて税務署に持っていったら、担当の方が日付順に並べ直してくれたのを覚えています。出すかどうかの判断は年金だけの親に準確定申告が必要かどうかにまとめました。
年金の手続きで気をつけたいこと


- 止める届けは早めに
- 未支給は省略できない
- 親の口座は凍結される
- 代理なら委任状を用意
未支給年金の受取口座は、請求する人の口座です。亡くなった親の口座は銀行が死亡を知った時点で動かせなくなるので、指定しても受け取れません。
母の年金の振込先だった銀行へ手続きに行ったとき、窓口で遺産整理のサービスを案内されました。
最低報酬が100万円を超えると聞いて断っています。年金や口座のような手続きは、案内されるまま任せなくても自分で回れるものが多いです。
どこまで自力でやってどこから任せるかは、私が両方やって分けた仕分けリストにまとめてあります。
平日に窓口へ行けず、相続の手続きが山積みなら、事務をまとめて任せる方法もあります。私が任せた範囲と費用は相続手続きを代行してもらった私の体験談に書いています。
年金は、亡くなった直後にやることの一つにすぎません。全体の順番は身内が亡くなったらすることリストで確認できます。
親の死亡後の年金手続きでよくある質問


- Q年金の手続きは何から始めればいいですか?
- A
年金事務所に「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を出します。止める届けと未支給年金の請求が1枚で済みます。
- Q年金を止める期限はいつまでですか?
- A
厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内です。マイナンバーが年金機構に登録されていれば、止める届けは原則省略できます。
- Q期限を過ぎてしまったらどうなりますか?
- A
届け自体は期限後も出せます。亡くなった月の翌月以降の分を受け取っていた場合は返すことになるので、気づいた時点で早めに出してください。
- Q親と別居していた子も未支給年金をもらえますか?
- A
生計を同じくしていたと認められれば請求できます。別居の理由、お金の援助、電話や訪問の回数を「生計同一関係に関する申立書」に書き、原則として第三者の証明もつけます。
- Q未支給年金はいつまで請求できますか?
- A
時効は5年で、本来の支払日の翌月の初日から数えます。止める届けと同じ用紙なので、最初にまとめて出すのが楽です。
- Q大人になった子は遺族年金をもらえますか?
- A
基本的にもらえません。遺族年金の「子」は18歳になった年度末まで(障害等級1・2級は20歳未満)で、確かめたいのは残った親が対象かどうかです。
- Q相続放棄をしても未支給年金は受け取れますか?
- A
未支給年金は遺族固有の権利で、相続財産ではないとされています。ただ放棄を考えている時期は慎重に動きたいので、請求の前に専門家へ確認してください。
- Q年金証書が見つかりません
- A
無くても手続きの相談はできます。基礎年金番号が分かる通知や振込通知書があれば持っていき、無ければ年金事務所に状況をそのまま伝えてください。
- Q子どもが代わりに手続きできますか?
- A
できます。未支給年金の請求者本人が窓口に行けないときは、委任状を書いて代理の人が行く形になります。郵送で出すこともできます。
まとめ:年金は止める・もらうを1枚で


親が亡くなったら、年金事務所に死亡届と未支給年金の請求を1枚で出します。止める期限は厚生年金10日・国民年金14日で、マイナンバー登録があれば止めるほうは省略できます。
未支給年金は請求しないと受け取れず、別居していた子は申立書が要ります。遺族年金は、成人した子ではなく、残った親が対象かどうかを確かめる制度です。
今日やるなら、年金事務所への電話1本で十分です。「親が亡くなった、請求者は私」と伝えれば、必要な書類を教えてもらえます。



葬祭費のように、窓口で聞いて初めて知ることもあります。一人で調べきろうとせず、まず電話してみてくださいね。
手続き全体の流れは身内が亡くなったらすることリスト、相続まわりの相談先は相続の相談はどこがいいかで解説しています。
また迷ったとき、戻ってこられるように。
親のことは、一度には終わりません。今日の分が済んだら、このページをブックマークしておいてください。次の段階で迷ったとき、また同じ場所から確認できます。
@miokurisouzoku|介護から相続までの実体験を投稿しています










