親を施設に入れることを考えた自分に、後ろめたさを感じている。そこで検索の手が止まっている人へ書きます。
「罪悪感を持たなくていい」とは書きません。それはもう、ケアマネさんにも友人にも言われているはずです。
私は母の施設を探しました。資料を5施設分取り寄せて、3件は実際に見学しました。
それでも入居はさせていません。最後に母が「家がいい」と言ったからです。そのまま在宅で看取りました。
ここが今日いちばん伝えたいところです。入れなかった私にも、罪悪感は残りました。
だから、罪悪感の大きさは施設に入れるかどうかでは決まっていません。決まるのは、誰が何を根拠に決めたかのほうです。
この記事では、後ろめたさの出どころを分けたうえで、私の顛末と、決めるときに使った問いを書きます。
読み終えたときに、答えを持っていない問いが1つ見つかっていれば十分です。今夜すべてを決める必要はありません。
親を施設に入れる罪悪感はどこから来るのか

罪悪感とひとことで呼んでいますが、中身は同じではありません。私の場合は4つが混ざっていました。
分けておくと、あとで効きます。相手が違えば、やることも違ってくるからです。
見捨てる感じがする
いちばん多いのがこれだと思います。育ててもらった相手を、家から出す側に自分が回る感覚です。
私も届いた資料を開くたびに手が止まりました。読んでいる内容と、母に対する後ろめたさが混ざるからです。
ここで押さえておきたいことがあります。施設に入れる話と、関わらなくなる話は別物です。
入居してから毎週会いに行く人もいます。同居していても、疲れ切ってろくに話さない家もあります。
距離が近いことと、大事にしていることは、必ずしも同じではありません。
親の一言が刺さる
「施設には行きたくない」。この一言で、話がそこから進まなくなる家は多いです。
うちも同じでした。母は「家がいい」と言いました。私はその言葉を最後まで越えられませんでした。
今になって思うのは、あの一言の中身をもっと聞けばよかった、ということです。
家がいいのは、住み慣れているからなのか。知らない人に体を触られたくないからなのか。お金の心配なのか。
理由によって、施設以外の手当てで済むこともあります。私はそこを掘らないまま、言葉だけを受け取りました。
本人が首を縦に振らない場面そのものへの向き合い方は、親が施設を嫌がるときに説得より先にやることのほうに分けて書きました。断る理由を切り分けるところから始める話です。周りの声が重なる
親戚から「かわいそうに」と言われる。近所の人に「お母さん、施設に入られたの」と聞かれる。
言っている側に悪気はないことが大半です。ただ、決めた人の胸には確実に残ります。
ここで線を引いておいてください。介護を代わらない人の意見は、判断材料になりません。
週に何回通うか、夜中に何回起きるか。その負担を持たない人の感想を、決定に混ぜないことです。
混ぜないことと、伝えないことは違います。手伝っていない兄弟でも、決める場には呼んでおいてください。
呼ばずに進めると、あとで「聞いていない」と言われます。私はそれで1年、弟と口をきかなくなりました。
決めたのが自分だけ
これが、いちばん長く尾を引く型です。私はここで足をすくわれました。
兄弟がいても、実際に動いているのが1人だけという家は珍しくありません。うちも弟がいて、通っていたのは私だけでした。
1人で決めると、あとから「本当にあれでよかったのか」と考える相手も自分しかいなくなります。
罪悪感の正体が、じつは兄弟が介護を手伝わないことへの怒りだったというのも、よくある話です。私がそうでした。
怒りは口に出しにくい。だから、扱いやすい罪悪感のほうに形を変えて出てきます。
私は施設を探して、結局入れませんでした

ここからは私の話です。実家までは片道4時間以上。母は一人暮らしで、私は3年通いました。
物忘れが出て、火の消し忘れが出て、さすがにこのままでは無理だと思ったところから施設を探し始めています。
資料5施設で止まる
最初は掲載型のサイトを自分で読み込みました。地域と費用で絞って、5施設分の資料を取り寄せています。
届いた封筒を居間に並べて、そこで止まりました。特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム。
この4つの違いが分かっていませんでした。同じ土俵に乗っていない資料を、並べて比べようとしていたわけです。
費用の桁も入居の条件もばらばらで、読むほど分からなくなりました。ここでずいぶん遠回りしています。
先に型の違いだけでも入れておけば早かったです。老人ホームの種類と費用の違いは、資料を集める前に読む順番でした。
見学3件で見えたこと
結局、3件を見学しました。行ってみて分かったのは、紙で分かることは半分もないということです。
1件は、パンフレットの写真と実際の雰囲気がかなり違って驚きました。悪いという意味ではなく、印象が別物でした。
廊下のにおい、職員さんの声の大きさ、入居している方がどこを見ているか。写真には写らないところに差が出ます。
ひとつ、見学して変わったことがあります。見に行くまで、私は施設をどこか低く見ていました。
入れたら終わりの場所だと、心のどこかで思っていたのだと思います。実際に見ると、そうではありませんでした。
罪悪感が減ったのは、その瞬間です。想像で怖がっていた部分が、けっこうな割合を占めていました。
母の「家がいい」
相談員さんに候補を数件まで絞ってもらい、次は見学という段取りまで来ていました。
その直前に母の容体が変わり、見学は中止になりました。そして母は、家がいいと言いました。
私はそこで引き返しています。最後まで在宅で、実家で看取りました。
この選択を後悔しているかというと、後悔はしていません。ただ、正しかったと言い切ることもできません。
在宅を選んでも罪悪感は消えませんでした

施設を検討している人が知りたいのは、たぶんここだと思います。入れなければ楽になるのか、という話です。
私の答えは、なりませんでした。形が変わっただけです。
有給を使い果たした
片道4時間を3年通って、有給は使い果たしました。仕事のほうにも、家族のほうにも、しわ寄せは行きます。
そして、そのしわ寄せの分だけ、また別の罪悪感が積まれていきました。職場に対して、妻に対してです。
当時の私は、育児・介護休業法の介護休業も介護休暇も知りませんでした。使える制度を知らないまま有給を溶かしています。
同じ立場の人には先に見てほしいので、介護と仕事を両立させるための制度のほうにまとめました。
施設に入れる罪悪感を避けた結果、仕事を削る罪悪感を選んでいた。当時は気づいていませんでした。
弟が来たのは2回
弟は実家から車で40分のところに住んでいました。3年のあいだで、まとまって関わったのは母の入院時の2回だけです。
連絡はいつも「何かあったら言って」で止まりました。こちらから頼まない限り、動くことはありませんでした。
通院の付き添いも、施設の見学も、私が1人で回しています。介護のお金は母の年金と私の立て替えでした。
その3年分の不満を、私は最後まで口に出しませんでした。飲み込んだ不満は、相続の話し合いで全部出てきます。
結果として、母が亡くなったあと、弟とは1年口をききませんでした。今は和解しています。
どちらにも後悔は残る
施設に入れれば、入れたことを悔やむ日が来ます。在宅を通せば、あのとき無理をさせたと悔やむ日が来ます。
私の実感では、片方だけが救われる道は用意されていません。
だから消し方を探すより、あとで自分に説明できる決め方をしておくほうが、はるかに効きます。
私が今も引きずっているのは、母を在宅で見たことではありません。母の「家がいい」の中身を聞かなかったことです。
罪悪感のまま決めないと何が起きるか

気持ちの整理がつくまで待ちたい。よく分かります。私も同じでした。
ただ、待っているあいだにも動いているものがあります。ここは事実として押さえてください。
特養は待つ前提
費用の安い特別養護老人ホームは、申し込んだらすぐ入れる施設ではありません。順番を待つ前提の場所です。
入所は原則として要介護3以上と決められています。やむを得ない事情があるときの特例入所の枠は別にあります。
要介護1か2なら、見るのは特養以外になります。介護付き有料老人ホームやサ高住、認知症があるならグループホームが候補です。
費用で先に諦めないでください。特養などの介護保険施設とショートステイには、負担限度額認定という仕組みがあります。
所得と資産の条件に当てはまると、居住費と食費の負担が軽くなります。対象かどうかは市区町村の窓口で確認できます。
あわせて種類ごとの費用の目安を見ると、うちの親の年金で届く範囲がだいたい見えてきます。
待ちの長さは地域と施設で大きく違うので、数字は施設ごとに聞いてください。私の地域の数字は他の地域では当てになりません。
ここで言いたいのは1つです。申し込みは入居の決定ではありません。
順番が来たときに断ることもできます。並んでおくことと、親を今日から預けることは別の行為です。
断ったあとの申込の扱いは施設や自治体で違います。申し込むときに、そこだけ聞いておいてください。
先に倒れるのは自分
介護している側が体を壊すと、親の生活はその日から回らなくなります。これが本当のところです。
私は3年目には有給が尽きて、次の休みをどう作るかだけを考えていました。あれは限界に近い状態だったと思います。
親に強く当たってしまった、という段階まで来ているなら、そこは我慢比べの場面ではありません。
介護の共倒れと介護うつを防ぐ具体策のほうに、私が実際にやったことと、間に合わなかったことを書いています。
親に聞ける時期は短い
これがいちばん取り返しがつかないところです。本人の希望を本人の言葉で聞ける期間には終わりがあります。
進み方には個人差があるので、いつまで、とは言えません。うちの母の場合は、思っていたより短かったです。
先ほど書いたとおり、私は「家がいい」の理由を聞けないまま終わりました。聞けなかった質問は、あとから足せません。
施設の話をするのが気まずいなら、施設の話でなくて構いません。動けなくなったらどうしたいか、を聞いておくだけで違います。
お金の管理も入居の契約も、本人の判断能力があることが前提になります。ここが崩れると、家族にできることが急に狭くなります。
私は母の物忘れが始まった頃に家族信託を調べて、無料相談まで行きました。判断能力の線引きで間に合わず、見送っています。
あのとき動いていれば、と今も思います。気まずさで先延ばしにした分だけ、選べる手は減っていきます。
罪悪感を判断に変えるための5つの問い

ここからが本題です。私が施設を探していたときに突き当たった問いを、答えられなかったものも含めて5つ出します。
全部に答えが出なくて構いません。答えを持っていない問いを見つけるための道具です。
誰が先に壊れるか
このまま半年続けたとき、最初に限界が来るのは誰か。親か、自分か、自分の家族か。
ここを親以外の名前で答えたなら、それは施設を検討していい理由になります。わがままではありません。
介護は、続く前提で組まないと途中で全部止まります。倒れた側が親の生活まで巻き込むからです。
親が守りたいもの
親が守りたいのは、家という建物なのか。それとも、自分のことは自分で決める感覚のほうなのか。
後者なら、施設に入れるかどうかより、決める場に親を入れているかのほうが効きます。
うちは母を選ぶ側に立たせないまま、私が引き返しました。そこが心残りです。
足りないのは何時間
いま在宅で回らないのは、1日のうちどの時間帯か。夜なのか、日中なのか、通院の日だけなのか。
ここを時間で書けると、施設に入れる以外の手が見えることがあります。
夜だけならショートステイ、日中だけならデイの回数、というふうに分解できるからです。
逆に、どの時間帯も足りないという答えになるなら、それはもう在宅の設計が破綻しています。
書けたら、その紙をそのままケアマネジャーに渡してください。空いた時間に何を足せるかは、担当者のほうが早く出してくれます。
まだ要介護認定を受けていないなら、窓口は地域包括支援センターです。私もここを使うのが遅く、1人で抱えていた時期が長くありました。
あとで説明できるか
5年後の自分に、なぜこう決めたのかを説明できるか。これが私にはいちばん効きました。
説明できる決定は、あとから責める材料になりにくいです。逆に、なんとなく流れで決めたことは長く刺さります。
難しく考えなくて大丈夫です。日付と、そのとき起きていたことと、決めた理由を1行残すだけで足ります。
私はこれをやっていませんでした。あとで弟に3年分の苦労を説明しようとしたとき、手元に何も残っていなくて詰まっています。
1人で背負っていないか
この決定に、自分以外の名前が入っているか。兄弟でも、ケアマネさんでも、配偶者でも構いません。
入っていないなら、決める前に1人だけ増やしてください。事後報告ではなく、決める前です。
私はこれをやらずに3年通い、そのあと弟と1年絶縁しました。順番を間違えた自覚があります。
手伝わない相手でも、決める場には呼んでおく。呼んだ事実があるかどうかで、あとの揉め方がまるで変わります。
探す段階に来たなら順番を間違えないでください

ここまで読んで、探してみようと思えた人だけ、この先を読んでください。まだ気持ちが固まらない人は、無理に進まなくて大丈夫です。
私は探し方の順番で遠回りしました。同じ道をたどらないための話です。
掲載型で下地を作る
施設が並んでいるサイトを自分で読む段階です。私はここから入って、5施設の資料を取り寄せました。
相場の感覚をつかむには向いています。ただ、種類の違いが分かっていない状態で始めると、私のように資料の山で止まります。
この段階は、決めるためではなく、見当をつけるためのものだと思ってください。
相談型で絞ってもらう
人が間に入って候補を絞ってくれる型です。私はここに来るのが遅く、先に自力で回り道をしました。
電話で条件を伝えると、候補が数件まで落ちます。あの段階で私が欲しかったのは、情報量ではなく絞り込みでした。
母のときに使ったサービスと、使わなかったサービスの違いは老人ホームの探し方と相談先の比較にまとめてあります。
正直に書いておくと、相談型は紹介手数料で成り立っています。だから、絞ってもらったあとに自分の目で見学することは省かないでください。
断る連絡も頼める
意外と知られていないのがこれです。合わなかった施設への断りの連絡を、相談員さんに任せることができます。
私は実際に任せました。気力が残っていない時期に、断りの電話を自分でかけるのはこたえます。
探すのをやめたくなる理由は、施設が悪いからではなく、こういう小さな消耗が重なるからでした。
最後に、私の結末をもう一度だけ。ここまで探して、私は入居させていません。探すことと入れることは、切り離して構いません。
親の施設入居と罪悪感でよくある質問

- 親が施設を嫌がっています。無理に進めていいですか?
-
嫌がる理由を先に確かめてください。住み慣れた家を離れたくないのか、他人に世話をされたくないのか、費用の心配なのかで、打つ手が変わります。うちは母の「家がいい」を言葉のまま受け取ってしまい、中身を聞かないまま終わりました。理由が分かれば、施設以外の方法で解ける場合もあります。
- 施設を探し始めること自体に後ろめたさがあります
-
探すことと入れることは別の行為です。資料を取り寄せても、見学しても、申し込んでも、入居を決めるのはそのあとの話になります。私は3件見学したうえで入居させていません。選択肢を持っている状態と、追い込まれてから慌てる状態では、親に渡せるものが違います。
- 兄弟に反対されました。どう話せばいいですか?
-
反対している人が普段どれだけ関わっているかで、扱いを変えてください。介護を代わらない人の感想は判断材料になりません。そのうえで、決める場には呼んでおくことをおすすめします。私は呼ばずに1人で3年回し、飲み込んだ不満が相続の話し合いで噴き出して1年絶縁しました。
- 在宅で頑張れば罪悪感は残りませんか?
-
私は在宅を通して看取りましたが、罪悪感は残りました。仕事に穴を空けた後ろめたさ、家族に負担をかけた後ろめたさ、そして本人の希望の中身を聞かなかった後悔です。どちらを選んでも何かは残ります。残らない道を探すより、あとで自分に説明できる決め方をしておくほうが現実的です。
- 特養に申し込んだら、すぐ入居になりますか?
-
特別養護老人ホームは順番を待つ前提の施設です。入所は原則として要介護3以上とされ、やむを得ない事情がある場合の特例入所は別枠で扱われます。待ちの長さは地域や施設で大きく違うので、候補ごとに直接確認してください。順番が来たときに断ることもできます。
- 見学に親を連れて行くべきでしょうか?
-
本人が動ける状態なら、連れて行く価値はあります。決める場に本人がいたかどうかは、あとの納得の仕方に効いてきます。うちは連れて行く直前に母の容体が変わって中止になり、母は最後まで選ぶ側に立てませんでした。先に自分が下見をして、負担の少ない1件だけ一緒に見るやり方もあります。
- 限界かどうかの見分け方はありますか?
-
親に強く当たってしまう、眠れない、理由もなく涙が出る。このあたりが出てきたら、我慢比べの段階ではありません。私は3年目に有給が尽きて、次の休みの作り方だけを考えている時期がありました。介護している側が倒れると、親の生活はその日から止まります。自分の状態を判断材料に入れてください。
まとめ:罪悪感は消さなくていい

親を施設に入れる罪悪感は、消し方を探しても消えません。私は入れずに看取って、それでも残りました。
残るものを消そうとするから、決められないまま時間だけが過ぎます。そのあいだに親の状態も自分の体力も動いていきます。
やることは、罪悪感を判断の形に置き換えることです。この記事の5つの問いは、そのための道具として書きました。
今夜できることを1つだけ挙げるなら、5つのうち答えを持っていない問いを書き出してみてください。
私が答えを持っていなかったのは、母が守りたかったものは何か、でした。そこを聞かなかったことを今も引きずっています。
探す段階まで来ている人は、掲載型で見当をつけて、相談型で絞る順番だけ間違えないでください。私が母の施設を探したときに使った4サービスの比較に、使わなかったものも含めて正直に書いています。
親御さんが元気なうちに聞けることは、思っているより早く終わります。それだけは先にお伝えしておきます。


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