相続税は、遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えたときだけかかります。相続人が1人なら3,600万円、子ども2人なら4,200万円までは0円で、申告もいりません。
国税庁によると、令和6年に亡くなった人のうち相続税の申告があったのは10.4%でした。10人に1人ほどです。
私の母のときは、相続人が私と弟の2人で、ラインは4,200万円でした。実家と預貯金を紙に書き出して足してみたら、桁がひとつ足りず、申告は不要でした。
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けんじ「うちは相続税がかかるのか」は、電卓1つで当たりがつきます。私が母のときにやった順番で書きますね。
相続税はいくらからかかる?基礎控除の計算


基礎控除の計算式


相続税がかかるかどうかの線は「基礎控除」で決まります。式は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
遺産の合計がこの金額以下なら、相続税はかからず、申告書を出す必要もありません。国税庁のタックスアンサーにも、基礎控除額以内なら申告は不要とあります。
相続人の数別の早見表


| 法定相続人の数 | ここまでは0円 | 家族の例 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 一人っ子 |
| 2人 | 4,200万円 | 子2人/配偶者と子1人 |
| 3人 | 4,800万円 | 子3人/配偶者と子2人 |
| 4人 | 5,400万円 | 配偶者と子3人 |
※2026年10月時点・国税庁タックスアンサーNo.4152の式で計算しています。
父が先に亡くなっていて母を見送る、というケースだと相続人は子どもだけです。私の家がまさにこれで、私と弟の2人なので4,200万円でした。
法定相続人の数え方


法定相続人は、配偶者と子ども(子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹)です。誰が入るかは家族構成で変わるので、順位は誰がいくら相続するかを整理した記事で確かめてください。
- 放棄した人も人数に入れる
- 養子は実子ありなら1人まで
- 養子は実子なしなら2人まで
相続放棄をした人がいても、基礎控除の人数は「放棄がなかったもの」として数えます。放棄したら控除が減る、ということはありません。
遺産の合計は紙1枚で概算できる


線が分かったら、次は遺産の合計です。最初から正確でなくていいので、分かるものから紙に書き出します。
足すもの・引くもの


| 足すもの | 引けるもの |
|---|---|
| 預貯金・現金 | 借金・未払いの税金 |
| 土地・建物 | 未払いの医療費など |
| 株・投資信託 | 葬式費用 |
| 死亡保険金(非課税枠を超えた分) |
亡くなる前の一定期間にもらった贈与が足し戻される場合もあります。親から大きな贈与を受けていた方は、そこも書き出しておいてください。
実家の土地の見方


相続税の計算で使う土地の値段は、売れる値段ではありません。道路ごとに決まった「路線価」か、路線価のない地域では固定資産税評価額に倍率を掛けて出します。
建物は、固定資産税評価額がそのまま評価額です。固定資産税評価額は、毎年春に届く固定資産税の納税通知書に載っています。
地方の家なら倍率方式のことが多いので、まず納税通知書を探すのが早いです。路線価と倍率は、国税庁の路線価図・評価倍率表で調べられます。
死亡保険金の非課税枠


相続人が受け取る死亡保険金には、500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。子2人なら1,000万円までは遺産に入れなくて大丈夫です。
私が母のときに書いた紙


母の収入は年金だけでした。
遺産は地方の実家と、預貯金の口座が2つ。実家の固定資産税評価額は約800万円で、預貯金を足しても、4,200万円には桁がひとつ足りませんでした。
この計算を紙に書いて写真を撮り、弟に送りました。返ってきたのは「まじか」の一言です。まだ兄弟で普通に連絡を取り合えていたころの話でした。
母の生命保険は弟が把握していましたが、仮に受け取っていても、子2人なら非課税枠は1,000万円あります。うちの規模だと結論は変わりませんでした。



ぴったりの金額が出なくても平気です。「ラインの半分もない」「ラインのすぐ近く」のどちらかが分かれば、次の動きが決まります。
基礎控除を超えたら相続税はいくら?


超えた場合も、遺産の全部に税金がかかるわけではありません。かかるのは基礎控除を引いた残りの部分です。
計算の流れ


- 遺産の合計を出す
- 基礎控除を引く
- 法定相続分で分けたと仮定
- 1人ずつ税率を掛けて合計
- 実際の取り分で割り振る
ややこしく見えますが、ポイントは3番です。実際の分け方に関係なく、いったん法定相続分で分けたとして税額の総額を出します。
子だけが相続する早見表


| 遺産の合計 | 子1人 | 子2人 | 子3人 |
|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 40万円 | 0円 | 0円 |
| 5,000万円 | 160万円 | 80万円 | 20万円 |
| 6,000万円 | 310万円 | 180万円 | 120万円 |
| 8,000万円 | 680万円 | 470万円 | 330万円 |
| 1億円 | 1,220万円 | 770万円 | 630万円 |
※相続人全員の合計額です。国税庁の速算表で私が計算しました(2026年10月時点)。特例や税額控除を使う前の金額です。
たとえば子2人で遺産5,000万円なら、ラインを800万円超えて、税額は2人合わせて80万円です。「かかる」と分かっても、思っていたより小さい額で済む家は多いです。
特例で0円でも申告は必要


基礎控除を超えても、特例を使うと税額が0円になる家があります。代表は次の2つです。
| 特例 | 中身 |
|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者の取り分が1億6千万円か法定相続分の多いほうまで非課税 |
| 小規模宅地等の特例 | 親が住んでいた土地を330㎡まで80%減額 |
どちらも、申告書を出して初めて使える特例です。「特例で0円だから何もしない」だと、特例が使えず税金がかかってしまいます。
親と別に暮らしていた子が実家の土地を継ぐ場合、小規模宅地等の特例には細かい条件があります。
親に配偶者がいないこと、自分や家族の持ち家に過去3年住んでいないこと、などです。ここは税理士に確かめてください。
相続税がかかる家・かからない家の目安


かかりやすい家


- 都市部に土地つきの家がある
- 預貯金が数千万円ある
- アパートや貸地を持っている
- 相続人が1人だけ
都市部の土地は路線価が高く、家と預貯金を足しただけでラインを超えることがあります。一人っ子は基礎控除が3,600万円と小さいぶん、超えやすくなります。
かからないことが多い家


- 親が賃貸に住んでいた
- 地方の家と年金の預金だけ
- 相続人が3人以上いる
うちは2つ目でした。地方の実家は評価額が低く、年金暮らしの預貯金を足してもラインに遠く届きません。同じような家なら、まず心配はいらないと思います。
ラインの近くの人


概算がラインの8割を超える、土地の評価に自信がない、贈与や保険が絡む。こういうときは、自分の概算を信じ切らないほうが安全です。
土地の形や道路との関係で評価額は変わりますし、特例を使えば大きく下がることもあります。自分で「たぶん大丈夫」と決めて期限を過ぎるのが、いちばん後悔の大きいパターンです。
申告期限は10か月|ほかの期限とあわせて


相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。提出先は、相続人ではなく亡くなった人の住所地の税務署です。
| 期限 | 手続き |
|---|---|
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認 |
| 4か月以内 | 準確定申告(必要な人だけ) |
| 10か月以内 | 相続税の申告と納税 |
10か月は長く見えますが、四十九日や遺産の洗い出し、兄弟での話し合いをしていると、あっという間です。遺産分割がまとまっていなくても、期限は延びません。
ちなみに母のときは相続税の申告は不要でしたが、準確定申告は義務がないのに出しました。
医療費と介護の自己負担が多く、所得税が数万円戻ったからです。年金だけの親の場合は年金だけの親の準確定申告にまとめました。
3か月の相続放棄は、借金があるかもしれないときの話です。
私は弟からの電話で期限に気づき、残り3週間で母の信用情報まで調べました。相続放棄のやり方も先に目を通しておくと慌てずに済みます。
超えそうなら税理士へ


ラインを超えそう、または近いと分かったら、早めに相続に強い税理士へ相談するのが確実です。税理士でも、相続税をどれだけ扱ってきたかには差があります。
心当たりがないなら、税理士ドットコムで相続に強い税理士を無料で紹介してもらうのが早いです。
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概算がラインの半分にも届かないなら、相続税の申告はいりません。税務署に「不要です」と届け出る手続きもありません。
ただ、あとで兄弟から「本当に大丈夫なのか」と聞かれることがあります。私が紙の計算を弟に送ったように、概算を書いたメモは残しておくと話が早いです。
相続税の心配がなくなっても、名義変更や口座の解約は残ります。どこに頼むかで迷ったら相続の相談はどこがいいかで比べてみてください。
相続税はいくらからに関するよくある質問


- Q相続税はいくらからかかりますか?
- A
遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えたときにかかります。相続人1人なら3,600万円、2人なら4,200万円までは0円です。
- Q相続税がかかる人はどのくらいいますか?
- A
国税庁の令和6年分の集計では、亡くなった人のうち相続税の申告があったのは10.4%です。10人に1人ほどの割合です。
- Q基礎控除以下なら何も手続きはいりませんか?
- A
相続税の申告は不要で、税務署への届け出もありません。ただし名義変更や預貯金の解約など、相続の手続きそのものは別に必要です。
- Q実家の土地はいくらで計算しますか?
- A
売れる値段ではなく、路線価か、路線価のない地域では固定資産税評価額に倍率を掛けた金額です。建物は固定資産税評価額のままです。
- Q生命保険金も遺産に入りますか?
- A
入りますが、相続人が受け取る分は「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。超えた分だけを遺産に足します。
- Q配偶者は相続税がかからないのですか?
- A
配偶者の取り分は、1億6千万円か法定相続分の多いほうまで非課税になる特例があります。ただし申告書を出さないと使えません。
- Q申告の期限はいつまでですか?
- A
亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまっていなくても延びないので、超えそうなら早めに動いてください。
- Q相続税が払えないときはどうなりますか?
- A
分けて納める延納や、物で納める物納の制度があります。条件があるので、相続税が払えない時の対処法で確認してください。
- Q何から手をつければいいか分かりません
- A
まず期限の短い手続きから並べると動きやすくなります。身内が亡くなったらすることリストで順番を確認してから、相続税の概算に進むのがおすすめです。
まとめ:相続税は基礎控除を超えたらかかる


相続税は、遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えたときだけかかります。子2人なら4,200万円まで0円で、かかる人は10人に1人ほどです。
まずは実家の固定資産税の納税通知書と通帳を出して、紙に足し算してみてください。ラインに遠いなら申告は不要、近いなら10か月の期限を意識して税理士へ、が分かれ目です。
親がまだ元気で、今のうちに備えたい方は相続税の生前対策を読んでおくと、話を切り出すきっかけになります。
私の家は相続税こそかかりませんでしたが、そのあと弟と遺産の分け方で1年口をきかなくなりました。税金より重かったのは、そっちのほうです。










