相続放棄のやり方は、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に「相続放棄申述書」と戸籍を出すことです。
期限は、自分が相続人になったと知った時から3か月以内。役所への届出や、きょうだい同士の「何もいらない」という口約束では放棄になりません。
自分で手続きでき、費用は収入印紙800円と郵便切手、戸籍の取り寄せ代くらいです。
私は母の相続で放棄はしていませんが、放棄するかを決めるために借金を調べ、借金がないと分かったのは期限の8日前でした。手順と一緒に、そのとき慌てた順番も書きます。
けんじ3か月は、葬儀と役所の手続きをしているとあっという間です。まず今日が何日目かを数えるところから始めてください。
相続放棄のやり方4ステップ


相続放棄は次の4ステップで進みます。いちばん時間がかかるのは、実は1つ目の「調べる」です。
- 借金と財産を調べる
- 申述書と戸籍を集める
- 家庭裁判所に提出する
- 照会書に答えて受理
借金と財産を調べる


放棄するかどうかは、借金と財産のどちらが多いかで決まります。通帳、郵便物、督促状、借入の契約書を集めて、両方を書き出してください。
借金の有無がはっきりしないときは、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に開示を請求すると、ローンやクレジットの記録が分かります。私が頼んだときは各1,000円前後でした。
戸籍を取るところから数えると、3社の結果がそろうまで数週間かかることがあります。手順と手数料は親の借金の調べ方をまとめた記事に書いてあります。
申述書と戸籍を集める


申述書の様式は裁判所のサイトからダウンロードできます。添える書類は、放棄する人の立場で変わります(裁判所の案内・2026年10月時点)。
| 放棄する人 | 主な書類 |
|---|---|
| 全員に共通 | 亡くなった人の住民票除票か戸籍附票、放棄する人の戸籍謄本 |
| 配偶者・子 | 亡くなった人の死亡の記載のある戸籍 |
| 親・祖父母 | 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍など |
| 兄弟姉妹 | 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、親の死亡の記載のある戸籍など |
費用は、放棄する人1人につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手です。切手の額は裁判所ごとに違うので、提出先のサイトか電話で確かめてください。
家庭裁判所に提出する


提出先は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。自分の住所地ではありません。窓口に持って行くほか、郵送でも出せます。
親が遠方に住んでいたなら、郵送が現実的です。私の実家も片道4時間でした。家裁に行くためだけに帰るのは、現実的ではありません。
照会書に答えて受理


提出したあと、家庭裁判所から「照会書」という質問の書類が届くことがあります。本当に自分の意思か、遺産を使っていないかなどを答えて返送します。
問題がなければ「相続放棄申述受理通知書」が届いて完了です。借金の相手に放棄を示すときは、別に「受理証明書」を家庭裁判所に請求して見せます。
相続放棄の期限3か月の数え方


いつから数えるか


民法915条は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」と決めています。親の死亡を知った日から、と考えるのが基本です。
先の順位の人が放棄して自分に回ってきた場合は、それを知った時から数えます。いとこが放棄したあと、おじやおばの相続が回ってくるのはこの流れです。
間に合わないとき


調べるのが間に合わないときは、期限内に家庭裁判所へ期間を延ばす申立て(伸長)ができます(民法915条ただし書)。認められるかは家庭裁判所の判断です。
黙って3か月を過ぎると、相続を認めた扱い(単純承認)になるのが原則です。間に合わないと感じた時点で、提出先の家庭裁判所に電話して相談してください。
私が日数を数えた日


3か月の決まりは知っていました。四十九日の前に、弟にも期限の話はしています。でも自分の家の話として日数を数えたのは、母が亡くなって2か月と少したった頃でした。
弟から「相続放棄っていつまでだっけ」と電話が来て、「三か月だ」と答えてからカレンダーを数えました。残りは3週間でした。
そこから母宛ての郵便物を全部開け、信用情報機関の3社に開示を請求しました。借金がないと分かったのは期限の8日前です。
確かめたあと、コンビニでアイスを2つ買って、車の中で食べました。
相続放棄を選ぶか決める


放棄が合うケース


- 借金が財産より多い
- 連帯保証人になっていた
- 長く疎遠で何も分からない
- 相続に関わりたくない
放棄すると、借金だけでなく預金や実家などのプラスの財産も受け取れません。放棄した人は、初めから相続人でなかった扱いになります(民法939条)。
自分が何番目の相続人で、どれだけ引き継ぐ立場なのかは誰がいくら相続するかの決まりで整理しています。
限定承認との違い


| 比べる点 | 相続放棄 | 限定承認 |
|---|---|---|
| 借金 | 引き継がない | 財産の範囲で返す |
| 財産 | 受け取れない | 余れば受け取る |
| 誰がするか | 1人でできる | 相続人全員で |
| 期限 | 3か月以内 | 3か月以内 |
限定承認は相続人全員でそろって申し立てる必要があり(民法923条)、財産目録づくりなど手間も大きい方法です。借金が明らかに多いなら放棄、どちらが多いか読めないなら限定承認も候補、が大まかな目安です。
放棄しなくていい家


調べて借金が見つからなければ、何もしなくていいです。3か月を過ぎれば、そのまま相続した扱いになります。
私の家はこちらでした。放棄の手続きはしていませんが、「念のため確かめた」という事実が、その後の手続きを落ち着いて進める支えになりました。
相続放棄でやってはいけないこと


遺産を使う・売る


相続財産を処分すると、相続を認めたとみなされ、放棄できなくなります(民法921条)。親の預金を下ろして使う、実家の家財を売るといった行動がこれに当たりえます。
形見の品を少し持ち帰る程度は問題にならないことが多い、とされます。ただ線引きは難しいので、価値のありそうな物は動かす前に専門家に聞いてください。
放棄したあとでも、財産を隠したり勝手に使ったりすると、相続を認めた扱いになることがあります。
空き家を放り出す


2023年4月からの民法940条では、放棄の時に実家などを現に占有している人は、次の相続人などに引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければなりません。
親と同居していた、鍵を預かって出入りしていた、という人は当てはまることがあります。空き家の扱いは空き家になった実家の管理と処分もあわせて見ておくと安心です。
黙って放棄する


子が全員放棄すると親へ、親もいなければ兄弟姉妹へと、相続の権利が次の順位に移ります。借金も一緒です。
何も知らないおじやおばに、ある日督促状が届く。
こうならないよう、放棄するなら次の順位の親族には一声かけてください。私は弟と相続で揉めた経験から、お金の話を黙って進めるのがいちばん関係を壊すと思っています。
自分のところに回ってきたときの動き方はいとこの相続放棄が回ってきたときの記事に書きました。
自分でやるか専門家に頼むか


| こんなとき | 向いている方法 |
|---|---|
| 借金が明らか・期限に余裕 | 自分で申述 |
| 戸籍が多い・遠方で忙しい | 司法書士に書類作成を頼む |
| 期限を過ぎた・債権者と争う | 弁護士に相談 |
自分でやれば数千円で済みます。書類の作成や戸籍集めを頼むと報酬が別にかかるので、依頼前に見積もりを取ってください。
とくに3か月を過ぎてから借金が見つかった場合は、事情によって放棄が認められることもあります。自己判断であきらめず、弁護士に確認してください。
弁護士を探す方法の1つはベンナビ相続の記事で紹介しています。
どこに何を相談するかは相続の相談はどこがいいかでまとめています。
相続放棄のやり方についてよくある質問


- Q相続放棄は自分でできますか?
- A
できます。申述書に戸籍などを添えて、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に出します。郵送でも提出できます。
- Q相続放棄の期限はいつまでですか?
- A
自分が相続人になったと知った時から3か月以内です。間に合わないときは、期限内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます。
- Q費用はいくらかかりますか?
- A
自分でやる場合は、1人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手、戸籍の取り寄せ代です。専門家に頼むと報酬が別にかかります。
- Q3か月を過ぎたらもう放棄できませんか?
- A
原則はできません。借金があることを後から知ったなど、事情によって認められることもあるので、弁護士に早めに確認してください。
- Q借金だけを放棄できますか?
- A
できません。放棄すると財産も借金もまとめて引き継ぎません。財産の範囲で借金を返したいなら、相続人全員で限定承認をする方法があります。
- Q生命保険金は受け取れますか?
- A
受取人に指定された生命保険金は、受取人自身の財産とされ、放棄しても受け取れるのが一般的です。契約内容で扱いが変わることもあるので確認してください。
- Q放棄すると誰に相続が移りますか?
- A
同じ順位の人がいなくなると、次の順位に移ります。子が全員放棄すると親へ、親もいなければ兄弟姉妹へ、という順です。
- Q一度した放棄は取り消せますか?
- A
受理されたあとは、原則として撤回できません。だまされたなど特別な事情がある場合に限られるので、出す前によく確かめてください。
- Q何から手をつければいいか分かりません
- A
まず今日が3か月のうち何日目かを数え、郵便物と通帳で借金の手がかりを探してください。相続全体の順番は身内が亡くなったらすることリストで確認できます。
まとめ:相続放棄は3か月以内に家裁へ


相続放棄は、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に、申述書と戸籍を出して行います。借金を調べる、書類を集める、提出する、照会書に答える、の4ステップです。
気をつけたいのは、期限が知った時から3か月と短いことと、遺産を使うと放棄できなくなることです。間に合わないなら、期限内に伸長を申し立ててください。
私は残り3週間で走って、期限の8日前に借金がないと確かめました。もう少し早く日数を数えていれば、と今でも思います。



放棄するかどうか決めていなくても、借金の確認だけは今週中に始めてください。調べる時間がいちばんかかります。
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